有効なパスポートとは?
朝にはすっかり台風は去ったが、関東圏の交通機関は点検や支障物で運休が出ていたようだ。
今日は休暇だったからそんなのは全く関係なくて(そもそも通勤に電車使わないけど)、
買い物に行こうと自転車を取りに行くと、風で倒れていた。それ自体はよくあることだけど、なぜかタイヤの空気が抜けている。
どうも倒れたときに他の自転車に当たって、バルブが緩んでしまったらしい。そんなことあるんだなぁって。
タイヤ・チューブ自体がやられたわけではないので、駐輪場に転がっていた空気入れで空気を入れ直して、買い物に出かけたとさ。
2012年から日本に3ヶ月滞在する外国人に在留カード・特別永住者証明書が発行されるようになって、外国人も住民基本台帳法の対象になった。
このとき国籍等の欄に「台湾」と「パレスチナ」が採用された。
台湾は中国の一部、パレスチナはイスラエルの一部というのが日本政府の見解だが(パレスチナは将来の国家承認を想定しているそうだが)、
一方でこれらの地域の権威ある機関が発行するパスポートは有効なものとして認めている。
すなわち、中華民国を国として認めたつもりはないが、台湾の権威ある機関であることは認めるので、中華民国のパスポートは有効だと。
その中華民国のパスポートを呈示した外国人については、在留カード・住民票の国籍等の表記は「台湾」になるという理屈らしい。
中華民国のパスポートが日本において有効になったのは1998年のこと。パレスチナはやや遅れて2002年から。
これ以前から日本は両地域に事実上の大使館・領事館を置いてきて、ビザの発給も行っていた。
ただ、パスポートは有効なものと認められないので、ビザとともに渡航証明書も発行する対応を行っていた。
渡航証明書は日本政府の発行するパスポート相当のものということで、これとビザのセットで日本に入国できると。
現在は台湾・パレスチナではこのような対応を行うことはなくなった。それどころか台湾についてはビザ免除の対象になっている。
ただ、現在も有効なパスポートを持たない人に特別の対応を行う事例は残っている。
その最たる物が朝鮮民主主義人民共和国、すなわち北朝鮮ですね。国として認めていないですから。
とはいえ、今は北朝鮮籍の人へのビザの新規発給は原則禁止になっているようだから、問題はすでに日本国内にいる人。
朝鮮籍で大韓民国のパスポートが取れない人で、日本から外国へ旅行に行く人。
このようなケースでは、入国管理局から冊子状の再入国許可書が発行され、これがパスポート相当になる。
実はこれは日本以外の国でもパスポート相当として認められて、ビザを受ければ、外国へ入出国するための証明書として使えるケースが多いらしい。
ちょっと変な気がするけど、日本も承認している国の発行する渡航証明書はパスポート相当として認めているので、それと同じことらしい。
さて、日本では中華人民共和国の発行するパスポートも、中華民国が発行するパスポートも、どちらも有効なものとして扱っているけど、
さすがに両岸同士ではそうもいかない。(といいつつ、参考書類としてパスポートを提出させているのも実情らしいが)
まず、中華民国側の対応だが、大陸・香港・マカオの人が台湾に来るにはビザを取る必要があり、
この手続きを行うと「中華民国台湾地区入出境許可証」(入台証)という1枚ペラの紙が発行される。
ビザと渡航証明書を兼ねた書類で、これを提出すると、この紙に入出国のスタンプが押される。
特別な対応はそのぐらいで、逆に中華民国パスポートは大陸に行くための出国手続きにも使える。
当たり前じゃないの? と思うかも知れないけど、そうとも言えない。
中華人民共和国側の対応だが、台湾籍の人が大陸に来る場合は「台湾居民来往大陸通行証」(台胞証)の発行を受ける必要がある。
これは香港籍・マカオ籍に発行している「港澳居民来往内地通行証」に似たカードで、これがあれば大陸には自由に出入りできる。
香港・マカオもそうだけど、大陸籍の人が両地域に渡航するには許可が必要だけど、逆に大陸に来るのは自由なんだよね。
先ほど書いた通り、台湾から出るのはパスポートでよいので、パスポート+台胞証で大陸に行くことができる。
一方で、香港・マカオは中華民国のパスポートを有効なパスポートを認めているので、
これにビザを受けるか、ビザ免除条件にあたれば入出国できるが、台胞証を呈示する方がビザ免除の条件が有利になっているよう。
逆に大陸籍の人が台湾に行く場合だが、これはパスポートではなく、大陸から出るのに「往来台湾通行証」(大通証)というカードが必要になる。
これもまた大陸籍の人が香港・マカオに行くのに必要な「往来港澳通行証」に似ているが、こちらは進入許可も兼ねているはず。
ただ、大通証は大陸を出るためだけの証明書で、日本に住んでいる大陸籍の人が台湾に行く場合にはパスポートでよい。
この違いはなに? と思うかも知れないけど、国内の旅行でパスポートを使ってはならないというポリシーがあるからでしょう。
日本に住んでいる大陸籍の人が香港に行く場合はパスポートに進入許可を受けるようだし、問題になるのは大陸を出るときだけらしい。
これは日本でも過去にあった話で、沖縄がアメリカ統治下にあったとき、沖縄への旅行には総理府発行の「身分証明書」が必要だったそう。
役割はパスポートとそう変わらないんだけどね。目的が違うということ。
原則は承認している国のパスポートが必要なんだけど、なんやかんやいって回避策があるということ。
変わったところでは国連本部では中華民国のパスポートは有効な証明書とは認められないが、
台胞証は中華人民共和国の発行する証明書ということで認められる、というちょっと奇妙な話があるらしい。
その回避策が妥当かという問題はあるんだけど、パスポートだからって無条件に認められるわけではないという一例ですね。
Author : hidemaro
Date : 2018/10/01(Mon) 22:19
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