バスの経路を切ったり貼ったり
大阪市バスが4月1日から経路・ダイヤを変更するよう。
4月1日から市バスのダイヤ・運行経路などを変更します (大阪市交通局)
4月に大阪行くときエンジョイエコカードを使う予定があるのでどうなるかなと読んでた。
ところでニュースでも話題となってるとおり大阪市バスはずいぶん赤字がひどい。
その理由の1つには、市内をくまなくカバーするよう路線を設定した結果あまり需要の多くない路線も多く運行しているということがある。
市営交通としては市内全域で500m以内で鉄道駅にたどりつけるか、350m以内で市バスのバス停にたどりつけるようにするという目標を掲げている。
きわめて高い目標なのだが、赤バスの導入などもあってほぼ達成されている状態にある。
ところが肝心のバスに乗る人が少ないんじゃこまるわけで、利用増進や利用状況に応じた合理化を図ることが求められる。
そのためには路線変更をせなならんということになる。
どんな風な路線変更を行うのか。
市営バス事業の改革プラン「アクションプラン」 (大阪市交通局)
ここに変更の方針が8つ示されている。これを今回の変更に当てはめて書いて行く。
まず1番目に挙げられてるのが重複系統の集約である。
複数の系統が重なってる部分を1本にまとめることで、わかりやすくし運行効率をよくするというもの。
これを実際に実施したのが62号系統(大阪駅前~天満橋~上本町六~あべの橋~住吉車庫)で、
もともと102号系統(大阪駅前~天満橋~上本町六)・101号系統(天満橋~上本町六~あべの橋)・62号系統(上本町六~あべの橋~住吉車庫)の3つの系統があった。
ここで間に挟まれた101号系統が中途半端だということもあって、大阪駅から住吉車庫まで1本にしてしまった。
今回の変更では33号系統(総合医療センター前~地下鉄都島~森小路~新森公園前~花博記念公園北口)がターゲットにされた。
この図をみると、33号系統は森小路より西は83号系統・東は78号系統とほぼ重なっている。
そこでどうしたのかというと、78号系統と83号系統を森小路を境に入れ替えた。すると33号系統のルートはほぼ83号系統のルートに重なるようになる。
花博記念公園北口付近でのルートが違うのでここは33号系統に合わせて83号系統を変更して33号系統は廃止と。
こんな変更ありなのかと思ったけど、森小路~花博記念公園北口の人が行きたいのは大阪駅か地下鉄都島だとすればこれでいい。
森小路~守口車庫の部分は谷町線とかぶるので実質回送みたいなもんだろうし入れ替えても問題なしと。
2番目に挙げられているのが系統の統合である。
これは郊外のバスターミナルまでのバスを都心ターミナルへのバスにつなげてあげるということ。
今回、淀川区・西淀川区でこの手の変更が大規模に行われる。
淀川右岸でうごうごしてたバスを集約・統合して大阪駅と野田阪神前まで引っ張ってくるということ。
8号系統(歌島橋BT~十三~三津屋~十三市民病院)・25号系統(加島駅前~三津屋公園~十三市民病院~三国本町~東淀川駅前)・104号系統(十三駅東口~新大阪駅前~榎木橋~三国本町~十三市民病院)の3系統は、
まず25号系統の三国本町~東淀川駅前の部分は野田阪神前~十三~三国本町~新大阪駅北口の39号系統を延長することでカバー、
8号系統の十三~三津屋~十三市民病院、25号系統の三津屋公園~十三市民病院~三国本町、104号系統の榎木橋~三国本町~十三市民病院をつなぎ合わせて、大阪駅まで延ばした69号系統を新設、
104号系統の残りのうち新大阪駅前~榎木橋は大阪駅前~十三~新大阪駅前で運行している41号系統を一部短縮のうえ延長してカバー、といった具合。
8号系統の残りの歌島橋BT~十三、25号系統の残りの加島駅前~三津屋公園は既に大阪駅へ行くバスがあるのでよしと。
いずれも十三駅や十三市民病院へのアクセスバスのような位置づけだったのだろうけど、ターミナル直結で利便性を利用増進を図ろうということだろう。
もう1つ歌島橋BT発着のバスでも同様の変更がある。
38A号、92号、93A・93B号を統合し、新92号・新96号として、大阪駅前まで直通運行します
38A号系統(歌島橋BT~佃六~出来島駅前)、93A号系統(歌島橋BT~姫島駅前~福町)の歌島橋BT発着の2系統は、
大阪駅前~十三~歌島橋BTの92号系統と統合してそれぞれ92号系統・96号系統となる。
これにあわせて93A号系統の経路違いで運行本数の少なかった93B号系統(歌島橋BT~大和田三~福町)は廃止される。
歌島橋BTはJR東西線の御幣島駅と接続していて、鉄道に乗り換えて都心へ向かうことが出来る。
とはいえバス・バス乗り継ぎで梅田に行く人もいたのではないかと思う。こっちの方が安いしね。
ただ本数の少ないバスでバス・バス乗り継ぎはあまりに使いにくい。なら直通運転にして直通需要をつかんでやれということなのだろう。
3番目に挙げられている方針が系統の分割である。
イメージ図にはバスターミナルで系統を分割して幹線・支線と役割分担をはっきりさせるような例が挙げられているが、
これは大阪市バスが昔やってきたゾーンバスシステムそのものですね。(参考記事 : バスとバスを乗り継げばどこへでも行ける)
さっき出てきた歌島橋BTはそのゾーンバスの乗り継ぎ用のバスターミナルで、今回統合されたバスは分割されたものがまた組み替えられたものと言える。
ということからしてこういう幹線・支線をはっきりさせるような変更ははやらないことがわかる。
今回の変更では系統の分割が行われたがこういうタイプの分割ではない。
対象となったのは14号系統(加美南二~平野西口~平野区役所前~平野南口~地下鉄喜連瓜破~高野大橋)ですね。
この14号系統、図をみるとわかるけど加美南地区と瓜破地区を区役所を挟んで1本にくっつけたような変な形をしていた。
そこで加美南へのバスとしての9号系統(出戸BT~加美南二~平野西口~平野区役所前)と瓜破へのバスとしても14号系統(出戸BT~地下鉄喜連瓜破~高野大橋)に分割することになった。
加美南側はもともと9号系統との重複が多かったので、これまでの9号系統は新9号系統にとって替わられることで合理化につながっている。
4番目に挙げられている需要の少ない系統の統廃合だが、需要の少ない区間を切り捨ててそれなりに需要がある区間を集めたバスを作るってことですね。
さっき系統の統合として挙げた8号系統・25号系統・104号系統を都心ターミナルへの直通化でも需要の少ない区間は捨てられているが、もっと顕著な例を2つほど。
54号系統は住吉車庫前~東住吉区役所前~公園南矢田四~地下鉄あびこのバスだが、これは東淀川区役所のアクセスバスとされている。
66号系統は府立総合医療センター~殿辻~地下鉄あびこのバスだが、これは府立総合医療センターや住吉区役所へのアクセスバスとされている。
この2つのバス、重なる部分があるので、ここでくっつけて大きなループ系統にしたら運行効率が上がると考えたのだろう。
こうして住吉車庫発着で54A・54B号系統というループ系統ができた。
こうすることで運行経路が短縮できて効率が良くなるということだろう。
もう1つの統合の例は住之江区の話。
49A号は49号に系統番号を変更し、49A・49B号を新設します
表題では一番大切なところが抜けてる気がするが……
このたび、49B号系統(地下鉄住之江公園~泉一~平林駅前~平林北一~大運橋通~鶴町四)が廃止になることになった。
新木津川大橋を渡る唯一のバスだが、臨港地帯ということで昼間の需要はたいして見込めないということで平日・土曜の朝晩のみ運行という通勤特化のバスだった。
ただそれでも利用者は少なく廃止されることになった。まぁしゃあないですよね。
千本松大橋経由で地下鉄住之江公園と大正区を結ぶ76号系統か、新49号系統(現49A)で木津川渡し通まで行き木津川渡を使って大正区入りするかで代替出来る。
ところが49B号系統と49A系統では新木津川大橋を渡るかの差だけでなく地下鉄住之江公園~平林駅前のルートの違いもあった。
そこで地下鉄住之江公園~平林駅前だけループする49A・49B号系統が新設されることになった。
しかし、住之江公園~平林ってニュートラムで1駅なんですけどね。ここだけの利用者ってそんなに多いんでしょうかね。
5番目に挙げられているのが鉄道並行区間の短縮ですね。
この対象となったのが43号系統(大阪駅前~十三~福町~西九条)、福町~西九条が阪神なんば線の福~西九条と平行している。
まさか西九条~大阪駅前をこの遠回りのルートで通し利用するひとはいないだろうし、淀川を挟んで西淀川区・此花区を往来する人がそれほど多いとは思えない。
そこで西九条発着から酉島車庫発着となる。酉島車庫まで走るのは運行の都合でしょうね。
ところがよくわからないのは福町から真っ直ぐ酉島車庫に行くんじゃなくて島屋経由で遠回りしてることですね。誰が使うんだろ。
6番目に挙げられているのが最寄り鉄道駅への接続、遠くの駅に連れて行かれるバスは乗換に不便ですからね。
今回対象となったのは、大正区と大阪駅を結ぶ75号系統(大阪駅前~土佐堀一~西大橋~立葉~大運橋通~鶴町四)ですね。
大正区と大阪駅を結ぶバスには55号系統(大阪駅前~福島西通~地下鉄桜川~大正橋~大運橋通~鶴町四)もあるが、55号系統の方が人気があるよう。
55号系統と75号系統、比べてみると55号系統は鉄道駅との接続が大阪駅・梅田駅、中之島駅、桜川駅、大正駅、などなど多数接続がある。
一方の75号系統はまともに接続してるのは大阪駅・梅田駅、西大橋駅、桜川駅ぐらいであまりに微妙。
そこで大正区~大阪駅のバスは55号系統のみにしぼって、75号系統はなんば発着にすることになったよう。
なにわ筋沿いはオフィスが多いのだが、梅田からだけでなく難波からもこのバスを使えるとなれば通勤に便利になりそう。四つ橋線の駅から歩くと離れてるからね。
一方の55号系統だが、75号系統が大浪橋を通らなくなったのを埋めるためルート変更、これにより大正橋は通らなくなり、大正駅での乗換ができなくなった。
まぁJRとは大阪駅でも接続してるし、千日前線の桜川~阿波座のすぐ近く通ってるし勘弁してってことやわな。
7番目に挙げられている需要の集約、8番目に挙げられている需要の集約・吸収、
ようは近くの本数の多いバスを使いましょうってことですね。場合によっては廃止されるバスのフォローもしましょうと。
ターゲットにされたのは68号系統(京橋駅前~地下鉄蒲生四~地下鉄今福鶴見~緑一~花博記念公園北口)、
このバスのルートは京橋駅前~地下鉄蒲生四~地下鉄今福鶴見は長堀鶴見緑地線や36号系統と平行していて、
地下鉄今福鶴見~緑一では86号系統と平行している。36号系統も86号系統も使いやすいバスだし地下鉄使えるしいらんといえばいらん区間ではある。
さらに31号系統(天満橋~京橋北口~地下鉄蒲生四~新森公園)が地下鉄今福鶴見~緑一~花博記念公園北口で離れているが走っている。
そこで31号系統を花博記念公園北口に延長すれば、他のバス・地下鉄とあわせて68号系統の機能を代替出来るということで廃止に至ったよう。
最初に書いたけど市営交通としては350m以内にバス停があるというのを目指しているので微妙なバスも多いんだけど、
そんな中でも近接しているバスは統合したよってことだわな。
と、いったところですね。その他、一部路線で20分間隔・30分間隔の運転を新たに導入したり利便性向上に取り組んでいることがわかる。
ただ、今回の変更では赤バスには全く手を入れていない。
赤バスはこの3月までの利用実績を基に路線の廃止、他系統への統合、存続などを決めることが予告されている。
赤バスの中には一般バスが走らないところを走り、利用者の獲得を果たしている系統もあるものの、一般バスのルートの近くを走る区間が多い系統もある。
そこで相当の系統が一般バスへ統合という形になるのではないかと思っている。
その時もこの要領でやっていくことになるんじゃないかなと。特に需要の集約・吸収により赤バスの複雑なルートをシンプル化していくことになるんだと。
具体的にどうなるかはわからないけど、これで終わりではなくまだ続く、と考えるべきだろう。
Author : Hidemaro
Date : 2012/03/15(Thu) 23:55
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エンジョイエコカード 大阪市営地下鉄と市バス
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From 周旋屋のをとっつぁんの気ままな日記。
Date : 2012/03/27(Tue) 18:08