ベテラン揃いの工場と新人の多い工場

明日から来週月曜まで休暇なので、今週は今日まで。明日から関西に行く。

月曜も休暇だったから、今週は2日だけ。

大した仕事はないと思っていたが、さすがに2日だといろいろ慌ただしい。


うちの職場で開発している製品は基本的には日本国外の工場で生産されている。

最初はそんなもんか、と思ってたんだけど、最近では頼もしい工場だなという印象が強くなっている。

工場の方で自立して動ける体制があるので、生産立ち上げだのと言って日本から出張対応することはそんなに多くない。

社内の他の海外工場だと、日本からの出張者が多いところもあると聞いている。

駐在している日本人技術者も1~2人ぐらいいるとはいえ、全体からしてわずかで、基本的には現地の人が頼もしいと考えて良いだろう。

開発機能も少しだけあるんだよね。開発といっても試作対応と生産支援がメインの業務だと思うんだけど、小規模な設計変更をやることもあるそう。


最近、工場の紹介ということで、生産ラインの特徴などの説明を受ける機会があった。

そこで勤続年数の分布を見せてくれたんだけど、勤続年数の長いベテランから新人までまんべんなくいるようだ。

わりと歴史の長い工場で、操業開始時からいた人が定年を迎えつつあるという状況らしく、課題は技能伝承と言っていた。

なるほど、確かにこの体制なら新製品の立ち上げもうまくこなせるわけだ。

もっとも開発部署との物理的な距離が遠いので、工場との間に、日本の生産技術部署が間に入ってやっているのも実情ではあるんだけど。


ただし、この工場には問題があって、それは設立当初に比べて人件費がかなり上がってしまったということ。

そのため、比較的近いけど国境を越えた先に分工場を作った。

分工場とはいうけど、働いている人数は倍近くで、現在の生産のメインはこちらと言ってもよい。

本工場で生産を続けているのは、古くて生産量の少ない製品か、難易度の高い製品とのこと。

古くて生産量の少ない製品は製造設備の移設や教育にかかるコストが割に合わないという判断である。


それで驚いたんだけど、分工場は勤続年数が2年以下の人が大半を占めているそうだ。

どうも工場があるのが国境の町ということで、地元住民は少なく、遠くから期間従業員としてかき集めてきているのが実情らしい。

これは人件費の面では有利なのだが、分工場で技能・技術を蓄積するのは難しい。

そこをベテランの多い本工場から支援しているというのが実情らしい。

国境をまたいでいるとはいえ本工場から比較的近いので、ラインの構築・改造に行ったり、作業者の指導をしに行ったりできると。

分工場が生産のメインになっているとはいえ、それは本工場あってのことで、分工場がひとり立ちするのは難しそうだなと思った。


日本から外国に工場の機能を移転させた会社は多くて、それは勤務先もそう。

比較的歴史が長いと書いた本工場だって、もとは日本から生産移管した製品もある。

そうはいうけど、そうして移転させた会社だって、日本国内に工場を残していることが多い。

リードタイムの問題で日本国内に工場機能を残しているケースもありそうだが、

難易度が高い製品や、生産設備の移設が難しい製品に注力して残っているのが実情じゃないでしょうか。


それと同じことが少し遅れて外国の工場でも起きているわけで、別に日本に限った話じゃないんだなと。

一部の製品は2回の生産移管を経験しているかもしれない。

生産機能を分工場に送り出し、分工場を指導する立場になった本工場の成長はとても立派なんだけどね。

ただ、当初は人件費のメリットを見込んでの移管だったはずで、なかなかままならないものだなと。

分工場を作ったことで生産能力が拡大して、本工場としても難易度が高い製品の生産ができるようになったり、

小さいけど工場内に開発部署ができたことで生産に密着した開発ができるようになったり、悪い話ばかりでもないんだけどね。