八戸でどこに行こうか、そこまで考えていなかったが、地図を見て鮫に行くことにした。
鮫? 八戸市の地名ですよ。海のサメとは特に関係ないらしい。
というわけで中心街から鮫行きのバスに乗る。
八戸の中心市街地は一方通行の都合で往復で停車するバス停が異なる。
バスの行き先表示は中心街と表記されているが、これはいくつかのバス停の総称だ。
鮫方面のバスにとっては中心街は八日町バス停を指し、鮫からのバスは朔日町バス停になるなど。
鮫行きのバスは20分間隔で走っている。それなりに使いやすい。
さて、鮫駅近くでバスは終点となり、帰りは鮫駅から列車に乗るので荷物を置いて歩き始めた。
海沿いに歩くとけたたましい鳥の鳴き声が。ウミネコの繁殖地として知られる蕪島である。
蕪島は4月~8月に繁殖のためにウミネコがやってくる。
7月のいまは子供たちが飛ぶ練習をして、8月ごろの出発に向けて準備をしているところ。
偶然だがちょうど見頃だったわけだ。
ウミネコは水鳥、空も飛べば、海も泳ぎ、魚を捕って暮らしている。
普段は魚の群れを追っかけて北へ南へ旅をしているが、どうしても繁殖は陸上で行う必要がある。
ウミネコの繁殖地はいくつかあるが、その1つが蕪島のようだ。
島とはいうが、人為的に陸つながりにされてしまったものの、金網が張られ外敵の心配が少ないということで、ウミネコはここを好んで繁殖地としているようだ。
人が近づいてもあまり逃げないが、陸にこれといった外敵はないと高をくくっているのだろうか。まぁ静かに見ていたってのもあるけど。
ウミネコの名前の由来は猫のような鳴き声をするからだが、一羽の鳴き声は「アーアー」という具合、でも集まると「ニャアニャア」と聞こえるから確かに猫。
それにしてもすごい数のウミネコだ。近くの消波ブロックの上もウミネコが並び、建物の上もウミネコがいる。
島の地面もウミネコがたくさんいるし、近くの海も砂浜もウミネコがたくさん。床は鳥の糞だらけ。
基本的にウミネコは白と灰色なのだが、茶色いのがいる。これこそ子供のウミネコなんだという。
そういう視点で見てみると、まだ飛ぶのに自信がないのか、海面で長く過ごしているのが多いし、金網の中の陸上でいるのも多い。
大人顔負けによく飛ぶのもいるけど、まだまだ空を飛ぶのには慣れが必要というのが現状なのだろう。
蕪島の近くでは海藻を採っている人がいた。コンブ漁かな。ここら辺はウニ漁なんかも盛んらしい。
そんな様子を見ながら進んでいくと鮫角灯台にたどりついた。
灯台があるだけに眺めがよいが、休日は灯台の中に入って見学ができて、灯台の上からだと本当に見晴らしが良い。
その灯台には案内の人がいたんだけど、どこから来ました? という話で、往路は大洗からフェリーで北海道に行ったんですよ、
という話をすると、この灯台からそのフェリー見えるよとのことだった。
八戸港の目印としてだったつくられた灯台だったが。太平洋沿岸を行く船にとっても目印になっているのかな。
戻ってきて、八戸市水産科学館「マリエント」に。
ここのレストランで昼ごはんを食べて、それから展示を見ていた。
魚、イカ、ウミネコ、地球深部探査船「ちきゅう」とちょっと雑多だし、
特集展示で本来の展示パネルが見えなくなっていたり、ちょっとテーマがわかりにくい。
探査船「ちきゅう」の展示は意外だったんだけど、どうも八戸を拠点に調査に出ることが多いようで、科学館でも注目しているようだ。
すごいなと思ったのが「『ちきゅう』たんけんクラブ」の活動、小学生から大学生までの学生の会員が自然観察、施設見学などの活動をしているわけだが、
主に高校生のシニア会員はその成果を学会で発表したほどで、とても充実した活動を行っていることがわかる。
これも探査船「ちきゅう」ゆかりの都市にある科学館ということはあるんだろうけど、なかなかこうはいかないよね。
というわけで鮫駅から列車に乗って帰る。
八戸線は八戸駅から中心街近くの本八戸駅などを通り、鮫など海沿いの地区を通り、八戸市外を出て、最終的に久慈まで行く。
本当なら八戸市内の移動に重宝しそうな路線だが、本数が1時間1本程度なので、市内だけの移動ならバスが便利ということになる。
ただ、新幹線など八戸駅での接続に合わせて走っているので、それに合えば使える路線ではある。
走っているディーゼルカーには うみねこ の姿があしらわれており、蕪島のウミネコが八戸線沿線のシンボルであることがわかる。
八戸駅で新幹線に乗り換えれば2時間半ほどで大宮駅に到着、降りるとクソ暑かった。
ここまでくれば、あとはもうすぐ。家に帰ってきたらやはりとてつもない暑さだった。
これで旅行は終わりと考えるのが普通だけど、実はまだ不乗区間の払い戻し手続きをしていない。
それをやって苫小牧からの鉄道での旅行が完了となる。