男女同数は実現できるか?
候補者男女均等法 こと 政治分野における男女共同参画推進法 ができて、
政党・団体が擁立する候補者はできる限り均等になることを求められるようになった。
地方議会の選挙でも適用されるが、やはり政党の組織化の強い国政選挙でこそ、実効性が高いのではないだろうか。
といっても、政党によって取り組みに差があったのも実情である。
主要な6政党で、立候補者の男女比が離れている順に、
公明党(女性候補者8%)、自民党(同15%)、日本維新の会(同32%)、国民民主党(同36%)、共産党(同55%)、立憲民主党(同45%)
立憲民主党・共産党はほぼ同数と言える範囲、国民民主党と日本維新の会は男性が多いが同数に近づけたように見える。
選挙区で 立憲民主党・国民民主党・共産党・社民党が合同で立てた無所属候補だが、男性8人、女性11人で女性候補が58%となっている。
これらの無所属候補と立憲民主党・国民民主党・共産党・社民党各々の候補者を合計すると、女性候補の割合は49%とほぼ同数だね。
総合すると 立憲民主党、共産党 は候補者男女均等法の義務を十分果たしたと言えそう。
国民民主党は男が多い気がするが、選挙区でやや女性が多い無所属候補の擁立に貢献したと考えれば、十分という主張はできるか。
一方で、自民党・公明党は従来の参議院での両党の男女比と同程度なので、これといった取り組みをしていないように見える。
現職議員が多く、男女比を変えていくのが難しいのも背景としてあるらしいのだが……
政党に求められたのは立候補者の男女比をできる限り均等にすることで、それをどう選ぶかは有権者次第である。
- 自民党 : 男47人, 女10人 (女性比率18%)
- 公明党 : 男12人, 女2人 (女性比率14%)
- 立憲民主党 : 男11人, 女6人 (女性比率35%)
- 国民民主党 : 男5人, 女1人 (女性比率17%)
- 共産党 : 男4人, 女3人 (女性比率43%)
- 立憲民主党・国民民主党・共産党・社民党が擁立した無所属候補 : 男5人, 女4人 (女性比率44%)
- 日本維新の会 : 男9人, 女1人 (女性比率10%)
主要6党で当選者数も男女同数に近いのは 共産党 が唯一ですかね。
立憲民主党は立候補者で45%だった女性比率が当選者では35%まで下がってしまった。
選挙区での当選者は男5人, 女4人なのでほぼ同数なのだが、比例代表での当選者が男6人. 女2人と大きく開いてしまった。
比例代表は個人名での得票を集めた順に当選するという点ではシビアなもので、そこで勝ち上がれる女性候補は少なかったようだ。
立憲民主党・国民民主党・共産党・社民党の各党と、これらが擁立した無所属候補の当選者を合計すると、男26人, 女14人で女性比率は35%である。
総じて見れば、男性の割合が増えてしまったが、まだ踏ん張った方とみるべきだろう。
日本維新の会 は立候補者では女性比率32%だったのが、当選者では女性比率10%ととてつもない差がついている。
比例代表で全く女性候補が当選しなかったんだよね。選挙区も大阪府(日本維新の会は2議席獲得)の1人だけだからね。
逆に男女同数に少し近づいたのが、自民党と公明党である。
といっても、男が多すぎるのが、少し間引きされた程度であんまり印象は変わらないが。
自民党・公明党で獲得した議席は71議席で、124議席の半数以上なのだが、女性では12人である。
一方、立憲民主党・国民民主党・共産党・社民党の各党とこれらが擁立した無所属候補は合計40議席である一方、女性は14人になる。
実は、女性議員の数ではこれら4党の合計の方が多いのだ。男性議員なら自民党・公明党の方が倍以上いるんですけどね。
東京都選挙区は改選数6と多いが、今回の当選者は女性3人・男性3人で男女同数だった。
6議席のうち、早々と当選確実が出た4人は、自民党・共産党・立憲民主党の女性候補と公明党の男性候補だった。
残る2議席を日本維新の会・自民党・立憲民主党の男性候補が争うというのが開票速報での報じられ方だった。
早々と当選確実が出た4人を見てみると、やはりそれだけの実績を積んできた人なんだよね。
東京都選挙区全体で見れば、男性候補が14人、女性候補が6人だったが、
有力候補という観点では、むしろ男1人、女3人だったのが実情で、実力のある候補者が早々と当選確実になったというだけのことだ。
議会を男女同数に近づけるためには、政党が擁立する立候補者の男女比というのも重要かもしれないけど、
やっぱり男女ともに実力のある候補者がいないと、実際に当選するのは難しいということ。
もっとも衆議院議員選挙では、比例代表の名簿順位を男女交互にして、意図的に当選者を男女同数にする方法もあるけどね。
最近の衆議院議員選挙の実績だと、公明党 と 共産党 は名簿順位を厳密に決める傾向があるので、
今回の取り組みも考慮すると、共産党は名簿に男女交互に書く方法を使ってきそうだなと思った。
あと、小選挙区制だと有権者の選択の幅は狭まるので、政党の取り組みで当選者の男女比も変わりうるかね。
今回の立憲民主党の結果を見てもわかるが、選択肢が多い参議院の比例代表では立候補者の男女比と当選者の男女比は変化しやすいが、
選択肢が狭い選挙区では立候補者の男女比は比較的保たれる傾向がある。
選択肢が狭められるのは有権者にとっては不本意かも知れないが、衆議院の方が候補者男女均等法の効果が見えやすいかもしれない。
衆議院全体では女性議員は10%ほどと、現状は参議院よりもはるかに男性議員の割合が高い。
比較的男女同数に近い共産党で25%、立憲民主党で22%という状況だから、衆議院ではどの政党もまだまだ。
一方でこの両党は今回の選挙でほぼ男女同数の擁立を実現していて、
実際の当選者も共産党ではほぼ同数、立憲民主党は男:女=2:1ぐらいで比較的よい。
小選挙区の争いに勝てる実力のある候補を、男女同数揃えられるかは課題かもしれないが、他党に比べれば期待はできる。
Author : Hidemaro
Date : 2019/07/23(Tue) 23:58
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