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別格の薬物犯罪

被疑者が保釈を受けるには、保証金を納める必要がある。

保証金は被疑者の資力を考慮して決められるから、お金持ちだと10億円とかいうとてつもない金額が要求される。

じゃあ、さして資力のない被疑者なら、少ない金額で済むのかというと、なかなかそうもいかないらしい。

容疑にもよるのだが、150~300万円ぐらいはかかってしまうらしい。


保釈金だけが問題で保釈が受けられないのはよくないということで、保釈金の貸付や保証を行っている団体がある。

保釈保証書発行システム (日本保釈支援協会)

貸付や保証が得られるかどうかは、容疑や信用力にもよるし、保証書については裁判所の判断による部分もある。

この団体の保釈保証書では、保証料が1.5%、自己負担金が5%ということで、

200万円の保釈金が必要な場合、3万円の保証料を支払い、10万円の自己負担金を預ければよいようだ。

ところが、下の方にこんな注意事項が書かれている。

覚せい剤取締法違反の被告人については、審査内容にかかわらず保証書で利用出来る金額は裁判所の保釈許可決定に示された保釈金額の50%としております。残りの金額は、当協会の立替システムと担保金によりご準備いただくことになります。尚、当協会では他の保証団体等との併用は出来ません。

数ある犯罪の中で、覚せい剤取締法違反だけが別格扱いになっている。


他の団体のWebサイトを見ると、覚せい剤取締法違反だけ別格である背景が理解できる。

平成28年11月25日までの間に、1,716件(保釈保証金額が300万円を超えるものを含む。)の保釈保証書の発行をしてきました。
そのうち、保釈保証金の没取になったのは、10件(うち覚せい剤事件6件)しかありません(0.58%)。さらに、覚せい剤事件以外で没取になった4件のうち、2件は、単純に住所変更の許可を取っていなかったというもので、逃走・不出頭事案ではありません。全弁協発行の保釈保証書の被告人の出頭確保及び罪証隠滅行為の防止のための担保機能が十分であることが裏付けられています。

(保釈保証書発行事業 (全弁協))

保証書では逃亡・不出頭の抑止力が不十分なのでは? という話もあるが、99.4%の被疑者は素直に出頭して、保釈金は返却されている。

ただし、保釈金が没収になってしまう人も0.6%いたのも事実。

ところが、この没収になった人の半分以上は覚せい剤取締法違反なのだという。本当に別格だな。


日本では薬物を規制する法律が4つある。

大麻取締法、あへん法、覚せい剤取締法、麻薬及び向精神薬取締法 の薬物四法である。

どうして、分かれているのかというと、前2つは 麻 と けし という植物の栽培にも大きく関わることだから。

特に、麻は繊維のために栽培されることも多いので、麻薬成分の少ない品種を使うとしても、規制が不要になるわけでもない。

でも、覚せい剤とそれ以外の麻薬・向精神薬で分かれているのはどうしてだろう。

不思議に思っていたのだが、これは日本特有の事情によるものらしい。


薬物の規制は日本に限った話ではなく、世界的に行われていることで、主に2つの条約で実現されている。

1つが麻薬に関する単一条約(1961年採択)、大麻・あへん とその加工品(モルヒネなど)を規制している。

かつて存在した万国阿片条約に由来する条約で、見ての通り、規制対象の薬物は限られている。

もう1つが向精神薬に関する条約(1971年採択)、ここには乱用の危険のある薬物を4段階で規制する仕組みを作っている。

付表Iの薬物は医療用途では無益だが乱用が危険な薬物、IIは医療用途でわずかに役立つが乱用の危険が高い薬物、

IIIは乱用の危険も高いが医療用途でも役立つ薬物、IVは乱用の危険性は比較的低く医療用途で役立つ薬物となっている。

日本の規制も概ねこれに従っているが、多少の差がある。


日本の規制も大麻・あへん・コカイン とその加工品の規制は戦前から行われていた。

大麻取締法は1947年成立、麻薬取締法は1953年成立、あへん法は1954年成立となっているが、それ以前から規制はあったらしい。

ところが、太平洋戦争後の日本では、ここに含まれない覚せい剤(メタンフェタミン)の乱用が深刻な問題になっていた。

そこで世界的な規制が敷かれるよりも早く、1951年に覚せい剤取締法が成立した。

メタンフェタミンは後に向精神薬に関する条約で国際的に規制されることになるのだが、20年ほど先取りしていたわけである。

それだけ深刻で切実な問題が日本ではあったということである。


ただ、そこから今のように多くの薬物が規制されるまでには、かなり時間がかかったらしい。

1970年に麻薬取締法の規制対象にLSDが追加された。

これは向精神薬に関する条約で別表I、すなわち医療用途では無益で、乱用が危険な薬品に分類されている。

医療用では無益なんだからと、別表Iに記載されていた薬物は早期に麻薬として規制が行われた。

ところがそれ以外の向精神薬は医療用に有益なので、規制までに時間がかかり、

1990年に大麻取締法を改題して、現在の麻薬及び向精神薬取締法になったときから、向精神薬として規制が始まった。


で、実は日本では覚せい剤取締法で規制されている薬物って、向精神薬に関する条約の別表IIに記載されているらしい。

同グループの他の薬物は1990年から規制が始まったので、日本での規制の歴史は実に40年も差がある。

実際のところ、同グループの向精神薬の中には覚せい剤のような作用をする薬(メチルフェニデート)もあって、

一時期、乱用が問題になり、向精神薬の中ではかなり厳しい規制が敷かれている。

それでも、医療上の必要性は認められているのだが、なかなか悩ましい実情が見えてくる。


そもそもいかなる薬物でも正しく使わないのは(法に触れるかはともかくとして)問題だが、

その中でも覚せい剤の法律上の扱いが別格なのは、それなりの理由があるようだ。

保釈された被疑者の行方が特に悪いのも、その実情を表しているとも言える。

覚せい剤取締法違反が別格扱いなのはちょっと意外な気もしたが、実務に関わっている人にとっては当たり前のことなんでしょうね。

もう70年ほど規制をやっているのに、未だに覚せい剤やその材料の密輸がよくニュースになるほどだからなぁ。


Author : hidemaro
Date : 2019/03/21(Thu) 22:59
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