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細長い土地はどう生まれ変わるか

僕が引っ越してくるちょっと前に調布駅付近の地下化が完成している。

調布駅は八王子方面と多摩ニュータウン・橋本方面の線路が分岐するという都合、

もともと複雑な構造をした駅だったのだが、全てを地下に納め、立体化するということを行っている。


この事業は連続立体交差事業として行われたが、連続立体交差では一般的な高架化ではなく地下化が選ばれている。

高架化の場合、もともと線路が走っていたところに高架橋ができるということになるのだが、

地下化の場合、もともと線路が走っていたところは一見して空き地になる。

そうやって地上に生まれた土地をどうやって使うかという問題が出てくる。


まず用途としてわかりやすいのが駅舎とか駅前広場という用途。

線路が地下なのに駅舎が地上というのはあんまりないけど、それは線路の上に土地を取れないから。

線路の上に土地を取れるなら、地上駅でも問題ない。

ということで布田駅・国領駅は駅舎が地上レベル、ホームが地下1階になっている。

この構造はけっこう便利で、階段・エスカレーターで1階上り下りするだけで済むんだよね。


線路敷の土地を所有しているのは鉄道会社、単に立体交差しただけではこの状況は変わらない。

なので土地を所有する京王としては、どういう風に使うか考える必要があるわけだが、

駅舎・駅前広場などで使う分以外の土地を有効活用するには、やっぱり建物を建てていきたい。

というわけで、現在、調布駅付近ではビルの建設が行われている。

2017年秋、調布駅の商業施設「トリエ京王調布」が開業!(pdf) (京王電鉄)

3棟建てて、それぞれ京王百貨店・ビックカメラ・イオンシネマをメインとした商業施設になるということ。

これは調布駅付近の活性化にも役立つだろうから、よいことだ。


駅付近はそれでいいんだが、それ以外の細い土地はどうするんだろうか。

京王としてはその土地で儲けられればよいのだが、住宅地の中を走る細い土地では、なかなか難しそう。

というわけで、駅付近以外は生活道路の拡幅と公園に転用するそうで。

市報ちょうふ/鉄道敷地整備計画の概要図を策定(pdf) (調布市)

京王から調布市が土地を買い取って、それで公共用途で使うということになるらしい。

ということで、調布市の持ち出しで京王から大して用途のない土地は引き取るということですね。

細長い土地を無理やり活用されてしまっては、環境悪化の懸念もあるので、その対策ってのもあるんだろうけど。


というわけで、こうやって見てみると、細い土地が浮いても、なかなか後処理が難しいんだなということに気づく。

駅舎や駅ビルで使える土地はいいし、駅前広場・駐輪場のような駅に付随した公共用地として使うのも、それは意義深いことだが、

残りはなんとなく余って、なんとなく生活道路・公園に転用するということで、

調布市は環境対策のため、仕方なく買収する必要に迫られるわけである。


なんか対策はないのかという話だが、1つの解決策が地下化と区画整理を一緒にやるという方法。

大阪の北梅田地区がその予定で進んでるんだけど。

成長戦略拠点特区の『大阪駅周辺地区:うめきた(大阪駅北地区)プロジェクト』 (大阪市)

もともとこのあたり一体の土地はJR貨物の梅田貨物駅があったのだが、

土地の所有者は鉄道建設・運輸施設整備支援機構、ということで国鉄の借金返済用に確保され続けていた土地なんですね。

一方で、梅田貨物線と呼ばれる新大阪~西九条をショートカットする線路があり、はるか号・くろしお号などの特急列車も使っている。

梅田貨物駅跡地の利用には梅田貨物線の地下化と新駅設置も必須と考えられている。

というわけで、梅田貨物駅跡地の市街地化のための土地区画整理事業と、梅田貨物線の連続立体交差事業を一緒に行うわけだ。


まず、もともと貨物駅だったところだから、道路も公園もろくにない。

なので、道路・公園のための土地を確保する必要がある。

一方で、新しく地下化する線路は道路・駅前広場の下を通しているから、線路の上の土地は全て公共用地になる。

土地区画整理事業では公共減歩・保留地減歩ということで、土地を目減りさせてもとの所有者に返す仕組みになっている。

土地区画整理事業 (国土交通省)

公共減歩は道路・公園などの公共用地のための土地を確保するために土地を目減りさせることで、

確保された土地は無償で大阪市に提供される。その代わり、大阪市は道路などの建設費を負担するのだが。

保留地減歩は区画整理の事業費を捻出するために目減りさせられる土地で、区画整理の工事費相当を払ってねという話。

ただし、道路工事も線路の地下化も大阪市がやってくれるんだけどね。(地下化にあわせて新駅を作ったりするのはJR負担もあるだろうが)


梅田貨物駅跡地が鉄道建設・運輸施設整備支援機構の所有なのは知ってるのだが、

梅田貨物線の線路敷の所有者って誰なんだろうね。貨物駅と一緒なのか、線路の所有者のJR西日本なのか。

それは分からないけど、土地区画整理事業の制度上、梅田貨物線の線路敷相当の土地は、

公共減歩・保留地減歩が行われた上で、ビルを建てたりして使える土地として元の所有者に戻ってくることになる。

もともと線路が走っていた細長い土地が引き渡されるわけではないだろう。

土地区画整理事業の目的はもともと利用しにくかった土地を利用しやすい形にすることだから。

一方で、地下化された線路の上の土地は大阪市に無償で提供される。

土地の買収にお金をかけずに新しいまちづくりに必要な道路・駅前広場を作る土地を確保できるわけだ。


線路の地下化と区画整理を一緒に行うと、線路敷の所有者と行政にとっては非常にメリットが大きいわけだが、

一方で周辺が成熟した市街地だったりすると、そこでメリットが出ないので、なかなか適用できないんだろうな。

土地区画整理事業の前提として、事業後の目減りした土地の価値 ≧ 事業前の土地の価値 である必要がある。

線路敷の細長い土地だけでこの条件は満たせないので、周辺の土地と一緒に開発する必要がある。

ところが成熟した市街地だと、もともと価値が高いから、公共用地の捻出のために目減りさせる口実があまりないと。

あと、地権者の同意があるのが前提なので、地権者が多い既成市街地では同意が得るのがまず大変。


区画整理をやると、地権者は使いやすい土地が手に入り、行政はタダで公共用地が確保できる。

これだけ見るとWin-Winだけど、そのためには重要な前提条件があるわけだね。

他の地権者にとってもメリットがあることを示して合意を得る必要があると。既成市街地ではこれが難しい。

これが実現できない以上は、調布市はお金を出して京王の土地を買い取るしかないわけだ。

調布市は単純にお金がかかるし、京王にとっても元線路敷を使った商売のチャンスの一部を放棄することになる。

お互い不本意だが、立体交差事業を優先するとこうならざるを得ないって話だよね。


Author : hidemaro
Date : 2017/07/07(Fri) 23:30
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