ちょうど参議院議員選挙が始まる前ぐらいに、議員定数を衆議院で80人・参議院で40人ぐらい減らしたいという話があった。
衆議院が480人から400人、参議院が242人から200人ぐらいにしたいということだろう。
衆議院の方は減る80人は全て比例代表の割りあて分となりそうである。
民主党は小選挙区制が大好きでね。
小選挙区制での結果というのはかなり極端になるから、政権交代が起きやすいのが理由らしい。
どういうことかというと、300の小選挙区全てでA党とB党の候補者が立候補していて、
例えば、ここで全部の選挙区で51%の人がA党の候補者・49%の人がB党の候補者に投票すると、
300の小選挙区すべてでA党の候補者が僅差で勝利して、小選挙区で選出された300人すべてがA党の候補者になってしまう。
これはあまりにひどい。しかし、過半数とりやすいことは間違えない。
小選挙区制だけだとあまりに極端すぎるので、これを少し補正する意味で比例代表で180人の議員を選出することとしたのだろうが、
選挙区と重複立候補して復活当選するのはけしからんという話もある。
おそらく比例代表の割り当てを減らして、復活当選の可能性を減らし、背水の陣を敷きたいという思惑もあるのだろう。
問題は参議院の方である。おそらくこっちはそう簡単な話ではないだろう。
3年ごとの改選数は100議席になるが、これを全て選挙区で選ぶことと全て比例代表で選ぶことを考えてみる。
まず、選挙区で選ぶ場合だが、今と同じように都道府県単位の選挙区に議員を割り振るところから始まる。
違憲の恐れの高い各都道府県にまず1議席配分する方法は使わず、ヘア・ニーマイヤー式で割り振ってみる。
ヘア・ニーマイヤー式というのは、人口/(総人口/議員定数)の計算結果の結果の整数部と小数部を並べて、
整数部の議席をまず割り振って、それで割り振れなかった残りを小数部の大きな都道府県から順番に割り振っていくと。
総議席数が増えたときに割当数が減ることもあるという問題はあるが、どうも日本ではこれを使っているらしい。
しかし、この方法では鳥取県の割りあて議席が0になってしまう。
というわけで整数部が0の都道府県は優先して1議席の割り当てを受けることとした。
まぁそんなんだから一票の格差はいままでよりはましだけど、それでも3.33倍もあるからかなり大きい。
その結果を眺めてみると、東京都の割りあてが10議席であったり、都市部で割り当ての議席数が多い一方で、
農村部が多い都道府県では割り当てが1議席しかないから実質的には小選挙区制となったりする問題がある。
必要以上に農村部の有権者の意図が反映されやすい仕組みですね。
これは今の参議院議員選挙の選挙区の特徴そのものですわ。
一票の格差で農村部の有権者の票の重みは重く、さらに実質的には小選挙区制なので極端な結果が出る。
一方で都市部では票の重みは軽く、大選挙区制のため各政党が議席を分け合う構図になる。
今回の参議院選挙はこの特徴が顕著に出たのではないかなと思っている。
農村部のわずかな有権者が自民党に投票するだけで、自民党はたくさんの議席を確保できたというのが真実でしょう。
全て比例代表で選ぶ場合だが、全国一選挙区なら一票の重みの心配はいらないし、
比例代表では投票結果に比例した議席が各政党に割り振られるので極端な結果にはならない。
ただ、非拘束名簿式で全国一選挙区だと個人票の集計が大変そうである。
かといって衆議院のようにブロック単位の選挙区にすると、
この各ブロックに100人の議員を割りあててみると、四国ブロックの割り当ては3人になるので、さすがにこれはないなと思った。
やはり一票の格差について考えなくていい全国一選挙区にするのが無難でしょうね。
そういえば衆議院の比例代表選出分を80議席減らしたら、比例代表選出は100議席か。
やはり衆議院のブロック単位の選挙区での比例代表制は100議席まで減らすと成り立ちませんね。
これも全国一選挙区にしないといけませんね。
しかし、議員定数を減らすと言う流れはどうなんだろうねぇ。
この議員定数を減らす理由には支出を減らすと言うことがあるようで、やはり国会議員は単価が高いから効果もそれなりにあるのだろう。
けど議員定数を減らすと言うことは、その分有権者の意図を反映しにくくなるという問題がある。
本当は単価を減らすのが正しいと思うのだが、なかなかそうもいかないのだろうか。
まぁなんにせよ今の選挙制度はいろいろガタガタなので、これを今度の選挙までに直して欲しいもの。
このままいくと長いこと国政選挙はないはずなので、じっくり作っていけばいいさ。