大雨により佐賀県で大規模な冠水が起きて、住民らの救助や、孤立した病院への物資輸送にゴムボートが活躍した。
消防・警察だけでなく、自衛隊もゴムボートを出していたのだが、ちょっと不思議な光景が。
【動画あり】病院の孤立続く 自衛隊が救助開始 大雨から一夜の佐賀県 (西日本新聞)
旭日旗を掲げたゴムボートが救援活動をしている写真が掲載されている。
実はこれは海上自衛隊のゴムボートなのだが、自衛艦に掲げるのと同じ旗を掲げている。
ゴムボートに旗を掲げるというのは珍しい光景だと思う。
そもそも、船はどういうとき旗を掲げる物なのか。
船舶法では、日本船籍の船だけが日本国旗を掲げられ、日本船籍の船は法令の定めにより国旗を掲げるように規定されている。
ここでいう船舶というのは動力を持つ船のことで、手こぎ船 や はしけ は船舶ではない。
船舶法施行細則では、外国の港を出入りするとき、外国貿易船が日本の港を出入りするとき、役所から指示があったときに船尾に国旗を掲げることになっている。
ということは、外航船は港に出入りするときは国旗を掲げる義務があるが、内航船は必ずしも国旗を掲げる義務はないと。
もちろん、日本船籍であれば国旗を掲げる権利はありますから、大型船を中心に内航船でも国旗を掲げていることは珍しくないだろう。
一方で、海上自衛隊の船舶は船舶法の適用を受けないと定められている。
そして、自衛隊の使用する船舶には、自衛艦旗を掲げることが定められている。
ゴムボートが掲げている旭日旗こそが自衛艦旗である。
国際的な慣例で、船が掲げる旗には 商船旗 と 軍艦旗 の2種類があって、商船と軍艦で旗を使い分けるんですね。
日本では国旗と商船旗は同じだが(というか商船旗が国旗になった)、イギリスなど国旗と商船旗が異なる国はけっこうあるそう。
いずれにせよ目的は船の国籍を表すこと。使用先が異なるだけのことである。
海上自衛隊が持ってきたゴムボートは、通常は護衛艦に積載される。
もともと海上で使うことが想定された船で、なおかつ状況によっては海上での実力行使に使われるそうである。
警察・消防のゴムボートもそうだし、陸上自衛隊のゴムボートもそうだと思うけど、河川・湖沼での使用を想定したものであるところ、
海上自衛隊のゴムボートは海上で一人前に活動できる船というのは大きな違いなんだろうと思う。
だから、ゴムボートといえども、自衛艦旗を掲げているんじゃないだろうか。
陸上での災害に対して、海上自衛隊が出動すること自体はありそうだが、
ただ、航空部隊の出動だったり、海上輸送だったり、まさか陸上で「自衛艦」を使うことなんてそうそうあるまい。
なかなか水が引かない中、海上自衛隊の活動は大きな助けになったんじゃないだろうか。
河川事務所がポンプ車を使った排水を進めた結果、今日の午後には、船に頼らずとも移動できる程度には排水が進んだようである。
最大でポンプ車16台を動員して、60時間以上かかったということで、とてつもない状況だったことがわかる。
そもそも、大町町周辺は、海抜ゼロメートル地帯で排水が悪く、雨水を排出するポンプを整備して、浸水害を防ぐようにしてきた。
佐賀・大町一帯、冠水拡大なぜ 海抜ゼロ排水不良に (西日本新聞)
ところが、ポンプが整備されることにより、別の問題が顕在化してきた。
それは、雨水の排出により河川の水位が上がってしまうこと。過去には堤防の決壊に至ったこともあったようだ。
その反省から、六角川では雨水の排出を制限する「調整運転」という仕組みが確立されているようである。
一部地域では浸水害が起きるが、広範囲に洪水被害が出ることが防げるというわけ。
あまり好ましいことではないが、数年に1回、こういうことが発生しているのが実情だそう。
根本対策としては河川の流下能力を向上させることが必要だが、これが難しいそうなのだ。
軟弱地盤かつ有明海の潮汐の影響のため、河道掘削してもすぐに土砂が堆積してしまうんだとか。
比較的効果のある対策が遊水地だったそうで、下流部の洪水対策には一定の効果が出ているようである。
ただ、それ以外の対策はなかなか効果を発揮しきれていないようで、河川事務所の資料には対策方法には調査・研究が必要とまで書かれている。
河川改修には時間がかかるものだが、この地域ではそういう問題だけではないようだ。