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長崎の離島に飛ぶのは何か

最近、飛行機の話を紹介することが多いが、最近いろいろ話題があるんですよね。

いろいろ注目して見ているわけだけど、先日こんなニュースが出ていた。

ORC 老朽化進み不具合 14日も2便欠航 (Yahoo!ニュース)

ORCとはオリエンタルエアブリッジ、長崎空港に拠点を置き、主に長崎県の離島路線を運航している。

この会社ではDHC-8-Q200という39人乗りのプロペラ機を主に使っているのだが、老朽化が進み、故障が相次いでいる。

Q200は2機しか持っていないので、故障などで使えなくなると欠航など大きな影響が出るので困っているのだが……


問題はQ200がすでに製造中止になっているということ。すなわち同型機を新規に購入することが出来ない。

一方でORCはANAと提携関係にあり、ANAからより大型のDHC-8-Q400を借用して併用している。

Q200とQ400で大きさは違うが、どちらもDHC-8シリーズで操縦資格が一緒なので、併用するには好都合なのだろう。

Q200は長崎~壱岐・福江・対馬と福岡~福江の一部で、Q400は福岡~福江の一部と、福岡~宮崎・小松で使用している。

福岡~宮崎・小松は長崎県と関係ない路線だが、機材を借用していることも考慮すると、出稼ぎみたいなもんでしょうね。

普段はQ200が使われる路線でも、故障時などは借用したQ400を代わりに使うことがあるようだ。


ここだけ見ると、Q200が買えないならQ400でいいじゃないと思うかも知れないが、そうもいかないのだ。

それが壱岐空港の滑走路が1200mしかないこと。

Q400の離発着を制限なく行おうとすると1400mほどの滑走路は欲しいが、それには足りない。

乗客数を減らすなどの対応をすればQ400が使えなくはないが、長崎~壱岐で使うにはなんと1/3まで減じる必要があるらしい。

空港滑走路延長が急務。後継機の運用定員わずか27人。ORCが検証報告。 (壱岐新聞)

一方で壱岐市としては、壱岐空港の滑走路を1700mまで延長することを要望していて、するとQ400どころか、ジェット機までいける。

ただ、壱岐空港を管理する長崎県は否定的なようだ。


となると、やはり本命は天草エアライン・日本エアコミューター(JAC)・北海道エアシステム(HAC)の3社が導入を決めたATR42でしょう。

サイズ的にもQ200に近い48人乗りで、1200mの滑走路でも全く問題ない。(天草空港に至っては1000mの滑走路で運用している)

JACの本拠地、鹿児島空港ではATR42の整備体制が充実していて、フライトシミュレータまで整備されたので、近場で訓練もできる。

日本国内での実績も豊富だし、なにも言うことはないような気がするが、なかなかハードルは高いようだ。

まず、現状ANAと提携関係にあって、Q400を借用するほどの関係性だが、ATR42を使うなら重整備をJALグループのJACに依頼する必要があること。

といってもORCはANAグループというわけでもないし、JACも特に拒んでいるわけではないとは思う。


それ以上に問題なのが、ATR42の操縦資格を得るための訓練が必要で、乗務員数の少ない航空会社ですから、減便などの対応が必要なこと。

実際、天草ではATR42の就航前に、約半年間にわたって訓練のため減便を行っていた。

その上、航空機の操縦資格って同時に1つしか持てなくて、過去に経験のある機種でも訓練を挟まないと切替ができないらしい。

すなわち、Q200とQ400を併用するのは問題なくても、ATR42とQ400の併用は実質的にできないということ。

なるほど。それでJACはQ400を全部売却して、ATR42より大型のATR72も同時に導入したのか。ATR42とATR72は操縦資格一緒だし。


そんな事情もあって、とりあえずはQ200の中古機を購入して、当座をしのごうということだ。

Q200は2008年に製造中止になっている機材ですから、延命できても5年ほどということで、なかなか厳しい。

ATR42に移行する決断をするのか、壱岐空港をQ400対応にするのか、それとも路線自体をやめてしまうのか。

本命はATR42だろうと言われて久しいが、踏ん切りが付かない事情もそれなりにある。


こういう事情を知ってみると、似たような悩みがあったんだろうなというのが琉球エアコミューター(RAC)である。

ここもDHC-8-Q100とDHC-8-Q300という、同じくDHC-8シリーズの生産中止になった機種を使っていた。

結論から言えば、DHC-8-Q400CCというQ400の貨物増強型(Cargo Combi)で代替することにして、すでに完了している。

ぴったりの座席数の飛行機が買えないなら、大きめの飛行機を買って貨物室を増強してしまえというのは、ヤケクソ感があるが、

かつてジェット機からダウンサイジングした路線で、航空貨物の輸送力不足が問題になっていて、改善要望が出ていたという背景もある。

RACにとっても、与論空港の滑走路が1200mしかないのは問題だったのだが、滑走路の補強工事をした上で、

10席ほど減じれば(すなわち約40人乗りで)なんとかなるということでQ400への移行を決断している。1日1往復だけだしね。

それ以上に同じ操縦資格で移行できて、貨物輸送の増強で島の経済にも貢献できるというメリットが勝ったのだろう。


とはいえ、ORCもいつまでもANAに頼ってはいられないんじゃないかと思うのが、

ANAのMRJ90 あらため 三菱スペースジェットM90 の導入計画である。(cf. MRJ、「三菱スペースジェット」に改称 70席クラスは「M100」に (Aviation Wire))

ANAは24機と多くのQ400を運用しているが、この多くはジェット機でも運航できそうな路線で使われている。

サイズ的にQ400がちょうどいいというのもあるんだろうが、M90はQ400より少し大きいぐらい。

現在、ANA(コードシェア便を除く)でプロペラ機だけが使われているのは、対馬空港・福江空港・青森空港の3つ。

青森空港はどう考えてもジェット機の運航に問題なく、JALは同一路線にジェット機(エンブラエルE170/190)を使っているので移行対象だろう。

残るのは長崎県内の2空港だけで、対馬・福江の両空港もジェット機の運航実績があるので、M90への移行も可能ではある。(実際にするかはともかくとして)

ANAからQ400を借用できるからとDHC-8シリーズに留まっても、ハシゴを外される可能性は十分あると。


ANAがこれほど多くのQ400を運用しているのは、かつて日本で活躍していたYS-11の代替に最適だったという事情があるそうだ。

YS-11は64人乗りのプロペラ機ということで、プロペラ機にしては大型だったので、代替機はすぐに見つからなかったらしい。

そこに現れたQ400は 燃費がよく、プロペラ機にしては静かで高速、そして75人乗りと大型ということで、YS-11の代替にはぴったりだったのだ。

ただ、時代が移り、リージョナルジェットが発展して、かつてYS-11が活躍していたような路線に使うのに適するようになってきた。

プロペラ機の長所は短い滑走路でも運用できて、燃費がよいこと。一方でジェット機に比べると遅いという短所もある。

一方で、ジェット機の燃費が向上してきたので、70~90人乗りのリージョナルジェットの優位性が高まっている。

日本の制度面でも、伊丹空港のプロペラ枠が低騒音機枠に振り替えられた(cf. 伊丹空港の近い将来と遠い将来)ので、プロペラ機にこだわる理由が減っている。


それでも残るプロペラ機のメリットは、短い滑走路で運用できること。

日本では小規模な空港もジェット機対応のところが多いが、離島を主にどうしても短い滑走路の空港はある。

リージョナルジェットの導入で先行したJALグループで、伊丹空港でプロペラ機が残るのが、滑走路が短い屋久島と但馬の2路線だけになったのはそういうこと。

ジェット機と張り合うプロペラ機としてQ400は優秀だし、DHC-8シリーズでQ400だけ残ったのは売れていたからだろうけど、

より短い滑走路での運用を望む航空会社にとっては困った話だし、Q400はリージョナルジェットと真っ向勝負になりかねないし、ろくなことは無い。

ATR42/72で代替出来るのは幸いだが、移行には多大なコストがかかるわけで、いやな話だよなぁ。


Author : Hidemaro
Date : 2019/06/15(Sat) 22:26
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