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プランク定数ってそうだったの?

新しいSIの定義が一般のニュースにも出てくるようになってきた。

キログラムの定義がプランク定数に変わるというのはやはり大ニュースである。

新しいSIの定義は直感的? 直感的ではない?

このことについてNHKの番組では「簡単に言うと、1キログラムを原子何個分の重さで表すということです」と説明していた。

え? プランク定数でキログラムを定義するってそういうことなの?


プランク定数は光の振動数と光量子のエネルギーを結びつける定数だ。

時間と長さの定義が既知ならば、エネルギーと質量を結びつけることはできるので、それでキログラムが定義できるのだろうと。

というわけで、僕の理解としては、次の通りだった。

まずエネルギーの単位 Jが決まり、それからkgが導かれるという言い方が多くの人にとって理解しやすいのではないでしょうかね?


そこで気になって調べたところ、NHKの説明はそう間違っていないことがわかった。

リュードベリ定数という原子の光の吸収・放出に関わる係数がある。

このリュードベリ定数は非常に精密に測定されていて、この定数を介してプランク定数と電子の質量を結びつけることができる。

このようにプランク定数は間接的に電子1つの重さを表すことが可能なんだそうだ。


さらにその延長でアボガドロ定数とプランク定数を結びつけることも出来る。

日本の産業技術総合研究所は、アボガドロ定数を精密に求めることでプランク定数を精密に求めた。

これが他の方法(ワットバランス法)で測定したプランク定数とよく一致したそうだ。

複数の研究機関で測定された定数がよく一致していたことは、kgの定義をプランク定数に乗り換える大きな理由になったそうだ。

2017年、産総研を含む各国の国家計量標準機関が測定したプランク定数の値から調整値が決定されました。このとき使用されたデータは8つですが、産総研は実にそのうちの4つの測定に関わっています。そして、このプランク定数の調整値を用いてキログラムを新しく定義することが本日決定されたのです。プランク定数は不変であるため、より信頼性の高い質量の測定が可能になります。

(速報!国際度量衡総会において新定義採択 (産業技術総合研究所))

ちなみに、アボガドロ定数からプランク定数を求めるというアプローチは専ら産総研が主導してやっていたらしい。


そういう視点で、kg以外で定義が変わる単位を見てみると、

  • A : 電子1粒の電気量を決めることで電流を決める
  • K:  分子1つの熱エネルギーを決めることで温度を決める
  • mol: 原子・分子の数で物質量を決める

ということで、いずれも電子・原子・分子1粒を単位にして定義を刷新するってことなんですね。

従来、電流は電磁力を使って、温度は水の三重点温度を使って、molは炭素12の重さを使って、kgに至っては分銅で定義されていた。

これらは現実的な方法ではあったけど、ミクロの世界が見えてくると不都合も出てきたのだろう。

今後はミクロな世界の基本定数が定義値になり、それを積み重ねることで日常生活で使う単位になるということだ。


kgの定義が変わったところで、我々が普段使う測定器の校正は分銅を使ってやるみたいなんですけどね。

mが光速度を使った定義になって長いけど、現在も結局は基準尺であったりブロックゲージというものを使って校正している。

ただ、これらの標準器は本来の定義に基づいて校正されているので、最終的にはつながっている。

特に今回のkgの定義変更は、分銅を永遠に同じ重さに保ち続けられるという点ではとても重要で、

実際に、これまでも国際キログラム原器の重さがわずかに変動するという問題に直面していた。

本当にわずかだから実用上の問題はほとんどなかったけど、今後は心配無用となる。

一方で、これまで分銅では測りにくかったミクロな世界では、新しい定義がどんどん活用されることになる。そこは全く新しい道。


Author : Hidemaro
Date : 2018/11/20(Tue) 23:13
電気・数学・物理 | Comment | trackback (0)
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