女子校が多いもんだから

僕は高校を出ていないし、なんなら高専の合格内定も早かったから高校入試も受けてなかったが、

東京都の都立高校で男女で合格点に差がある場合があるという話がニュースでちらほら話題になっていた。

どうも男女の合格点に差がある場合は、必ず女子の合格点の方が高いらしい。

都立高校入試の“男女別定員制” 同じ点数なのに女子だけ不合格? (NHK)

その理由が掘り下げられていて、なるほどそういう理由だったのかと。


男女別の定員設定があるのは、全日制普通科のみで、工業・商業などの専門学科、定時制は対象外である。

どうも見た感じでは中学校卒業者のうち、都立高校の全日制普通科に入学が想定される人を、

全学校で同じ男女比で割り振っているように見え、

募集人数317人(8クラス)の学校はいずれも男165人・女152人(1人程度の差はあるかも)となっている。

そんなところからもわかるように、学校間で男女比に大きな偏りが発生しないようにするためという目的は予想できるが、

それならば男の方が合格点の高い学校があってもいいような気はする。


実はこのようなことが発生している要因というのが私立学校は女子の受入人数の方が多いということ。

都立高校が男女別定員制をやめて男女比のバランスが変わると、私立に入学する生徒の男女比にも影響が出る可能性があります。都立高校に合格する女子生徒が増えると、私立高校へ進学する女子生徒が減ることが予想されますが、そこで課題として浮上するのが「私立の女子校」です。都内の私立高校233校のうち、34%にあたる80校は女子校で、その数は男子校32校の倍以上です。

都立高校からあぶれたのが女子ならば、私立高校のあてもつきやすいが、

男があぶれると入学するところがないという事態が発生しかねないということで、

都立高校の定員は女子の人数を少なめに設定しているわけですね。

就職希望者・専門学科・高校以外(高専・専門学校など)への入学希望者なども勘案しての設定なので、

私立学校の事情は抜きにしても男女の定員に差が付く可能性はあるが、男女差は私立高校の定員が支配的のようである。


何が男女平等かというのは難しい。

歴史的には男女別定員は、学習機会に恵まれなかった女子を救済する目的があったという。

女子が通っていた旧制高等女学校では、理数科目の授業時間が少なく、外国語も必修ではなかったため、当時は男女間に大きな学力差がありました。そのため、男子が通っていた旧制中学校を共学化しても、女子の学力の水準では入学することが難しかったのです。そうした中、教育庁から、共学制を実現するために、男女で別の枠を設けて募集するよう指示が出されます。

しかし、現在は中学校での学習機会に男女差はなく、ほぼ同じか、若干女子の方が成績がよいぐらいだという。

現在は都立高校・私立高校であわせて男女の入学者数を確保するという目的で男女別定員を設定しているとすれば、

目的は多少変われども、これも学習機会の均等化という点では妥当であると考えられる。


一方で、男女で比較すると、女子の方が希望する学校へ入学することが難しいと言える。

特に都立高校と私立高校と二分して考えれば、明確に都立高校への入学には不利を受ける。

そして授業料やその他の費用負担は私立学校の方が高い傾向にある。

(というか今は都立高校なら授業料は不徴収でしたね)

すなわち男女ともに学校を選ばなければ高校に入学することは可能だが、

平均的に見れば、女子の方が私立学校への入学を強いられ、金銭的負担が重くなる傾向があるということになる。


この問題の原因としてある女子校は減少傾向ではあるものの、男子校に比べれば減少ペースは鈍い。

2000年では共学76校・女子104校・男子57校だったのが、2020年では共学121校・女子80校・男子32校と。

もともとそんなに女子校多かったんですね。そうすると都立学校をあぶれた男が行くべき高校がないのは現実的な危惧だったか。

男女ともに選べる学校が増えるという点では緩和傾向かもしれないが、全体としてはどうかはこの数字だけでは判断しにくいですね。

減ったとは言え、女子校が多すぎるということなのかな。

で、この女子校を支えているのが都立高校の男女別定員なわけだけど、それがなくなると女子校の入学者は減ることが予想される。

共学化という方向に行けばよいが、現実的にはアイデンティティの喪失から廃校へ進む道も考えられ、

それは結果として女子の修学環境を悪化させる懸念もある。

また、生徒が減って苦しむ私立女子校もあるでしょう。それは、建学の精神があって社会のために尽くしてきた学校が無くなるということで、その学校が受け入れてきた生徒の受け皿も新たに必要になります

そうなんですよ。こういう副作用も懸念されるわけですね。


というわけで単純ではないということである。

現在、男女別定員は若干の弾力的運用が図られており、男女の合格点の差を小さくする方向へは向かっている。

ただ、全面撤廃とすると、いろいろなリスクがあり、そのリスクは男女ともに及ぶ可能性もある。

そこを見極めようとしている段階かもしれないが、私立学校との協調が必要でしょうね。


このあたりの考えは高校と大学では若干の差があろうと思う。

国際人権規約の教育に関わる規定でも、中等教育(中学・高校相当)と高等教育(大学など)ではちょっと違って、

第十三条

2 この規約の締約国は、1の権利の完全な実現を達成するため、次のことを認める。

(a) 初等教育は、義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとすること。

(b) 種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む。)は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること。

(c) 高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。

(経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)(外務省))

ここの無償化の規定を日本では長らく留保してきたが、公立高校の授業料不徴収で中等教育の無償化はしたという話。


で、中等教育と高等教育、いずれも全てのものに機会が与えられることが求められているが、

中等教育は限定なしに「すべての者に」と書いてあるが、高等教育では「能力に応じ」ということで若干の差がある。

すなわちは国際的な認識としても、高校レベルまでは学力によらず進学機会は与えられるべきという考えである。

一方で大学レベル以上は、大学進学レベルの学力を問うのは妥当であるという、ちょっとした考えの差がある。

高校の定員を男女問わずに成績上位から争えば、学力の高い人は高校に入学できるが、

女子校が多い実情からすると学力の低い男子はあぶれる可能性が出てくる。

それは能力に応じて機会を与えているからだ、というのは大学では許されても、高校では難しいかなと。


実は以前は、中学卒業後の進路として、進学以外の道を充実させることを前提として、進学の適性を問うべきではないか。

すなわち学力が足りないものは高校進学への道を閉ざすべきだと思っていたのだが、

高校程度までは学校を選べなければ希望する人は進学できるという形にするべきというのが国際的な認識だという。

とすると、学習機会の均等化のために男女別定員を取り入れている都立高校の対応は妥当ではないかと。

ただ、一方で授業料負担という点では女子の方が重くなるという課題はある。

定員は確保できても、授業料が払えなければ機会の均等化にはならないので、こっちが問題になる可能性もある。

それでも低所得世帯だと授業料減免とか公的な補助制度もあるから、学習機会の均等を重視するのも妥当だと思う。


好ましい制度とは言えないので、私立学校と協調して撤廃・緩和する方向へ持っていくべきとは思うけど、

そんなに単純な話ではないなと思ったのだった。こういう深掘りは大切ですね。

改善に取り組もうという人を叩くか?

ニュースでも話題となっているのですが。

ユーザーの個人情報に関する一部報道について (LINE)

LINEが個人情報保護委員会に対応の不備を報告したというニュースだったのですが、

ここに内容があれこれと記載されている。ちょっと複雑な面もあるが。

運用上の都合により、外国の関連会社のスタッフがアクセス出来る状態がいくつかあったと。

その中でもLINE Digital Technology (Shanghai) Limitedのアクセス権限は、現在は不要であるにも関わらず残存していたため、

これはアクセス権を取り消すなどの対応を行った上で、不備があったかもしれないと個人情報保護委員会に報告したとのこと。


この問題が発覚した経緯はいくつかあるようだが、Zホールディングスとの経営統合時の協議らしい。

両社のユーザーの個人情報を承諾を得た上で持ち寄って活用するようなことを模索していたのだろう。

さらに国内外の法規制対応も見据えて、いろいろ検討していたようである。

もともとLINEは外国への個人情報の移転自体はプライバシーポリシーにも示していて、確認してみると、

なお、当社は、パーソナルデータの提供にあたり、お客様のお住まいの国または地域と同等の個人データ保護法制を持たない第三国にパーソナルデータを移転する場合があります(2019年1月23日現在、欧州委員会は、日本がパーソナルデータについて十分な保護水準を確保していると決定しています。)。この場合、当社はお客様の国または地域で承認されたデータ保護に係る標準契約やその他手段を採用し、パーソナルデータの第三国移転を適用法の要件に従って行います。

ということで、一応は承諾を取っているということではある。

まぁ規約に書いてあるからよいとも言えないが、この内容は公序良俗に反するものではないだろう。

ただ、これは移転先の国を列挙していないなどの課題はあり、改善を行うつもりだということだろう。

(移転先の国の明記は昨年6月に成立した個人情報保護法改正で盛り込まれたが、この項目の施行は2年後とのこと)

確かにYahoo!のプライバシーポリシーを見ると、今年2月にこんな項目が追加されてた。

海外パートナー企業へのデータ連携について (Yahoo!)


背景として考えないといけないのは、LINEが複数の国で事業を営んでいることであり、

すなわち日本にとっては日本の事業所は国内だが、タイにとっては海外となると、そういうことである。

社内(グループ会社相互)での情報移転ではあっても、国境をまたぐというところに制約がある。

一方で各国で独立して運用するのは非効率ですから、どう折りあいを付けるかというところである。

そういえば、Zホールディングスの既存サービスってほとんどは日本国内のユーザー向けにしかやってないわけで、

LINE社のような国境をまたぐ運用体制はあまりなかったわけですから、そんなところでおかしいと気づいたところがあったのかも。

そんな中で個人情報保護委員会へ報告して、改善に取り組んだ方がよいという判断があったのだろうか。


ただ、今回の場合、国境をまたいではいるが、その先もグループ会社であり、

アクセス内容のトレーサビリティもあって、個人情報の流出があった可能性は低いとされている。

(アクセスログの精査などはこれからのようにも見えたけど)

あと、これは知らなかったんだけど、個人・グループでのメッセージ・音声のやりとりって、

End-to-Endでの暗号化が行われていて、管理者も基本的には見ることができないんですね。

LINE 暗号化状況レポート (LINE)

ただし、例外はあって、それが通報されたメッセージで、そういう形で秘密保護と運用管理を両立してるんですね。

今回の問題となったことの一部は通報されたメッセージに関するものではあるのだが。


なんて事情を考えたときに、これって本当にまずい問題なの? というのが僕の感想である。

しれっと直して、後に認証取得しましたとか、法規制対応のために規約変更をしますとか、

そういうリリースを出して、良いところだけアピールするという手も取れたような気はする。

ただ、Zホールディングスとしては、行政の関与も得ながら、確実な改善を行おうという意図はあったんじゃないかと思う。

現状に課題があるのはともかくとして、基本的にはよい姿勢だと思うのだが。


しかし世間からの評判は悪そうだし、ましてやこんな話まで出てくるほど。

LINEでの行政サービス停止 総務省 (NHK)

こういう形で行政機関がいきなり締め出しを図るような姿勢はどうなのかと思うのだが。

少なくとも個人・グループでのメッセージのやりとりについては暗号化して保護される仕組みがあるわけですけどね。

もちろんLINE社はこういう影響が出る可能性があるのは覚悟してはいただろうけど、想像以上の影響だったのでは?

こういう先例ができると、同じような事例を抱えた事業者が個人情報保護委員会に報告するのをためらうことにつながらないか。

その結果としてより深刻なプライバシー上の懸念が野放しになる可能性はないのかというのが心配である。


どうしてこんなに評判が悪いのかと、ちょっと掘ってみたのだが、

1つにおいてはLINE社の親会社が経営統合までは韓国のNAVERであったこと。

実際、運用面での連携はあって、データセンターの一部は韓国にあるようだ。(日本への移転を進める予定らしい)

そんなわけで「ほれ見たことか」というような論調が多いように見えた。

もう1つが個人情報の移転先として中国の関連会社が多かったということ。

過去にも中国を介した情報流出などもあったわけだし、ずさんな管理が行われている会社があることも事実だろうと思う。

国境をまたいではいるが、社内ではあるわけだし、そんなにいい加減な対応は取られていないように見えるのだが。

また、行政の介入リスクがあるのではないかというような話もあるが、それは陰謀論じゃないか?


というわけで、この問題について、正しい理解をした上で批判しているひとは限られるように見える。

報道機関も行政も政治家も本当にわかってるのか? という話である。

もちろんそれは今後の調査で明らかにしていかないといけない部分もあるので仕方ないのだが、

実害が及んでいる可能性は低いというのに、今の段階でここまで言われなくてはいけないか?

それは楽観的な見方か? でもリスクを過大に評価するのはかえって悪いことでしょうよ。


Zホールディングスとしても、週明けには早速、特別委員会を開催して検証・改善に取り組むようである。

外部有識者による、「LINE 社におけるグローバルなデータガバナンス」を検証・評価する 特別委員会の開催のお知らせ (Zホールディングス)

ZホールディングスとLINEとの経営統合まで、両社とも持ってなかった観点がいろいろあろうと思うので、

よりよいサービスとなるように改善に取り組んで欲しいと思う。

注射薬に残薬はつきもの?

新型コロナウイルスのワクチン接種で話題となっているのが、

6回接種分が1瓶のはずなのに、実用的には注射器に5回分しか取れないという話。

こういうことが問題となるのは珍しい気がするけど、

しかし、ここで気になるのが注射薬の端数ってどうなってるんだということである。


このことがよく問題となるのが抗がん剤らしい。

抗がん剤というのは投与量が体重などの条件で決まるため、人によってまちまちであること、

薬価が高価であること。だからといって規格単位が豊富とは言えないこと。

ということで、薬を効率的に使えれば医療費の削減に効果はあるが、実際には端数を捨てることは多いとのこと。

この場合、捨てた薬の分は医療費として請求することができるらしい。

すなわち、投与量が330mgで1瓶100mgの薬を使う場合、端数を捨てなければならなければ4瓶分の請求がされる。

しかし、端数分を他の患者に使えるなら、3.3瓶分の値段で請求されることになる。

是非ともこうしたいところだが、開封して時間が経過すると細菌の増殖が問題となるのでなかなか難しいらしい。


それが予防接種で問題になるのは不思議な話で、だって成人1回の投与量は均一のはずだから。

なんで汎用的な注射器で吸い上げると規定量にならないのかがよくわからない話だが。

これ、日本だけの問題じゃないですからね。アメリカでも6回分取れる注射器がないとか騒いでたからね。

投与量を微妙に減らせば6回分取れそうな気もするが、薬というのは規定の用法用量を守って投与しなければならない。

例えばワクチンの投与量が1~2割減ったところで、あまり効果に変化はなさそうだが、

あくまでも成人へは0.3mLを3週間あけて2回投与というので承認を取ってますから、ここから逸脱することはできないんですね。


しかも、これは薬の材料が特別に高価であるとかそういう話ではなくて、ほとんど輸送・保管上の都合ですからね。

なんでこんなしょうもないことで世界各地の医療機関は悩まないといけないんだという感じだが。

現場でこういう注射器を使えば、こういう取り方をすればなんて工夫は話題になっている。

インスリン用注射器でファイザーのワクチン 7回接種も可能に (NHK)

この話を見てなるほどと思ったけど、注射針の中にも残薬が生じるんですね。

筋肉注射用にしては注射針が短いが大半の人にはギリギリいけるという判断らしい。

これはこれで医療機器の正しくない使い方だが、原理的には問題ないという現場の判断である。


幸いなことに、テルモ と ニプロ がそれぞれ既存の注射器の設計変更で残薬が少なくなる注射器を作ってくれるということで、

これにより来月ぐらいには本来の取り分である1瓶6回、あるいは7回まで取れるようになりそうとのこと。

設計・製造はそう難しいわけではなく、一定の需要が見込めるということで大手医療機器メーカーが動いてくれたわけである。

ということで結果的にはなんとかなったわけだけど、なんともめんどくさい話である。


ワクチンの接種が進むまで時間がかかるのは課題だし、あとはワクチンで制圧できるとは断言できない難しさがある。

というのも、知っての通り、このウイルスというのは増殖するごとにあれこれと変異を起こしており、

その中には感染性にとって大きな影響を及ぼしているらしいものもある。

免疫避けるウイルス、国内で変異の可能性 慶応大が分析 (朝日新聞デジタル)

どこそこの変異株だとかそんな話があるけれど、複数箇所で似たような変異を起こしたウイルスが勢力を広げるなんて話すらあるほど。

で、変異の仕方によってはワクチンに耐性を持つウイルスが残り、これが勢力を広げるという厄介な構図も想定される。

それは人の動きを遮断すればよいわけでなく、各地で独立に発生することすら覚悟しなければならない。

必ずこうなると言っているわけではないが、そういう悪いシナリオも想定される。


これを防げる方法があるとすれば、クラスタを皆殺しにするしかないんじゃないかと思う。

(ウイルスが増殖すれば変異は避けられないが、ウイルスは宿主がいなければ増えないため)

が、これは家畜伝染病(鳥インフルエンザなど)ですらできていないことで、

確かに家畜は農場ごと全部殺処分なんてニュースはあるが、これは野生動物までは及ばないので、そこが穴になるんですよね。

ましてや人間をそんな理由で殺すことはできないでしょ。この目的のためには症状の有無によらず殺さないといけませんから。

というわけで非常に厄介な話である。ゼロコロナなんて絵に描いた餅かもしれない。


そうなったときに救いがあるとすれば、原理が異なる他のワクチンが用意されていることである。

というわけで、これは後発のワクチンにも期待があるところですね。

後発のワクチンはこんな実用上の不便さを起こしてくれるなよと思うがどうなんだか。

競馬関係者はなぜ受給できたのか

ニュースでも話題になってましたが、競馬関係者が持続化給付金を受給していたことについて、

調査結果がJRAのWebサイトに掲載されていた。

厩舎関係者の持続化給付金申請・受給に係る状況調査(結果報告) (JRA)

2748人の関係者のうち165人(6%)が受給していたとのこと。

特にこの問題が明るみになるきっかけらしい、栗東トレーニングセンター所属の調教助手・厩務員に限れば1167人中110人と。

1割ほどが受給していたということで、なかなかの数字だが、他の一見影響僅少そうな業種でもこんなもんなのかも。


どうしてこういうことができたかというと、競馬の賞金には進上金というのがあるから。

例えば、JRAでデビューした馬が無事に新馬戦で優勝したとする。

するとJRAから賞金700万円、特別出走手当が42万円支払われる。

特別出走手当は全て馬主の取り分だが、賞金・出走奨励金は馬主が80%、調教師が10%、騎手が5%、厩務員が5%受け取る。

この馬主以外が受け取る20%を進上金と言ってるんですね。成功報酬ですね。

ちなみにここで厩務員というのは、馬の身の回りの世話をしながら調教を付ける持ち乗り調教助手を含む。

厩務員より助手の方がはるかに多いことからして、厩務員というより助手と書いた方が実態に即しているかも知れない。


もっとも厩務員の成功報酬としては、5%というのはかなり高額で、割りあてられる2頭の馬に左右される部分が大きすぎ、

また、攻め専調教助手と言われる、担当馬を持たず調教を付ける専門の助手(本来の意味の助手はそっちだよね)は配分がない。

このことを考慮して厩務員の進上金の全部または一部を、厩舎でプールして分配する仕組みを持っているところもあるよう。

チームで勝ちに行くという考えからすればそっちの方がよいとは思うが調教師の方針次第である。


馬主は賞金のうち進上金以外の部分と、手当を受け取り、これらについて消費税を納める。

なので700万円の賞金と42万円の手当は進上金の140万円を引いて、消費税55万円を納めて、残るのは547万円である。

もっとも消費税については馬の購入時、調教師へ支払う預託料などに含まれていた消費税と相殺するので、

馬主事業全体としては戻ってくる消費税の方が多い馬主の方が多いかも。

進上金も消費税がかかるので、調教師・騎手は消費税を納めているはず。

調教師は馬主から受け取る預託料、騎手は騎乗手当にも消費税がかかりますから。

一方で厩務員だが、基本的にサラリーマンなので、課税売上は進上金のみとなるが、売上1000万円以下は消費税の納税義務が免除される。

このため、多くの厩務員は消費税分もそのまま手取りになっているそう。(今後もこの状態が続くかはわからないけど)


で、助手・厩務員にとっては、進上金は事業所得という扱いになる。このことから個人事業主である。

この進上金は自分の担当馬、あるいは厩舎の成績に左右されることになり変動は大きい。

この変動の大きさを使って、これは新型コロナウイルスの影響だと主張して、給付金を受給したという話である。

ただし、そもそも厩舎から受け取る給与所得はあるので、基本的な所得は保証されているとも言える。

また、進上金にしても開催が全部ストップするような影響はなかったので、賞金獲得のチャンスは十分にあったはず。

ということで不適切な受給であるとJRA・日本調教師会は言っている。


ただ、不正受給ではないんですよね。

形式上は要件を満たして申請しているわけだし、影響が全くなかったというわけでもない。

地方競馬との条件クラスの交流競走の中止、外国遠征の取りやめ(特に開催直前で中止になったドバイワールドカップデー)など。

何らかの影響があったという説明はできるわけである。

冒頭で「他の一見影響僅少そうな業種でもこんなもんなのかも」という感想を書いたのは実にそういうことで、

形式上の条件を満たせば、そこに対して理由は後付けできるわけですよね。

この点から個人事業主でない人が虚偽の申請をして受給したものとは全く事情が違うものである。


進上金は事業所得として申告が必要ということで、適切な申告には専門家の力が必要ということで、

トレーニングセンター内には税理士も出入りしており、この税理士らが勧誘して持続化給付金を受給させたという話があり、

成功報酬として10%近く取るようなケースもあったとか。制度の趣旨からすればそれはどうかと思うのだが。

栗東トレーニングセンター所属の調教助手・厩務員と言うのは、まさにこの勧誘を多く受けたところだとされており、

一方で、不正受給での検挙なども見て、早い段階で問題を自覚した職場でもある。

返還に動いた人は他の職域より比較的多く、4割がすでに返還済みとのことである。(それでも4割なのかという感じだが)


持続化給付金で助かった事業者もいるのだろうが、実態としての事業の厳しさと受給条件が必ずしも一致せず、

持続化給付金で救われない事業者がいる一方で、さほど苦しくもないのに受給してしまう事業者もいるわけである。

簡易な条件で定額受給できる制度はわかりやすいが、こういう問題がある。

多くの不正受給、あるいは不正と言えずとも趣旨にそぐわない受給が相次ぐ中で、結果としては失策だったのかなとも思うが、

一方で当時、急を要する状況であったことは確かで、複雑な条件を付けたり、厳密な審査をするのは難しいわけである。

なので、こういう失敗はある程度はやむを得なかったのかなという気はする。

今後の経済危機のときにこの反省は生かしたいものである。

Zホールディングスの親会社はAホールディングス

今日はZホールディングス(ZHD)とLINEの経営統合完了日、

新生LINE社はZHDの子会社となり、旧LINE社はAホールディングスと名前を改め、

ソフトバンク(通信会社)とNAVERの合弁会社として、ZHDの親会社の役目を果たす。

なぜAホールディングスなのかといえば「A to Z」という意図があるらしい。(他にもいくつか理由はあるよう)

Yahoo!の次ということでZホールディングスが生まれ、Zで終わるアルファベットの最初のAを取った会社が親会社というのは、

もうほとんどダジャレみたいな話だと思うけど、期待度は高い。


経営統合記念ページに東日本大震災から10年と書いてあったが、よく考えたらLINEが生まれるきっかけはこれなんですよね。

大災害でも電話網に比べて比較的持ったインターネット網を使って、家族・友人とコミュニケーションできるようにと、

当時ハンゲームを運営していたNHK JAPANで開発が行われ、2011年6月にリリース、そこから爆発的に普及した。

2013年にゲーム部門を分社化し、LINE と NHN JAPAN(ゲーム部門)は兄弟会社として別れることになった。

話は前後するけど2012年にはライブドアのポータル部門・データセンター部門を吸収しており、

データセンター部門はNHN JAPAN側に付き(現在のNHNテコラス)、ポータル部門はLINE社のもう1つの柱となった。

こうして見てみると、LINEとNHN JAPANにとっては激動の10年間だったことがわかる。

もう一方のYahoo!にとっても防災は大きなテーマである。日本最大のポータルサイトの使命だろうか。


パッと見てPayPayとLINE Payというスマートフォン決済サービスの1位・2位(だよね)の合併、

早速、コード決済についてはユーザースキャン方式では、PayPay加盟店をLINE Payで利用できるようになり、

来年4月にはPayPay側に一本化する方向で検討を進めるとのこと。(一本化されるのは日本国内のコード決済と限定しているが)

ZホールディングスとLINEの経営統合が完了 (Zホールディングス)

やはりそっちなんだね。LINE Pay特有のVisaバーチャルプリペイドカードなどの行方はどうなるんだろう。

LINE PayとPayPayは明確に違う


あと、もう1つ指摘されているのが宅配アプリですね。

さっきのニュースリリースにも書いてあるが、出前館はLINEが出資しており提携関係にある。

また、ソフトバンクグループはアメリカのUberの筆頭株主である。Uberは日本ではUber Eatsのフードデリバリーで存在がある。

(PayPayアプリでUber Eatsのアイコンが目立つところに置かれているのはおそらくこの関係性による)

というわけで、日本のフードデリバリーの2強が共にソフトバンクグループとの関係を持つことになった。

話によれば日本は世界でも数少ない Uber Eats がうまくいっている地域なんて話はあって(日本でも地域によるが)、

そんな中で日本土着の出前館が日本におけるUber Eatsを飲み込む? なんて大胆な話も噂されている。

真相はさておき、今日から始まったPayPayのキャンペーンではUber Eatsと出前館の双方がボーナス付与対象になっている。


でもやっぱりZHDの最初の狙いはEコマースみたいですね。

LINEがやりたかったができなかったことと、Yahoo!が頑張って育ててきたことがここで重なるわけですね。

2013年に「eコマース革命」を掲げたときのYahoo!ショッピングというのは散々なもので、

そこでロイヤリティー無償化(現在も大きくは変わっていない)という策をとって、モールの充実を進めたわけだが、

気づいてみればちゃんと儲けを出せる事業になったわけである。立派ですね。

これとLINEがつながる日がもうすぐそこまで来ているわけですよね。

国内ECモール筆頭の楽天に食らいつくことができるか。チャンスはあると思いますけどね。

名前は似てるし同根だけど無関係

意外と知られてないんだなと思ったんだけど、

三井住友銀行と三井住友信託銀行って名前は似ているけど、資本的に関係のない全く別の銀行なんですよね。

確かに同根ではあるし、三井住友銀行の設立時に、さくら信託銀行の株式を当時の中央三井信託銀行に譲渡した経緯もあるらしく、

全く無関係とも言えないところはあるが、そうはいっても両行は競合分野が多すぎることでも知られている。


そもそも「信託銀行」というのは銀行なんですよね。

銀行傘下の信託銀行は銀行業務はおまけ程度だったりするわけだけど、

三井住友信託銀行は独立系の信託銀行なので銀行業務だけでもけっこうな規模になっている。

確かに他の都市銀行に比べると店舗数は少なめかもしれないが、けっこう見るなぁという印象はある。

この点から都市銀行的な側面もけっこうある。都市銀行だって明確な定義はないけど……

信託業務を併営して複数の大都市圏に店舗網を持つ商業銀行というだけなら、りそな銀行も三井住友信託銀行も変わらない気がする。

世間の認識は多分そうではないだろうけど。


やはり両社が明確に競合する存在になったのは、SMBC信託銀行の設立なんじゃないのかなぁ。

他の都市銀行が信託業務を行っていたり、信託銀行を傘下に入れる中で、三井住友銀行は信託銀行を傘下に入れてなかった。

この結果として、住友信託銀行と中央三井信託銀行が独立系の信託銀行として取り残され、

独立系信託銀行としての生き残りをかけて2012年に合併、三井住友銀行とは資本的に関係がない「三井住友信託銀行」が誕生したという経緯があったそう。

ところがその後、三井住友銀行は富裕層をターゲットにしたプライベートバンキングに手をのばしたいということで、

2013年にソシエテジェネラル信託銀行(フランスのソシエテジェネラル社の子会社)を買収、これをSMBC信託銀行に改めた。

まぎらわしいよね。三井住友信託銀行があるので、それと被らないで三井住友銀行(SMBC)傘下であることを示すためにこうなった。

その後、2015年にシティバンク銀行の個人部門の譲渡を受け「PRESTIA」ブランドを立ち上げている。

PRESTIA=SMBC信託銀行なのか、それは違う概念なのかよくわからないが、

ともあれシティグループと提携した外貨関係の業務と、富裕層向けのプライベートバンキング業務を行う銀行が誕生したのだった。


富裕層に興味があるのは三井住友信託銀行も同じこと。

そんな三井住友信託銀行が興味を持ったのは、ダイナーズクラブのクレジットカードを発行するシティカードだった。

そうか、これもシティグループが日本での事業を縮小する中で手放すことになったものでしたね。

三越伊勢丹が興味を持っているとかいろいろありましたが、結果的には三井住友信託銀行の傘下に入ることに。

こうして三井住友トラストクラブに名前を変えて、ダイナーズカードとTRUST CLUBカード(旧シティカード)の発行を行っている。


あと、両社はそれぞれインターネット専業銀行を傘下に持ってますよね。

三井住友銀行の傘下にあるのは、ジャパンネット銀行(PayPay銀行に改名予定)、ヤフーと提携関係にあり、

現在はZホールディングスの子会社となっている。(が、三井住友銀行も46.57%の持分を持っている)

あとソニー銀行の設立にも関わっている。(こちらは2008年にソニーに持分の全てを譲渡している)

三井住友信託銀行の傘下にあるのは、住信SBIネット銀行(住友信託銀行の時代に設立したから未だに「住信」と残っている)、

こちらはSBIホールディングスとの合弁会社である。

そういえば、SBIってソフトバンクグループから独立した経緯のある会社なんですけど、

ジャパンネット銀行の親会社をたどっていくとたどり着くのはソフトバンクグループ、と考えると複雑な関係ですね。

一度は金融業を手放したソフトバンクグループだが、後にヤフーが買収・資本提携などの方法で金融サービスを強化した結果、こういうことになったのかな。


そんな複雑な三井住友銀行と三井住友信託銀行ですが、だいたいは名前が悪いわな。

揃いもそろって日本語では「三井」「住友」と並べるのに、英語名称では「Sumitomo」「Mitsui」と並べるんだから。

ここが違ったら独立性を示せた? もうちょっと工夫があってもいいとは思うけど。

与太話のファクトチェック

こんなニュースが流れていたんだけど。

ファクトチェック : 「野党議員は自宅待機 自民党議員は無症状即入院」ツイートは不正確 (毎日新聞)

まず思ったのは、ファクトチェックって誰かもよく知らない人が言っている与太話を検証することなのか? ということだが。

調べてみると、毎日新聞では最近1年ぐらいファクトチェックに積極的に取り組んでいるようで、

国内外の政治家の発言、他社の報道、インターネットの与太話などいろいろ。

ただ、この記事は珍しくも全文が無料で読めるんですね。(他のファクトチェックは大概有料記事になっている)

新聞社としての社会的使命も考えてのことだろう。根拠に乏しい話が広がり続けるのを防ぐことはできるかもしれない。


この件の毎日新聞の判定は「不正確」となっているが、

これは問題となったTweetで、国会議員の感染者と入院状況を整理しているところの一部に誤りがあるということで、

全く誤りではないが、全てにおいて正しいわけではないということで「不正確」としていると思われる。

フェイクではないが、ファクトとも言えないということですかね。

この記事の最後でこうも書かれていて、

「石原氏が優先的に入院できたかどうかは今後、検証されるべきことです」と五野井氏は指摘した上で

ということで、仮にこれが事実であることが判明すれば、このファクトチェックは「ほぼ正確」という判定になると思う。

が、現時点では検証できないので、こういう与太話が出回ることは誤解を招くということである。

そこを掘り下げるのが報道機関の役目ではないかというのはともかく、すぐに明らかになる話ではないだろう。


一方で、この記事ではどうしてこういう与太話が広がったのかという点について分析している。

森友・加計学園や「桜を見る会」などの疑惑を例に挙げ、こう分析する。

「安倍政権下で政権に近い一部の人が優遇されているのではないかという疑念が人々の間で生まれたのではないでしょうか」

政治家が病気を理由に病院に逃げがちだとか、政権に取り入ったものが優遇されているんじゃないかとか、

そういう経験則により、与党会派の議員は優先的に入院できているのでは? という類推につながっていると。

与党会派の議員が模範的な行動をしないことも、このような非難を過熱させているとも言える。

自公衆院議員2人が深夜に銀座のクラブへ、取材に陳謝 (朝日新聞デジタル)


まとめとしてインターネット社会への警鐘が書かれていて、この主張自体はそうなんだけどね

自分の信じたいものだけを信じる傾向がネットの普及とともに増幅されており、その現象の一つといえます。事実に基づかないで批判するのは陰謀論ともいえ、危険です

ただ、そういう類推をされてしまうのは、過去に疑惑を晴らすように政治家が努力してこなかったからではという気もする。

そこに対して、毎日新聞はこういう記事をインターネット社会に投げ込んだわけだが、納得感があるかは別問題かなと。


さて、新型コロナウイルスの診断を受けて、自宅療養になった後、症状が悪化しても入院できないということは問題となっている。

以前よりも診断能力が増したことで、診断を受けた患者の総数が増えており、

軽症のまま推移する人が多い以上は、自宅療養を基本に考えて、家庭の状況・持病・現在の症状により療養先を考えざるを得ないと。

ここに異を唱える人は少ないと思うが、これは症状悪化時に適切な処置を受けられることが前提であって、

あまり予兆もなく症状が急激に悪化するようなケースもあるからこそなおさらである。

緩和策として「HOTセンター」を設けて、そこで入院まで酸素吸入などの処置を受けられるようにするという案がある。

<新型コロナ>病床ひっ迫、入院待機者の臨時施設を発足へ 酸素投与など実施 神奈川県 (東京新聞)

宿泊療養の一種なのかな? 本来なら入院が相当としても、すぐに処置できないケースがあるのを解決したいと。


事情はいろいろあるようで、1つは新型コロナウイルスの患者を受け入れるということは人的リソースの消費が激しいということ。

感染症対策に手間がかかること、病床に出入りする人を減らすために通常の病床よりも看護師が担う役割が多いことなどがある。

「ベッドは余っているじゃないか」というのはまさにミスリードである。

これは課題だと思うんだけど、例えばインフルエンザの患者より手間がかかるのは事情を考えれば仕方ないとも思う。

新型コロナウイルス患者を受け入れる病院が他の患者を受け入れにくくなった分は、

他の医療機関が肩代わりするという分業で乗り切って行こうという話で、これはある程度うまく行っているそうだ。


ところが、ここに課題があって、院内感染などの懸念から医療機関の分業に支障を来しているという話がある。

これが症状悪化した患者がなかなか入院して処置を受けられないことの要因の1つであると。

救急搬送断り続け、苦しむ医師「触れることもできない」 (朝日新聞デジタル)

コロナ患者の転院支援へ、大阪府が新チーム 病床を圧迫 (朝日新聞デジタル)

従来、ケガの患者はその程度によっては整形外科の専門病院に搬送するという対応でよかったが、

ケガ+発熱となると、新型コロナウイルスの疑いがあるため、なかなか受け入れ可能な病院が見あたらないと。

こういう疑いのある患者から他の患者への感染を抑制できず、院内感染につながったケースも事実としてあるので、

この対応自体は妥当であるものの、そこに対応できる医療機関は限られ、

そういう医療機関は往々にして新型コロナウイルス患者で逼迫しており、受入不可という回答をせざるを得ないと。


もう1つの問題が、患者がなかなか退院できないという問題。

3次救急医療機関は難しい患者を受け入れて処置して、症状が安定した時点で他の病院に転院させるという分業をしている。

ところが、新型コロナウイルスの患者の場合、症状が安定したとしても、感染性が失われるまでは受け入れ先が限られる。

主には他の病気で治療を受けいていても、新型コロナウイルスの感染を否定できないケースも同様ではないか。

そもそも新型コロナウイルスは重症化した場合、治療が長期化するケースがあって、これも大変なのだが、

そこまで行かずとも転院がうまくいかず病床を圧迫し続けるケースがあって困ると。

とはいえ、安易に受け入れては院内感染の懸念があるので、これもまた難しい問題である。


このことから、医療機関の立場にすれば、できるだけ病院に入れないというオペレーションを取ることに合理性はあると。

医療機関もやってきた患者を行くところもないのに退院させるわけにはいかないなら、入口を絞ると。

新型コロナウイルスに対してはほとんど対処療法しかないのだから、入院したところでできることは限られる。

そういう意味では妥当なのかなと思うところもあるが、宿泊療養で酸素吸入までするというのは、なかなかのことだなと。


医師の処置を受けられずに死亡するケースがいろいろ報告されていて、これはまさに野党会派の国会議員が経験したことですが。

「俺、肺炎かな」検査への車中急変、会話途切れ 羽田氏 (朝日新聞デジタル)

死後の診断となったのはともかく、特徴的な症状は死亡直前までなく、急変後は手をつけられず死亡という経緯を見る限り、

大きな不備もなく、不運だが死亡という結果を変えることは難しかったんじゃないかと思う。

(激動の1年と思えばそれほどでも)

与太話の発端となった、自民党の石原議員が無症状ながらに早期に入院できたことと比べられがちなことである。

こういう事例があったこと自体は事実であり、それが先ほどのような類推を補強してしまっているわけですよね。

ただし、これはかなり事情は違うことなので、これはこれで掘り下げて検証した方がよいと思いますけどね。


ということで、このファクトチェックは陰謀論への警鐘という点では一定の意味はあるかもしれないが、

背景となっている事象の掘り下げという点では足りていないのかなと思った。

このような陰謀論を打ち消すことができないのは、ここ最近の社会の課題ではあって、

そこを打開するためにファクトチェックの記事を全文無料公開したのだとすると、その方向性自体は正しいと思いますけどね。

問題はその内容が必ずしも正しい理解につながらないということであって。

始業時間って10分単位だったんですか?

明日は午前中だけに勤務時間をシフトさせて仕事をする予定。

どうせ在宅勤務だし、こういうことはやりやすい。

時間単位有給休暇の端数調整の意味合いもある。


こういう風に勤務時間を大きくずらす場合、勤務時間の設定はいくつか考えなければならない。

その中でフレックスタイムが勤務開始時刻は10分単位にしなければならないというルールが1つの制約になっていた。

昼休み直前まで働いて、時間単位有給休暇を併用すると、5分単位の端数が残ってしまうと。

いくつかのパターンがあって、今までは15分不足にしておいて、後日に残業して打ち消す方法をよくやっていた。

でもめんどくさいなぁと思っていた。


そこで改めてルールを確認してみたら、勤務開始時刻は1分単位で申告するというルールに変わっていた。

おー、ということは5分単位の端数を残さずに時間単位有給休暇と併用できそう。

というわけで、それで上司には申告しておいた。


多分「勤務開始時刻は10分単位」なんてルール、誰も意識してなかったと思うけどね。

就業規則を見てみると、所定の始業時間や休憩明けが5分単位になっている職場もあるわけで、

そしたら所定始業時間とか、午前半休の勤務開始はフレックスタイムの概念に収まらないじゃないかと。

なので、多分今までもあれこれ言われることはなかったと思うが、

このルール変更で5分単位で勤務開始時刻を設定することは全く問題なくなった。


そろそろ年度末も近いので有給休暇の1日未満の端数に注意しながら使わないといけない。

あと2時間分だけ端数が残っているので、これも勤務時間を午前に固めるのに使うのが僕にとっての定番だが。

ただ、弁当売りが休止している中で出勤するならまた事情は違う……とかいろいろあるので。

2~3月は有給休暇計画取得日は1日あるけど、他に全日休暇はあるかないか微妙。

もっとも、年度末で消滅する有給休暇はもうないので、問題は1日未満の端数だけ。

気の毒だけど飲食店は悪者かもしれない

昨年12月ごろから東京都が手を焼いている新型コロナウイルスの感染拡大、

年明け前後から報告数が急増し、自費検査が要因としてはありそうだと思いつつも、

実態として発熱相談の件数が増加したり、重症者数が増加したりという傾向は明らかだった。

今週に入ってはこれらは横ばいかやや減少ぐらいですかね。12月下旬からの対策が少しは効果が出たのかも。

とはいえ、これが続くと大変ですからね。新規感染者をより抑える必要はある。


年明け前後の感染者数増加の背景として、クリスマスパーティーや忘年会の影響が指摘されている。

当時、東京都では酒類を提供する飲食店の営業時間を夜10時までとするよう要請していたが、

そもそも夜10時までという短縮が効果として不十分ではないかという話があった上に、

この要請を無視して営業する飲食店が少なくなく、手を焼いていたわけである。

知事が緊急事態宣言を求めた理由

緊急事態宣言により住民の危機感を高め、国と連帯して営業時間短縮に応じた飲食店への協力金の積み増しをした。

要請内容もより厳しいものとなり、南関東4都県の全域で全ての飲食店で営業時間を夜8時まで、酒類の提供は夜7時までと。

これは居酒屋の商売を壊滅的にするもので、営業時間短縮というより休業という選択への移行も多く見られた。


飲食店に営業時間短縮あるいは休業を求めたのは、実態として飲食店が感染拡大の場となっていることと、

あとは協力金という形で一定の損失補償をするような意味もあるはずで、

特に居酒屋にとっては壊滅的な内容ですから、ここは考慮されていると思う。

(東京都は大企業について協力金の対象にしていないので、中小企業支援という意味もあるのだろう)

このことに納得している人もいるだろうが、こういう話も出てくるのである。

「なぜ悪者扱い…?」 飲食店重視の対策、店主のぼやき (朝日新聞デジタル)

「昼飲み、いいわけがない」 田村厚労相が自粛呼びかけ (朝日新聞デジタル)

見出しが全てですね。


確かに気の毒だなと思うのだが、どうしてこういう事態を引き起こしたのか考えてみると、

飲食店の「営業活動」によるところはあるような気がする。

そもそも12月に入る頃には忘年会などで人と集まることはやめようと住民に呼びかけていた。

ところが飲食店の理解は必ずしもこうではなかったわけですよね。

営業時間短縮などの要請に応じても、その枠内で客を最大限に集めたり、あるいは従わないことが横行したと。

その極地が「昼飲み」である。昼間ならば営業時間短縮要請がかからないから自由に客が集められると。

でも、それは本来の意図ではないわけで、こうして火消しにかかったわけである。


正直なところ、飲食店の営業時間短縮というのは一般の住民にとっても苦しいものである。

夜間の飲食が全てリスクが高いわけではないが、一方で夜間は長時間にわたり酒を飲んでは騒ぐ人が多いのも事実である。

以前は酒類を提供しないならばという緩和策もあったが、背景は知らないがそれもなくなってしまった。

現在の休業要請というのは朝・昼・晩と食事を取るには不便がないように考慮したのだろうと思うが、

夕食をより遅い時間に食べる必要がある人もいて、手早く食べられる料理店は重宝していたはずだが、使えなくなってしまった。

手早く食べるならリスクの程度としてはそう大きくないし、食べることは生きることの基本であることを考えればよくないが、

しかしながらここまでの経緯を考えれば、営業時間短縮要請はやむを得ないかなと思う。


ただ、昨年の3~4月頃と比べれば、テイクアウトや宅配などを充実させた飲食店も多く、

営業時間短縮要請が出ても、テイクアウトの営業時間は従来通りとして、食事ニーズに応えている店もある。

特にファストフードやファミリーレストランですかね。

東京都の協力金が大企業に支払われないのは、大企業はこういう工夫がしやすいというのも考慮しているのでは? と。

もちろん、これで救われる会社と救われない会社はあるんだけど、やりようはあるわけだ。


しかし、悪いシナリオというのはいろいろ思いつく。

まず1つはさっきも紹介した「昼飲み」である。

これが横行すると飲食店の店内飲食を一律休止させるような措置も考えなければならなくなる。

もう1つ、こっちの方が恐ろしいシナリオなんだけどホームパーティーですね。

飲食店を介した感染に比べれば少ないので今は軽視されているが、飲食店で夜間に長時間酒盛りをするのが難しくなると、

料理をテイクアウトして、酒類を調達して、家などで集まって酒盛りをするという発想も出てくるかも知れない。

フランスの話で、これはもはやホームパーティーではないけど……

コロナで夜間外出禁止令なのに…36時間2500人のパーティーがフランスで (東京新聞)

背景には厳しい行動制限により人々の不満が溜まっており、人々は法令に反して大規模パーティーが散発的に行われたのだという。


ヨーロッパではこのように一定人数以上が集まることを厳しく規制することが行われていることが多いようだが、

日本ではなかなか難しいんじゃないかと思う。なぜならば「集会・結社の自由」を侵すことに抑止的だったからである。

なにしろ日本では暴力団やテロ行為を行った宗教団体の解散すらできず、厳しい監視下ではあるが存在が認められている。

確かに感染症対策ということで、それなりの理由はあると言えるが、人権を制約するにあたっての妥当性が難しい気がする。

営業時間短縮要請も「営業の自由」を侵害するという話はあるが、協力金の支給などでバランスを取っている。

あとは規制するにしても実効性のある措置がとれるかという問題ですね。

店で酒盛りするのを防ぐには店の営業を制限すれば防げるが、家で酒盛りするのを防ぐ実効性のある手段はなかなか思いつかない。

やはり自発的にリスクを避けてもらうしかないのだが……


というわけで、住民の自制が重要なのは言うまでもないが、飲食店などの自制も必要だと思う。

確かに気の毒だけど、この状況を招いたのは飲食業ではないか? と言われたとき否定することはできないと思う。

感染リスクの低減に努め、客もそれに協力的であった店にとっては申し訳ないんだけどね。


飲食店にばかり厳しくて、混雑する通勤電車の方が危ないんじゃないかみたいなことを言う人もいるが、

これはこれまでのデータ、あるいはシミュレーション結果に照らし合わせれば、そう大きなことではないと思われている。

確かに東京都もテレワークの推奨を行っているので、すると通勤電車の混雑は緩和されるべきなのだが、

ただ除去したいリスクというのは、職場やその周辺での飲食というところだと思う。これは実際に感染源として多い。


人々の理解の差というのが、いろいろな対策の妨げになってるのかなと思うことはしばしばあって、

飲食のリスクについて、単純化して捉えすぎると「昼飲み」は許容されるということになるし、

逆に1人で黙々と飲食するリスクは理屈上はそう高くないのだから「孤独のグルメ」は許容されなければおかしいという主張もある。

前者は明らかに間違いなんだけど、後者はそうかなと思う一方で、線引きの難しさが課題である。

これまでの実績ベースで言えば、現時点でそれを許容するのは難しいのかなと思う。

まぁ難しいんですよ。新型コロナウイルス感染症ってわかってないことが多いんで。

そんな中でどういう対策が妥当か、どういうリスクは許容するかというのは難しいし、見誤ることはあると知っておこう。

都府県が国に連帯することの意図

東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県が国に緊急事態宣言の発令を要請したというニュースはよく知っての通りだが、

そこに至るまでの経緯が紹介されている記事があった。

緊急事態宣言 動かした小池都知事、最後に乗った千葉 (朝日新聞デジタル)

確かに当初は東京都・埼玉県で連帯してという話だったのが、いつのまにやら神奈川県・千葉県も加わっていたという話だが、

千葉県は当初消極的だったところ、神奈川県も加わるなら加わるという話で、神奈川県が要請に加わることとなって、

その約束通りに千葉県も含めて南関東4都県で国に要請することとなったということが書かれている。


東京都が隣接する3県を巻き込んだのは、積極的対策に消極的な国を巻き込むためには、

東京都の暴走と思われないようにするための政治的な意味合いも大きかったんだと思う。

一方で、これに隣接3県が乗ったことにはそれなりの理由はあって、千葉県が少し消極的だったというのも、

東京都市圏の人の動きがそうなっているからということで説明できるんじゃないかという気がする。


というのも、都市雇用圏の東京都市圏(東京都特別区域などに10%以上の通勤がある地域)というのは、

  • 東京都 : 島しょ部を除くほぼ全域
  • 埼玉県 : 深谷市が北端、秩父地域・本庄市周辺などを除く地域
  • 神奈川県 : 箱根町を除く全域
  • 千葉県 : 南端は富津市、東端は山武市、成田市周辺・安房地域・銚子市周辺などを除く地域

あと、茨城県の取手市・守谷市周辺、山梨県の上野原市も含まれる。

都市雇用圏-Urban Employment Area-

こうして見てみると、神奈川県・埼玉県も都市圏という観点ではほぼ全域が東京の一部なんですね。

千葉県については、成田市周辺が独立した都市圏として成立していることと、地形的要因により房総半島南端や銚子市付近などは含まれないが、

その一方で、東京都に近い東葛地域だけで千葉県の人口の半分近くに達するなど、千葉市と並んで重視される地域である。

千葉県全体を巻き込むには少し踏ん切りは付かないが、やむを得ないという判断はあったのだろう。


もちろん南関東4都県も地域性はあり、一様に感染状況が悪いとも言い切れないところはあるが、

一方で東京都だけに収まっているとも言えないのも確かで、周辺都市も含めて対策が必要であるのは事実である。

巻き込まれたと思う地域もあるだろうが、そこは妥協して欲しいということである。

現状がそこまでひどくなくても、地域内に飛び火するのを防ぐ効果もありますからね。


なんてわけで南関東についてはこんなもんかと思う一方で、近畿圏でもこんな話があるらしい。

大阪府が9日にも緊急事態宣言の再発令要請へ 兵庫と京都も同時要請検討 (毎日新聞)

大阪府が兵庫県・京都府を巻き込んで国に要請するか? という話らしい。

当初、大阪府では大阪市内に集中して対策をしていたが、府内の他地域での感染拡大が問題となっていること、

兵庫県でも神戸市や阪神・東播磨などで感染者の報告が多く、医療機関の逼迫が問題となっていること、

京都府では京都市内での感染拡大が続いていることが背景にあるようである。

もっとも兵庫県は少し前まで慎重だったところ、神戸市からの申出などもあって検討した結果、このようになったとのこと。


大阪府は全域にわたって強い対策が必要なんだろうなというのはなんとなくわかるものの、

兵庫県と京都府はかなり広いので、この辺は地域性もあるような気はする。

とはいえ、兵庫県はなんやかんやいって広範囲に影響が及んでいるようですね。

阪神地域は大阪との行き来が多いので、ここは同一視して対処する必要があっただろうなと思ったが、

神戸市やそこに隣接する東播磨地域での報告が多いようで、兵庫県内の事情だけ言えばそっちのほうがきつそうですね。

京都府については大阪府とは直接連動している感じはしないが、京都市での蔓延は根が深そうだ。


大阪府・兵庫県・京都府にはそれぞれ蔓延度が高い地域があり、効果的に対処する必要があるという点では一致してるが、

ただ、大阪府を除けば府県の区域が広いというのが問題で、ここをどうするかが悩み所かなとも思う。

特に両府県にとって北部の丹波・丹後・但馬地域は、京都府南丹地域を除けば問題の地域との行き来は少ないはず。

こういうところで特別な対応をする必要があるのか、地域性を考慮して段階的な対応を取るのか、

それとも穴をふさぐことを重視して一律に厳しい措置をとるのかというところが悩ましいところでしょうかね。


南関東4都県は一律でもかまわないという割り切りはあったが、この3府県は難しい。

というか、よく兵庫県も京都府も乗ろうとしたなという感じはある。

運用上の細部は府県側で決定できるので、そこら辺は各府県の事情に合わせてということになろうと思う。

面的に対策を取った方がいいのかなと思うが、納得感も重要だと思うので、そこはよく検討しないとならんだろうと思う。


近畿圏の都市雇用圏は、大阪・京都・神戸がそれぞれ独立した中心都市である一方で、

大阪府・兵庫県の府県界はあまりに行き来が多く、神戸市でも東灘区などは大阪の郊外としての色も濃い。

このことからすると、大阪府から阪神・神戸・東播磨にかけてはあまり段差なく対応できた方がいいように見える。

一方で、大阪と京都の間は明確に人の向きが変わるところがある。(府県界に近いが少しずれている)

なので、また違う話で、京都府は話を見る限りは京都市に集中しているので、まずはそこなのかなという感じはする。

大阪府との間を埋めるように乙訓地域や八幡市なども取り込んで対策してもいいのかもしれないが。

こういう人の流れも考慮してみると、兵庫県と京都府は大阪府と連帯する意図に少し違いがありそうなことが想像ができる。