発表しなくても発表実績

専攻科の学生で、今度電気学会の全国大会で発表すると言っている人がいる。

その人が、僕のところに来て、「予稿のフォーマットないのにどうやって予稿書けと?」と愚痴を言うから、

Webサイトを見に行くと、フォーマット置いてあって「あるやん」というよくわからない問答をしていた。


その代わりというわけではないけど、おもしろい情報を教えてもらった。

電気学会全国大会

この平成23年の全国大会がおもしろい話である。

この大会は2011年3月16日からの3日間、豊中市の大阪大学豊中キャンパスで開催されることになっていた。

ところがこの日付を見てピンときたかもしれないが、大会の5日前の3月11日に東北地方太平洋沖地震が起きている。

会場の豊中市は地震の影響はほとんどなく開催することは可能だったかもしれないが、

発表予定者やその属する研究機関がえらいことになっていれば発表どころじゃないし、そうでなくても交通網がずたずたにやられていた。

そんな状況で開催できるはずもなく、この大会は開催直前になって中止されることになった。

このとき、本科5年生にして発表を予定していた学生がクラスメイトにいたのだが、直前でお流れになって、残念だったに違いない。

実はこの中止の決定は地震の直後にあったわけではなくて、なんと前日に決まったと言うから、あるもんだと思って出発してた人もいたらしい。


そうして残念ながら中止された全国大会であるが、中止後の措置はこうなっている。

  • 論文集の発行はすでに行われていて、口頭発表・質疑応答なしでも発表は成立したことにする
  • 発表が成立したから発表証明も出すし業績として認めてよい
  • 発表が成立したし論文集は配布したから参加費は返還しない
  • 懇親会費は返金する
  • 発表証明・来場証明が必要な人には証明を出す

と、発表は成立したことにするかわり参加費は返さないよというよくわからない措置がとられた。


よくわからないとしつつも、発表者にとっても主催者にとってもこうするのが一番うまくいく方法なのだろう。

まず発表者にとってだが、発表不成立で業績とならないことになると、せっかくの機会が失われてしまうことになる。

うちの専攻科もそうなのだが、大学院などでは修了要件に学会などでの発表という条件があることがある。

そういう人たちにとっては形式上発表したことにしないとまずいということがあるかもしれない。それだけじゃないだろうが。

主催者にとってだが、これは単純に金の問題だな。

大会が実際に開催されなくても論文集の発行を含め各種の準備にはお金がかかっている。

まして発表されたのは1日前である。すでに使った金も多そうである。

そんなところで返金するとなれば、とんでもない損失である。それは避けたかったのだろうか。


発表者含め参加者にとってみれば参加もしてないのにお金を取られるというのは納得いかない面もあるだろうし、

主催者からすれば大会で発表していない人や来場していない人に証明を出すのは憚られる面もあるだろう。

ただ、自然災害が原因だけに、お互いにやむなしとするしかないんだろうと思う。


ちなみに電子情報通信学会総合大会も同じ措置がとられている。

こちらも発表成立とする理由、返金しない理由は同じである。よくある措置なのだろうか。

まぁこんなこと起きないに越したことはないんだけどさ。