今どき声優のグラビアを掲載する雑誌は多いわけだけど、
その中でも月刊でやっている雑誌として「声優グランプリ」と「声優アニメディア」は有名であり、
特に前者は1994年創刊で、昨年に創刊25周年を迎えた老舗である。
ただ、この雑誌、気になるのは発売元が 主婦の友社 であること。
主婦の友社 というのは1917年創刊の「主婦之友」(のちに 主婦の友 に改名)を発行していた会社。
もっともこの雑誌は2008年に廃刊になっているので、社名だけに名残を残しているわけである。
とはいえ、今も女性向けの雑誌や、生活に根ざした出版物を多く出している。
同社の雑誌で筆頭に書かれているのが「Ray」「GISELe」と言ったファッション雑誌、
他に月刊誌としては「ゆうゆう」という50代以上の女性を想定した生活雑誌、「健康」という文字通りの健康情報雑誌、
このあたりかつての「主婦の友」を年齢別・路線別に引き継いだものと取ることもできるのではないか。
現在、主婦の友のWebサイトを見ると、雑誌一覧に「声優グランプリ」の名前はないが、
これは2011年に編集・発行が 主婦の友インフォス に分社化されたことによる。
当初は主婦の友社の子会社だったが、2019年に資本関係が変わって、持分の95%をIMAGICA GROUPが持つようになっている。
主婦の友インフォス は現在はヒーロー文庫というライトノベルレーベルを持っているが、これも2012年創刊。
声優グランプリが1994年創刊ですから、当初は全く飛び地的に同雑誌が生まれたことがうかがい知れる。
本当になんで主婦の友社なんだろうね?
詳細な経緯は明らかになっていないが、おそらくそうなんだろうなと思うのは、
ファンのための雑誌であるとともに、職業選択にも役立つ雑誌を目指したということはあるんじゃないかなと。
ページの一部は声優養成所など、声優になる人に向けた内容になっている。
全体からすれば6~8ページ程度でそんなに多くないんですけどね。
でも、確かにわざわざこんなことを書く雑誌ってあんまりないと思うんだよね。
その点では貴重な雑誌かもしれない。そこが主婦の友社がやる意味だと主張したのかも知れない。
最初に出てきたもう1つの「声優アニメディア」はその名前の通り、アニメディアの増刊号として生まれた雑誌。
2004年に季刊で創刊、2007年から月刊化され独立したということになろうと思う。
アニメディアもアニメ雑誌としては老舗(1981年創刊)で、その中でキャラクタを演じる声優が話題になるのは必然で、そこにルーツがあると見られる。
発売元は学研プラス、編集・発行元は今年2月にイードに分社化されているが、そこまでは学研がやっていた。
こちらはそんなに驚くところはないですね。学研は学習雑誌の印象が強いかも知れないが、アニメとの関わりも多い会社である。
このあたりは老舗だけど、新規参入組というのも見かける。
KADOKAWA(旧エンターブレイン)が発売している「My Girl」というムックがある。不定期刊ですかね。
2014年創刊で、当初は女性アイドルのグラビアを掲載する雑誌だったようである。
2016年2月発売のVol.8では”VOICE ACTRESS EDITION”と銘打って女性声優の特集を行った。
とはいえ、この頃は特別号という扱いだったのだろう。Vol.9にはまた元のスタイルに戻っているが、
Vol.14(2016年9月)、Vol.16(2016年11月)と1号おきに”VOICE ACTRESS EDITION”が出て、
Vol.18(2017年4月)からはずっと”VOICE ACTRESS EDITION”が続き、
後に”VOICE ACTRESS EDITION”という表記も消えて、完全に女性声優のグラビアを掲載するムックになっている。
どういう気変わりがあったのか知らないけど、”VOICE ACTRESS EDITION”が当たったのは確かですね。
アイドルのグラビアとはまたやり方も違うので、うまくやらないと評判も上がらないのではないかなと思うけど、
うまくやればノウハウがある分、うまく立ち上がっていくのかなと思う。
My Girlについて言えば、KADOKAWAの他の雑誌・書籍との相性はよさそうなもんですしね。
ただ、ルーツが全く違うところにあるので、そこに距離感があるのは気になるところだけど。
単行本として写真集が出るような話もあまり聞かないし。このムックだけが孤立してあるような印象は受ける。
でもやっぱり主婦の友社(主婦の友インフォス)は強いですね。
やっぱり創刊25年の蓄積はただごとではないらしく、単行本の写真集もファンからの評判も高いようである。
なんでこの会社が? と思ってしまうけど、事実として強い。
どこが「主婦の友」やねんと言いたくもなるけどね。