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これは安楽死ではないと思いますが

先日、「嘱託殺人」というちょっと聞き慣れない罪で逮捕者が出たというニュースがあった。

ALS患者を嘱託殺人容疑、医師2人を逮捕 京都府警 (朝日新聞デジタル)

ALS患者から依頼を受けて、医師(主治医ではない)が薬物を投与して、患者を殺したということである。

薬物を投与した後に立ち去り、その後死んでいるのを発見され、調べたら使っていないはずの薬物が検出され、

そこから調べた結果、逮捕に至ったということらしい。

外見的には完全に殺人事件だが、依頼を受けた人を殺した場合は、法定刑が軽くなっている。


「安楽死か?」と言われたが、医師がやるやり方としてはあまりにお粗末というか。

これをわざわざ医師がやる必要があったのかなぁって。

医師だったら自分で死亡診断書を書けるわけで、そのための体裁ってのはあるでしょうけど。

ただ、そうして巧妙にやっていたら、何も怪しいことはないように見えるわけで、すると逮捕されることはないですよね。

実は世の中にはこういう事件は多少なりともあるが、明るみになっていないだけでは? と言われればそうかもしれない。


これまでの歴史上、医師が殺人罪などに問われたことは何度かある。

「安楽死」進まぬ議論 過去にも事件、判例では4要件 (産経新聞)

その中でこの条件を満たすならば意図的に死を早める「積極的安楽死」が許容されるのではないかということを示している。

ただ、実務上はこの条件を満たせば「積極的安楽死」が行われているわけではないので、裁判所が言っているだけのことである。

一方で、ここに示されている事件の中には、家族などの同意を得て人工呼吸器を取り外したなど、

積極的に死を早めたというよりは、治療を中止した結果として死んだというようなケースもあって、

そういうのは殺人罪の条件は満たさないと判断されることが多いようである。

そのためには治療中止の判断が妥当であったかが問題になるでしょうね。

判断の重さからすれば、複数の医師・看護師が関与することが必須でしょうね。


以前、このBlogで安楽死のことを話題にしたことがある。

安楽死という悲しい過去があった

まぁ競走馬の話なんですけどね。

特にサラブレッドという馬は細い脚4本で体を支えており、普段から脚への負担が大変重い。

そんな中で1本の脚が体重を支えられなくなると、他の脚にも影響を及ぼし、最終的に命を落としてしまうというのがある。

このように患部の養生が難しい実情があり、過去に治療を試みた馬も最終的には死んでしまうことも多いようだ。

生かしても苦しませるだけ、それならばすぐに安楽死させた方がよいというのは関係者の共通認識となり、

レース中に予後不良と診断されれば、競馬場で安楽死となるのが通例で、サイレンススズカ号もその例によったという話である。

競走馬の診療に関わる獣医師では共通認識ということがポイントではないかと思う。


人間でも同じだと思うんですよね。学会で決めたルールがあるとか、医師の間で共通認識が出来上がっていれば、

例え、それが意図的に死を早める行為であったとしても、それはやるべきことであり、罪に問われることはないはず。

ただし、現状においてそういう医療行為があるという話は聞いたことはない。

苦痛の軽減を図るための処置を行うことはあるかもしれないが、直接的に死期を早めるほどのことはないと聞いている。

もしも、そうそうすぐには死なないが、生きている限りにおいて苦痛を軽減することが困難なんていう症状があれば、

意図的に死を早める医療行為にも妥当性がありそうだが、今のところ学会などで合意できているものは何もないのでは?

もちろん、この判断は時代によって変わってしかるべきことですが。


その上でALSってどうですか? っていうと、僕が知る限りではあまり意図的に死期を早めさせる理由はないんじゃないかなと。

ALSは全身の筋肉が動かなくなる進行性の病気で、なにもしなければ呼吸ができなくなって死ぬと。

ただし、ここは人工呼吸器を付けることで乗り越えることもできるが、人工呼吸器を装用するのは患者の3割ほどという。

そんなもんなのかと思ったが、ALSの発症のピークが65~69歳と比較的高齢らしく、そこも判断に影響しているのではないかなと。

症状の進行も人それぞれで、平均的には発症~呼吸不全が2~5年程度だが、長い人も短い人もいるとのこと。

ALSという病気のポイントとしては、歩行困難になって、発話困難になって、摂食困難になってと、

筋肉が動かせないことに伴う問題はいろいろあるが、触覚・視覚・聴覚といった感覚や意識にとっての影響はなく、

発話困難などコミュニケーション上の問題は大きいが、そこを乗り越える装置がいろいろあり、症状によって使い分けられている。


何を苦痛と捉えるかは患者次第だが、ALSについて言えばやりようはある病気だなという印象である。

主治医らは不安を解くための情報提供できていない面もあったのかもしれないが真相はわからない。

何が問題か、何を不安と考えているかということは、よく医師や看護師と相談するのが大切だと思う。

個別の患者の症状はいろいろで、もしかしたら積極的に死期を早める処置をするのが適切なケースもあるかもしれない。

そう考えられるケースがあるのなら、医師らはそういう案件を持ち寄って学会などで検討するのが責務だろうとも思う。

今すぐ適用できるかはともかくとして、そういう選択肢がないものだと決めつけるのもよくない。


最後に念のために書いておくけど、今回のことは論外であって、殺人以外の何者でもないと判断するしかない。

医師ならばもうちょっと体裁を整えろとは思うが、1人、2人の医師が取り繕ったところでやっぱり妥当性はないと思う。

殺された患者の病状も論外だと思う。それなりに症状は安定しており、適切なケアも受けられているようだから。

でも、医師が積極的に死期を早める処置を行うことが全く否定されているわけではないとも思うんですよ。

もしそういう行為があるとすれば、どういう条件を満たすべきなのだろうかということを考えたまでのことである。


Author : Hidemaro
Date : 2020/07/25(Sat) 23:50
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