ちょっと話題になっていたのですが。
競馬キンキ/【競馬キンキから重要なお知らせ】 (Twitter)
兵庫県の園田競馬場・姫路競馬場の競馬新聞「競馬キンキ」が休刊となるという話。
僕もよく知らないんだけど、この競馬場で新聞と言えばこれというほどのものらしい。
(もう1つ「園田ニュース」という新聞もあるらしいが、実は同じ会社だそうで)
というわけで、これがなくなるとファンにとっては困った話なのだが、
「競馬ブック」という競馬新聞が園田・姫路版を新しく発刊することとなり、競馬キンキの記者も移籍するようである。
というわけで、とりあえず一安心と。
競馬新聞というのは競馬予想のお供としては歴史の長いものである。
価格は1部500円前後で、出走馬の成績・調教・関係者コメント、そして記者の予想などが掲載されているそう。
買ったことはないんだがな。
ただ、専門紙というのは内容は充実してるが、価格は高めで入手性にも難がある。
一方で多くのスポーツ新聞では競馬について取り上げており、内容はだいたい同じようなところ。
とはいえ紙面の都合もあるので、掲載できる内容にも限りがあるのは劣るという。
あと地方競馬だとそもそも掲載されるかという問題もあるかも。
でも価格が130円前後と安く、全国的に入手性も良いので、これはこれでファンが多いとのこと。
で、競馬キンキ休刊の背景には新型コロナウイルス騒動があるのは確からしい。
昨年、全ての競馬場が無観客開催を経験し、入場者数を制限したり、また無観客に戻ったり、
いろいろあったが、なんやかんやと馬券の売上は伸びた。特に地方競馬は大きく伸びた。
地方競馬は2010年頃に売上が底を打って、インターネット投票の普及で売上が増加、
そんな中での新型コロナウイルス騒動、他の娯楽が壊滅する中で、家で楽しめる娯楽として相性が良かった。
というわけで、これは競馬界にとってよいニュースだったが、問題は競馬場・場外馬券売場に来る人が減ったこと。
特に競馬新聞は競馬場・場外馬券売場で買う人が多いわけですよね。
今日は1日競馬を楽しむぞと意気込んでやってくるから、500円ぐらい払ってもよいという考えになりやすいのもある。
それが家で競馬楽しむぞといっても、そこで競馬新聞を買いに行くかというと、そもそも買える場所も限られるのに……となる。
という傾向は、新型コロナウイルス騒動の前からあったらしい。
そこで打開策の1つとして、コンビニのコピー機を使った新聞の販売を以前からやっていたらしい。
こうすれば家の近くのコンビニで新聞が買えるということですからね。
ただ、価格設定は割高になって、マージンが大きく儲けも少ないということで、なかなか難しい面もあったようだ。
それでも、こういう仕組みを以前より作ってたことで、家で競馬新聞を見ながら予想できて助かった人もいるんじゃないか。
インターネット時代になって競馬新聞にもライバルが増えた。
インターネットでの有料・無料いずれも情報入手手段が増えた。
主催者のWebサイトに行くだけでも、これまでのレース成績、レース映像も見られたりするわけだから。
有料といえば、JRA自身も「JRA-VAN」というデータベースを提供しており、競馬新聞に期待していた情報が揃うという話も。
競馬新聞の出版元もインターネットサービスを充実させたりしているが、できるところばかりでもない。
というところで出てきたのが、このたび競馬キンキを引き継ぐことになった「競馬ブック」である。
JRAの競馬新聞としてはもっとも有名なもので、特に関西では有名とのこと。
1946年、京都競馬場近くで創業し、現在は栗東トレーニングセンター近くに本社を置いている。
競馬開催前日に発売される新聞だけでなく、「週刊競馬ブック」というレース内容の振り返りをメインとした雑誌も出しているそう。
地方競馬では ホッカイドウ競馬(門別)・ばんえい競馬・南関東公営競馬 についてそれぞれ発売している。
このラインナップに 園田・姫路版が加わるってことですね。なかなかですね。
が、さらに驚くべきことがあって、発売元の 株式会社ケイバブック は「研究ニュース」「勝馬」という競馬新聞の発売元でもあると。
特に「勝馬」は去年ケイバブックに譲渡されたという経緯があるようだ。
この3つはいずれもJRAの競馬新聞を出していて併売されているそうである。(勝馬は東日本のみ)
なんか変な感じはするけど、それぞれ紙面構成や予想に違いがあるようで、それぞれにファンがいるらしい。
で、まさにこの競馬ブックというのはインターネットサービスを充実させてる競馬新聞みたいなんですね。
月額330円から月額3300円まで4つのコースがあるってのがすごいけど。
インターネットなので新聞・週刊誌の発売タイミングにとらわれずにタイムリーに情報提供できる。
この地方競馬のラインナップに園田・姫路が加わるということで、競争力強化を狙ってるんじゃないか。
さすが業界のガリバーといった感じだが、思惑通りにいくかどうか。
でも、同じようなことを競馬キンキのままやることは不可能だっただろうから、ここに賭ける価値はあるんじゃないか。
競馬新聞がなくなると、競馬予想に不便し、馬券の売り上げも上がらないだろうという話はあって、
無観客化にあたって、競馬新聞から権利を購入したのか、新聞のデータを無料公開する主催者もあったようである。
ファン以上に主催者の方が危機感は強い問題かも知れない。
歴史的に見れば競馬新聞というのはそれぞれの競馬場でローカルに発行されていたものらしく、
それこそJRAでも東日本と西日本で全く別々に発行されていた時代があったようである。
今ほど東西の競走馬の行き来が多くなかった時代なら、取材も地域内で完結していただろうから。
それが東西双方の馬券を同じところで買えるようになれば、必然的に双方予想したいという話になり、
そうすると東西の競馬新聞が協力関係を結んで、双方のレースを掲載したり、それが進んで1つの新聞になったり。
インターネット時代になってその流れが地方競馬にもやってきてるということだと思いますよ。