「千葉は東京」というのがTwitterで話題になっていたが、
これはラブライブ!サンシャイン!!のAqoursのアジアツアーであった話。
Aqoursは今年3月~4月で上海・台北・千葉・ソウルの4都市でのアジアツアーを行っている。
その千葉公演が今週末に幕張メッセであったのだが……
その中で出演者が「東京公演」というもんだから、どういうことかと思ったら台本にそう書いてあったと。
その後、公式Twitterでの表記が「千葉(東京)公演」「東京(千葉)公演」のように揺れ出すという。
一応、ここまでは対外的には千葉公演で通していたのだが、暴露されては仕方ないということか。
最近、似たような話を見たんだよね。
確かに、上海・台北・ソウルに並ぶ都市が千葉というのはちょっと物足りない気もする。
一方で、東京で妥当な会場を見つけるのが難しいという事情もあったのだろう。
幕張メッセは東京から近く、アクセスも概ね良好ということでよく使われている。
それが千葉市だっていっても、実際は些細な問題ではある。
ただ、それを東京というと角が立つので、千葉公演と言うべきだよねという話。
都市雇用圏のデータを見ると、千葉市は東京都市圏の中心都市という位置づけになっている。
日本で一般的に使われている都市雇用圏では、1つの都市圏が複数の中心都市を持つことができる。
例えば、大阪都市圏であれば、大阪市・堺市・東大阪市・門真市の4市が中心都市となっている。
大阪市以外の4市は中心都市の定義を満たすが、あくまでも大阪市に従属しているということを表している。
それで、東京都市圏については、東京都特別区部の他に、武蔵野市・立川市・川崎市・横浜市・さいたま市・千葉市・厚木市が中心都市となっている。
武蔵野市・川崎市は特別区域に隣接して、機能的にもつながりは深いように見えるが、他はちょっと不思議な気もする。
これ、どういうことかという話だけど、千葉市の一部の行政区では、夜間人口より昼間人口の方が多いので中心都市の条件を満たすのだが、
一方で千葉市は東京への通勤率が10%を越えてしまい、東京の郊外という条件も満たしてしまう。
すなわち、千葉市(の一部地域)に通勤する人自体は多いが、市内の従業・通学者の10%以上が流出しているので、中心であり郊外ということが起きるわけ。
ただし、千葉市全体で見れば夜間人口の方が多いので、一部の行政区が中心都市の定義を満たすから中心都市というのはおかしい気もするけど、
一方で千葉市の昼間人口と夜間人口の比率は0.94とけっこう惜しい数字でもある。
川崎市が0.77であることを考えれば、よっぽど中心都市としての体裁のある都市である。
というわけで、人の流れとしては、千葉市は東京に従属する中心都市ということになるのだが、
一方で貿易港としては、千葉港(船橋市・千葉市・市原市・袖ケ浦市にまたがる港)は名古屋港に次いで、日本第2位の取扱量を誇る港である。
さすがに横浜港・川崎港・東京港を結合した京浜港や、大阪港・神戸港・堺泉北港・尼崎西宮芦屋港を結合した阪神港には負けるのだが。
どうして千葉港の取扱量が多いか。それは千葉港はLNG・石油の輸入が集中するエネルギーの港だから。
同じ東京湾にありながら京浜港に結合されなかった理由もおそらくそこなんじゃないかなぁ。
意外な港湾都市なんですね。客船の出入りもないし、コンテナ貨物もそこまででもないけどね。工業港なんてそんなもんか。
こういう問題は東京に限った話でもなくて、おそらく台北もそう。
少なくとも台北都市圏には台北市だけではなく、新北市(cf. 新北市は台北市を囲む)・基隆市も含まれ、場合によっては桃園市も含まれる。
これらの都市が都市機能を分担しているので、台北と思っていたが台北市ではないということはあるはず。
ちなみに、今回のアジアツアーでは台北は本当に台北市(台北国際会議中心)なので念のため。
さすがに千葉市を東京呼ばわりすると、日本国内では風当たりが強いが、外国から見るとやむを得ないのかなとも。
一方で、それと大して変わらないじゃないかと思っているのが、北九州市が福岡呼ばわりされていること。
確かに福岡県ではあるんだけど、福岡とは明確に違う都市である。距離もけっこう離れてるんだよ。
東京と川崎を混同するよりもタチが悪い。
というわけで、そこは区別して考えた方がいいんじゃないかなと思っている。
北九州市成立の経緯から、小倉(主に市街地の名前として)・門司(主に港の名前として)あたりに揺れがちなのが悩みですが。