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中央省庁のお引っ越し?

消費者庁が2020年から徳島県庁内に「新未来創造戦略本部」を設置することが決まったそうだ。

「消費者庁 新未来創造戦略本部」について (消費者庁)

これは徳島県から消費者庁の移転要請を受けたトライアルの結果、

本庁の移転には至らないが、研究拠点としては活用できるということで、決まったようだ。

職員数は80名程度、消費者庁全体で360名程度だそうだから、徳島勤務は2割ぐらいですかね。


東京一極集中の是正という観点で、政府関係機関の地方移転について道府県などに提案を求めたところ、

研究機関とか、研修機関とか、中央省庁とか、いろいろな移転提案が届いたそうだ。

その中で中央省庁の移転で、2014年の閣議決定に記載されたのが次のところ。

  • 文化庁 (京都府提案)
  • 消費者庁 (徳島県提案)
  • 総務省統計局・統計センター (和歌山県提案)
  • 特許庁 (大阪府・長野県提案)
  • 中小企業庁 (大阪府提案)
  • 観光庁 (兵庫県・北海道提案)
  • 気象庁 (三重県提案)

もっとも、特許庁は本庁の移転まで踏み込んだ提案ではなく、一部部門の分散の提案だったりするのだが。


この中で本庁の移転という決定に至ったのが文化庁で、

現在の京都府警察本部本館(新築移転予定)を改修して、2022年までに文化庁長官以下7割程度の職員が働く予定になっている。

文化庁の関西への移転というのは、だいぶ昔から提案されてきた覚えがある。

関西一帯は文化財が集中している地域だし、伝統文化の継承に向けた取り組みの中心地であるし、京都は現代においても芸術の都というにふさわしい。

実際のところは舞台芸術や映像分野などについては、東京の方が中心的なところもあるけど、全体的に見れば京都への移転は価値があると判断されたようである。

今回の移転に際しては、京都府警察本部本館の近代化遺産としての価値も考慮して、

耐震工事などの必要な工事は京都府が負担するということで、そういう地域のサポートも後押しになったようである。


その次に踏み込んだ取り組みがされていたのが消費者庁だった。

なぜ徳島県が消費者庁の移転を提案したかというと、徳島県は消費者行政・食の安全安心の先進的地域だからということらしい。

人口減少・高齢化が全国平均を超えるスピードが進む地域とあって、今後全国的に起きうる課題が先んじて現れる地域で、

そういうことにも先手を打って取り組んでいるなんてことも書かれている。

徳島県の要望は消費者庁全部の移転だが、消費者庁自体が複数の省庁の横串を刺すような形でできた役所なので、

なかなか全庁移転は難しいとは早々に言われていたが、研究拠点としては一定の手応えがあったようである。

「新未来創造戦略本部」という組織名には、徳島県での先行事例を全国で生かして欲しいという期待も込められているのだろうか。


もう1つ、すでに実現したのが総務省統計局である。

和歌山県が統計局と統計センターの本庁の移転を要望した。

関西空港と新大阪駅へのアクセスがよいので全国各地との行き来がやりやすく、住環境に優れているという主張だった。

本庁移転という機運は全くないのだが、「統計データ利活用センター」という拠点が和歌山市に設けられた。

これって何かって話だけど、統計データを利用した研究を行うための拠点なんですね。

一般に利用できる統計データというのは、集計後のデータだけだが、公益性のある研究には調査票データの提供もされているらしい。

ところがセキュリティ面での配慮が必要なので、データの使用はオンサイトという特別な研究室に限られている。

東京の統計センター以外にも一部の大学などにも設置されていて、近畿地方でもすでに4施設あるので必要性はよくわからないが、

和歌山市の施設はオンサイトとデータサイエンス人材の育成を目的とした施設と位置づけられているようだ。


あとはこれといったところはないけど、特許庁は大阪府の提案を受けて、近畿地方でのサービス強化を行うことになり、

グランフロント大阪にINPIT-KANSAI(工業所有権情報・研修館 近畿統括本部)という拠点を設置した。

工業所有権情報・研修館 にとっては初となる東京以外の拠点になる。

もともとの大阪府の要望も特許庁の一部移転なので、その要望が部分的に実現したものと言える。

観光庁も兵庫県・北海道の要望を受けて、本庁の移転はしないが、地方運輸局に観光部を設置することになったようだ。

このあたりは今まで地域に根ざした取り組みが不足していたのを是正するという取り組みでしょうかね。


東京から移転する踏ん切りが付くほどの理由があったのが、文化庁の京都への移転ぐらいだったのかなと。

それに次いで消費者庁だったわけだけど、消費者庁というのが発展途上の役所というのも背景にはありそう。

統計局も将来的な移転もあるかもと考えている人はいるのかなと思いつつも、現状でそこまで言えるところまでは来てないんだろう。

少なくとも和歌山県というところの決め手になる要素は全くなさそう。


まぁ裏返せば東京でなくともというところはあるんだよね。

国会があるというところで漫然と東京に役所を置いているだけじゃないかと。

三重県が気象庁の移転を提案していて、これ自体は三重県に移転する具体的メリットはないとほぼ門前払いだが、

東京を本拠地にして気象観測や予報業務をやる意味って何だ? という問にこそ答えにくい気がする。

中央省庁だと、東京から転出する前提でロードマップを引いた試しのないところがほとんどだろうから、

何があるべき姿なのかわかっていないのが実情なんじゃないだろうか。

東京に立地しにくい施設はもうすでに転出したから、もういいだろうという背景もあるんでしょうけどね。


Author : hidemaro
Date : 2019/08/20(Tue) 23:36
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ホームの床がうるさい

今日は名古屋からバスで東京へ向かったが、案の定というか神奈川県内で渋滞につかまった。

海老名JCT~大和トンネルという渋滞で、原因は事故ということになっていた。

現在、大和トンネル付近では4車線化工事が行われているが、

この4車線化というのは海老名SA出口から4kmほど続く合流車線が、そのまま大和トンネル先まで続くようになるということ。

現状、合流点ごとに詰まっているのを見ると効果は高そう。

バスはおよそ1時間遅れで首都高速に突入し、僕は用賀PAで降りたのだった。


大阪に行くと、駅のホームの床の表示がやたらと賑やかだなと感じる。

最近、各社が床面の案内表示を充実させたことによる。

大阪に限った話ではないような気もするのだが、特に工夫が凝らされている駅が多いのかね。


近鉄鶴橋駅はホームのどこに降り立っても、環状線京橋方面・環状線天王寺方面・出口(千日前線)への矢印が見えるようになっている。

それぞれ向かうべき階段がバラバラなので、間違えないようにと京橋方面は青色、天王寺方面は赤色で表示を統一して、床面の表示も充実させた。

環状線各乗り換え改札への階段は、段差を使って文字や絵を描くようなことも行われている。

今の案内を見ると、かつての案内はずいぶん不親切だったなと気づくが、慣れてる人は間違えないもんね。

環状線天王寺方面の案内表示に 「天王寺[あべのハルカス]」と書いたり、階段にあべのハルカスの絵を描いてあるけど、

他社の駅に向けて自社の駅ビルの案内を書くあたりがいかにも近鉄らしい。

このような床面表示は地下鉄ではよく見るが、近鉄はいろんな駅で使っていて、八木駅や名古屋駅でも似たような表示を見た。


鶴橋駅から環状線に乗って大阪駅まで。

最近は京橋から先まで環状線に乗ることが少なく、駅多いなぁと思いながら乗っていた。

大阪駅で降りると、降りたところに乗車待ちの列が3色で引かれていた。

大阪駅の環状線西九条方面ホームから、大和路線・阪和線への直通列車に乗る人も多い。

そのため、方面別に3本の電車待ちの列があるって話で、それ自体はよくある話のような気がする。

ただ、阪和線方面特有の事情として、阪和線方面は切り離しの都合、電車の前後で行き先が違うという問題がある。


1994年に関西空港が開港して、環状線から関空への直通列車として関空快速が設定された。

関空からの利用者を想定して作られた列車だったが、どちらかというと阪和線内の利用者からの評判がよかったらしい。

そんなこともあって、1999年から和歌山~大阪・京橋で紀州路快速の運行をスタート、関空快速との連結運転をスタートした。

当初は5両+3両で、多くは関空快速が5両で運行されたが、時間帯によっては紀州路快速が5両になったりしていた。

5両編成の方が必ず関空・和歌山寄りだったので、時間帯によって乗車場所が変わるということで混乱を引き起こしていた。

そのため2008年に対策が行われ、関空快速も紀州路快速も終日4両で運転し、関空・和歌山寄りを関空快速、大阪寄りを紀州路快速に固定した。

ところが増加する外国人客に対して、これだけでは対策が追いつかず、ボランティアで案内活動をする「カムカムおじさん」が話題になったことも。

“カムカムおじさん”追田さんにJR西が感謝状…対策強化で外国人の乗り間違え激減 「最高の結果」  (産経WEST)

JRも対策を強化して、現在では誤乗も減ったようだが、根本的に紛らわしいことに違いはない。


旧型車両からの置き換えが完了して、環状線ではドア位置の統一が完成した。

それにあわせてホームの表示を刷新したのだが、大阪駅の表示は特徴的なものになった。

「お客様の声」に基づくサービス品質向上の事例/大阪駅 足元乗車位置案内 (JR西日本)

環状運転は赤色と輪状のマーク、大和路線は緑色とシカのマーク、阪和線方面の関空快速側は青色と飛行機のマーク、紀州路快速側はオレンジ色とミカンのマーク、

整列する線を色だけでなく、マークもかけるようにしようということだったんだろう。

関空・紀州路快速の乗車位置の問題は昔から取り組んできていたけど、床面に仕込むのは比較的新しい取り組みに見える。


今回は乗車しなかったけど、御堂筋線の駅の床もけっこううるさい。

乗車待ちの列と、降車した人が通る通路を明示するために、かなり巨大な床面サインが取り入れられている。

【御堂筋線】なんば駅で床面での誘導サインを開始 (Osaka-Subway.com)

もともと御堂筋線の利用者は整然と列をなしている印象はあったが、乗車する人と降車する人の導線がぶつかることは確かにあった。

ドアの正面からホームの奥側を経て階段まで、降車客が通る通路が明示されるようになり、スムーズに抜けられるように工夫されるようになった。


一方で、かつての関西の鉄道駅では「野良サイン」がはびこっていたが、これはかなり駆逐された。

野良サインというのは駅員手製のサインで、あまり統一感のないサインを見たらだいたいそう。

案内に苦慮した駅員がペタペタ貼っていった、まさに試行錯誤のたまものである。

なくなったっていうのは、最近のサインの見直しにあわせて、野良サインでやっていたことを取り込んでいったんだよね。

そういえば、昔は鶴橋駅にも「千日前線→」とか書いた野良サインがけっこうあった覚えがあるが、

床面サインの充実などで、切れ目なく案内ができるようになって、もはや要らなくなったということだろう。

野良サインがはびこっていた以前の方が野暮ったかったかもしれない。

行き着く先が床というのは、もはやそこぐらいしかないという実情かも知れない。


Author : hidemaro
Date : 2019/08/17(Sat) 23:55
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やっぱり東京の海はきつい

来年の東京オリンピックではいろいろなところが会場になるが、

お台場海浜公園も オープンウォータースイミング と トライアスロン の会場として使われる。

トライアスロンはスイムは公園内水面、バイク・ランは台場・青海地区の道路で行われる。

実績のある会場なので、その点ではあまり問題ないような気がするが、案の定というべきか水質と水温には懸念もあるようだ。

東京五輪会場「トイレのような臭さ」 テスト大会で不安 (朝日新聞デジタル)


お台場海浜公園は港区台場にある海上公園で、東京都港湾局が管理している。。

第三台場を保存した台場公園と隣接しているのだが、こちらは東京都建設局所管の都市公園だそう。

利用者にとってそこまで重要なこととは思わないけど、少し役割が違うんだよね。

お台場海浜公園の特徴は人工砂浜を備えていること。同じく東京都の神津島から運んできた砂を投入している。

都市の中にある貴重な砂浜ということで水遊びをする人もいるのだが、一方で遊泳は禁止されている。


東京都ではお台場海浜公園のレクリエーション水域の水質調査を継続して行っている。

遊泳禁止ではあるけど、水遊びをすることはできる水域ですからね。

そのデータを見る限り、ふん便性大腸菌の数と、COD(化学的酸素要求量)が、水浴場として不適な水準に達することがあるようだ。

ちなみに、環境省が集計している水浴場のリストを見ると、東京都は全て伊豆諸島・小笠原諸島の海水浴場だった。

一方で、常にこれらの数値が超過しているわけでもなく、水浴場として「可」の水準にあたる「水質B」の判定値を満たすこともある。

あまり水質がよいとは言えないのも確かだが、海水浴場として成立しなくもない水質のときもある。


どうしてこんなことが起きるのかというと、合流式下水道のためである。

東京をはじめとして下水道の整備が早期に進んだ地域では、汚水と雨水を同じ管に流す合流式下水道で整備されてきた。

排水による環境悪化を防ぐことと、都市を浸水害から救うことを早期に両立できる方法だったから。

ところが、合流式下水道には大きな欠点があって、大雨のときには大量の雨水に汚水の混ざった下水をそのまま排水しなければならないこと。

汚水と雨水が同じ管を流れるということは、雨のときは平時より下水量が大幅に増えてしまうことになる。

下水処理場に入りきらない分はそのまま流さざるを得ず、下水処理場に入ったとしても沈殿など簡易な処理だけで流すこともあるという。

実際、お台場海浜公園の水質が悪化するのは大雨の後であることが明らかになっているようだ。


現在、合流式下水道の地域の下水処理場は、最大汚水量の3倍の下水量を受け入れられるように設計しているようだ。

ただ、その3倍の下水に対して十分な処理をできるとも限らないのも実情。

東京の場合、下水処理水の排水先は最終的に東京湾になるわけだけど、東京湾は閉鎖性水域で富栄養化が進みやすい。

そのため、高度処理を導入するなどして、平時の処理水はずいぶんきれいにしてきたようだ。

ただ、大雨のときはどうやっても追いつかないんだよね。そこで後回しにされてきたのが実情だ。


近年になって改善が進められているが、東京都では雨水の浸透と、下水貯留施設の整備を主にしているようだ。

雨水をそもそも地中に浸透させれば浸水害のリスクは減らせるし、下水の増加も抑えられる。これは一挙両得である。

増加した下水を貯留することで、未処理あるいは不十分な処理で放流する水を減らせる。

貯留って言っても限度があるでしょという話だけど、増え始めの下水を貯留できるだけでも効果があるようだ。

合流式下水道の管路は多くの下水が流せるように作っているが、下水量が少ないと流れが悪くなりやすい。

なので、大雨の最初は管路に溜まった汚れが多く流れるそうで、これを貯留して後で処理すると、かなりの改善効果があるようだ。

もちろん、全て貯留できればそれに越したことはなく、貯留施設の整備で未処理での放流回数を1/3程度に減らせた例もあるようだ。


その他の対策としては、下水処理場の処理能力の拡大がある。

フルスペックでの処理量を増やすのは難しいが、大量の下水に簡易な処理ができれば改善につながる。

高速ろ過と呼ばれる仕組みだそうだが、浮遊物質は7割程度、有機物は半分程度取れるようだ。

これを消毒して流せば、大雨のときの水質悪化はかなり軽減できるという目論見である。

下水処理場に処理できる水量を増やして、貯留で下水処理場に入りきらない下水を減らせば、大きな効果が得られそうである。


お台場海浜公園では、レクリエーション水域にスクリーンを張るという対応をしている。

もしも大雨などで外の海域の水質が悪化したとしても、スクリーンで仕切っておけば影響を軽減できる。

もともと水質がよいとは言えないが、競技が出来ないほどに悪化するのを防ぐことは出来る。

ただ、難点もあるようで、それが水温が高くなってしまうこと。外に比べて1℃ぐらい高くなるらしい。

水温が31℃を超えると競技ができなくなったり、制限がかかるのでそれは避けたい。

10時スタート予定の競技を7時スタートに繰り上げたが、そのときの水温が約30℃ということでギリギリ。

オリンピックでは状況によっては朝5時までの繰り上げも考えているとのことである。


せっかく東京でやるんだからということで、お台場海浜公園が会場になったんだと思うけど、やっぱり大変だよね。

基準値は満たしていたとしても、快適とは言いがたい競技環境ですから。

とはいえ、東京都としてもお台場海浜公園をいつか市民が泳げる海にしたいという思いはあって、

それに向けていろいろ取り組んできたし、その成果は生きてるんだと思いますけどね。

合流式下水道の問題も2002年から時間をかけて取り組んできたもので、実際に効果が見えてきている。

平時の水質改善も、大雨のときの水質改善も、もちろん浸水害の軽減も、どれも大切な取り組みだけど、着実に進んでるんじゃないか。


Author : hidemaro
Date : 2019/08/11(Sun) 23:50
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中小企業を襲ったガソリン火災

先週、燃料油のことを書いたが、この話には続きがある。

燃料油の選び方

今月18日、京都アニメーション の社屋にガソリンを撒いて放火されるという事件が起きた。

京アニ放火、吹き抜け構造で一気に燃焼か 4人なお重篤 (朝日新聞)

今日時点で死者35人、その他30人以上の負傷者を出している。

殺人事件という観点では「津山三十人殺し」こと津山事件(1938年) や オウム真理教事件(1988~1995年・死者計29人)を超えるもので、

ビル火災という観点では、防火設備の不備で大きな被害を出した歌舞伎町ビル火災(2001年・死者44人)や 千日デパート火災(1972年・死者118人)に次ぐものである。

なお、この事件においては、防火設備の不備はなかったとされている。


このニュースを聞いたとき「ガソリンで放火!?」と思ったのだが、過去にもガソリン火災は大きな被害を出しているそうだ。

先の記事で書いたが、ガソリンは引火点が低く、容易に爆発的な火災を起こす。

爆発的な火災により、周辺の可燃物へ一気に延焼し、室内であれば、不完全燃焼により大量のススや一酸化炭素を発生させる。

さらに、ガソリン火災は消火が難しいと言われているが、これは水での消火が難しいということである。

水での消火は水の窒息効果と冷却効果に期待しているが、ガソリンは水より軽いので水では窒息できず、引火点が-40℃なので冷却しても無意味ということ。

粉末消火器は比較的効くようだが、これほどの火災となればそもそも初期消火どころのことではないだろう。


というわけで、このような場合は逃げるが勝ちなのだが、逃げるのも大変だったようだ。

まず、室内にらせん階段があったため、そこを通じて建物内全体への火のまわりが早かったこと。

らせん階段には必要な防火対策はなされていたのだが、ガソリン火災では十分な効果がなかった。

ガソリン火災の場合、一般的な防火設備では不十分であったり、爆発的な火災で破壊されて効果を発揮しないことがある。

大量のススにより視界が遮られ、さらに一酸化炭素中毒で避難中に意識を失った人も多かったようだ。

せめて外階段など安全が保たれた避難通路があればよかったのだが、あったとしても効果的に働いたかはわからない。

防火設備に問題はなかったとされているが、そもそも大規模なガソリン火災で効果的に働く防火設備は用意していないのだ。


京都アニメーションは従業員数150人ほどのアニメーション制作会社である。

その中で最大規模の事業所が全焼し、設備や各種資料に壊滅的な被害を出した。

(ただ、幸いにも社屋内にあったデータサーバーは焼損を逃れたとのこと)

人的な被害としても、従業員の半数ほどの70人が死傷というのはただ事ではない。

果たしてこの状況から会社を立て直すことができるのだろうか?

それこそ、大きな被害に耐えきれず、全員解雇という事態が起きても不思議ではないほどだが、

ニュースでの社長の発言を読む限りでは、事業継続に向けて前向きに動いているようである。


人気作を多く手がけてきたアニメーション制作会社とあってか、ファンなどによる支援の動きも広がっている。

自然災害であれば、赤十字社や共同募金会などが義援金を募り、それを一定の基準で分配することが定着している。

ただ、今回は犯罪被害であり、そのような仕組みはそぐわない。

一体どういう仕組みで支援金を届ければよいのか。よくわかっていないのが実情である。

先行したのが同社製品を多く扱う アニメイト が店頭で始めた募金活動で、

それに続いて、日本アニメーター・演出協会、日本動画協会、そして京都アニメーション自身も支援を受け付けるようになった。


公的な制度が及ばないわけではなく、警察庁は犯罪被害給付制度を用意しており、死亡・重傷病・障害について給付を行っている。

おそらく、ファンなどから寄せられた支援金も、亡くなった社員の親族、療養中の社員とその親族への給付、

すなわち個人への給付に宛てる分にはなんら問題ないことだと思う。

ただ、会社の再建に期待して支援を寄せた人も多いことだろう。

でも、これをどうやって会社の再建に充てればよいのだろうか? というと難題だと思う。


自然災害でも、会社への支援というのは、貸付制度がメインである。

地域産業への影響を考慮して補助金が出る場合もあるが、再建には不十分であることが普通で、

貸付制度で借金をして再建を目指したが、返済の負担が重すぎて、結局廃業に至る事例も多い。

中小企業が犯罪により壊滅的な被害を受けるということはとても稀な事例だが、

それだけに公的な支援制度は皆無で、税制上の優遇措置もないんじゃないだろうか。

せっかく差し伸べられた支援金だが、受けとった支援金に課税されてしまっては、結局、会社再建に生きないことになる。

全焼した社屋の除却費用 なら支援金を充てても全く問題にならないと思ったが、それが再建支援に十分とも思えない。

いろいろ考えてはいるんだろうけど、行政も巻き込まないと難しいんじゃないだろうか。


この事件で思ったことはいろいろあるけど、やっぱりガソリン火災は怖いなと。

そもそもガソリンは安全に注意を払って使わないと危険で、意図せずとも容易に事故を起こしてしまう。

それを悪意を持って大量に持ち込まれると、もはや防火設備が無力になるほどの被害を出してしまうわけだ。

自動車への給油以外のガソリン販売はこれまでも事故・事件が繰り返されてきたことから、

金属製の携行缶を使うことや使用目的の確認が行われてきた。今回の事件でもガソリンスタンドは適切な対応をしていたようだ。

草刈機や小型発電機など、自動車以外にガソリンを使う用途はあるので、自動車への給油以外での販売をやめるのは難しい。

一体、どうやって同種の犯罪を防げるのか。これはとても難しい。


中小企業を襲った事件というのもまた問題だなと思った。

犯罪被害が個人だけでなく会社に及ぶこともあり得るが、そもそも公的な支援はほとんどない。

それでも大企業なら自力再建というのはそこまで難しいことではないと思う。

でも、主要事業所が全焼、従業員の半数近くが死傷というのは、事業規模に対して過大すぎる被害である。

各所から支援金が集まっているのは幸いだが、このようなことは一般的には想定されていない。どうしたもんか。


Author : hidemaro
Date : 2019/07/27(Sat) 23:30
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やっぱり政党名で票を集めないと

今回の参議院議員選挙から比例代表の定数が2増えた。

選挙区の一票の格差是正のための定数増はわかるんだけど、比例代表の定数を増やしても何も起きませんからね。

自民党が比例代表の特定枠で2人擁立することに関連しての増員らしいのだが、

定数を2増やしたからといって、自民党が2議席取れるわけでもないのだから、不可解な話である。

それで実際はどうだったのかと言う話だけど、比例代表で49番目・50番目の議席を取ったのは、

それぞれ公明党と自民党だったので、結果的に自民党は1議席を穴埋めできたんだけどさ。


参議院議員選挙の比例代表では、政党名または個人名で投票できるが、

政党票と個人票の合計で政党ごとの議席数を決めた後に、個人票の順位で当選者を決めるという都合、

政党によって個人票の当落ラインは変化する。

  • 自民党: 13万票(19位)まで当選
  • 立憲民主党: 7.4万票(8位)まで当選
  • 国民民主党:  26万票(3位)まで当選
  • 公明党: 1.5万票(7位)まで当選
  • 共産党: 3.4万票(4位)まで当選
  • 日本維新の会: 5.3万票(5位)まで当選

けっこう違うもんだなと。


そこで政党ごとの総得票数に占める政党名での投票の割合を調べてみた。

政党名での投票の割合が高い順に、共産党(90%), 日本維新の会(86%), 立憲民主党(85%), 自民党(72%), 公明党(66%), 国民民主党(62%)となっている。

政党名での投票の割合が高いほど、当落ラインは低くなる傾向がある。

国民民主党は政党名票が伸び悩んだ結果、個人名での争いがかなり激しくなったということだ。

公明党はちょっとおかしい気がするが、6位までは10万票以上あって、その次の7位から1桁落ちている。

おそらく、公明党としてはあまり期待していなかった候補者まで議席が行き渡ってしまったのだろう。

公明党もまた定数増の恩恵を受けた政党の1つですからね。想定外によかったのだろう。


他の政党と並べるにはふさわしくないので書かなかったが、れいわ新選組の得票は何かと特殊である。

政党票の割合は54%と低く、総得票の43%を代表の山本太郎さんの個人票で稼いでいる。

山本さんの得票は99万票、後で書くけど、これだけの得票で1議席取れるのだが、それでも落選している。

理由は獲得した2議席が全て特定枠の候補者の当選にあてられたため。

そこは特定枠の使い所なのか

「得票結果次第では、団体の政策とかそんなことより代表の知名度で取った得票じゃないかと言われかねない」という懸念を書いたが、どうでしょうね?

政党名で半分以上取ってるとも言えるが、政党名で投票した人が果たしてこの方針に理解して投票したのかはわからないし、

逆に代表の個人名で投票した人も、特定枠2人と代表を国会に送ろうという意志で投票した可能性はありそうだし。

僕は意外と政党票が多いなと思ったが、他の政党に比べれば個人票の割合が高すぎるのも確か。


今回の比例代表は50議席目が自民党の19議席目だったので、177万票/19=93万票で1議席取れたということ。

今回の選挙で、インターネットでやたらと注目されていたのが自民党の山田太郎さんだった。

ネットどぶ板選挙の山田太郎氏が当確「表現の自由守る」 (朝日新聞)

再選とあるけど、自民党所属の議員であったことはない。

2010年の参議院選挙では みんなの党 から比例代表で立候補し、後に繰り上げ当選した。

任期満了後の2016年は新党改革の候補として比例代表に立候補したが、そのときは個人名での最高得票を集めて落選した。

このような経緯のある候補なので、今回は自民党からの立候補となったが、もともと自民党に投票しようとは思っていなかった人からも注目を集めていたように見える。

そして、自民党2位の54万票で当選を果たしたのだった。


確かに54万票も獲得したのはすごいのだけど、それでも比例代表の1議席相当の93万票までは40万票も開きがある。

この40万票というのは、政党票あるいは落選した候補の個人票を譲ってもらったものである。

このような候補者でさえ、政党名票の援護がとても大きいのが実情である。

共産党の3.4万票で当選した候補者なんて、残り90万票ぐらいは政党票と落選候補の個人票ですからね。

政党に寄せられた期待の大きさがよくわかる話だ。


もともと自民党に投票しようと思っていなかった人まで巻き込んだ山田さんだが、

それに対して「自力で90万票以上集められるならともかく、そうでなければ自民党の他の候補の議席を奪うだけでは」と指摘する人もいた。

今回の自民党の得票から54万票減ったとしても(山田さんに投票した有権者が全て棄権したのに相当)、自民党の獲得議席は何ら変わらない。

実際には54万人のうち相当割合はもともと自民党に投じようと思っていた人だと思うので、なおさら自民党の獲得議席への影響は小さいだろう。

その点では的を射た指摘に見えるかも知れないけど、それは違うと思う。

必ず1議席動くためには90万票以上必要だけど、1票の差で1議席が変わる可能性だってありうるので、票の積み重ねはやっぱり重要だ。

あと、政党内の当選順位に有権者が関与していくというのが、参議院の非拘束名簿方式の比例代表制の目的だと思うので、

他の候補者の議席を奪ったのではなく、より当選すべき人が当選できたという見方がよいと思う。


政党名票という点で、割を食ったのが国民民主党なのかなぁ。

国民民主党は組織力の強い候補が多かったのだろう。5位ですら14万票で、立憲民主党の1位の16万票に匹敵する数字である。

ところが国民民主党は政党名票の援護が弱く、3議席獲得に留まり、19万票で4位落選である。

同じくかつての民主党にルーツを持ち、政策面の共通面も多い立憲民主党は政党名票の援護で 7.4万票で8位まで当選だから大きな差がある。

もしも、両党が1つの名簿にしていたら、合計で12議席(1議席多くなる)を獲得して、個人票では8.8万票が当選ラインとなる。

これは立憲民主党の6位相当、国民民主党の6位相当までが当選となる計算だ。

似た考えの2つの政党を束ねて、個人名票を集めた順に当選するというのは妥当な気もするけど、

やっぱり立憲民主党と国民民主党は違うと考える有権者にとっては不本意な話で、それを嫌って他党に流れることもありそうだし、

立候補者にとっても、選挙運動がやりにくいとか、比例代表での得票が政党助成金につながらないとか、統一名簿のデメリットも多いんだよね。

そう考えると、同根の2党で、個人名票の当落ラインが大きく異なるのもやむを得ないことなのかな。


Author : hidemaro
Date : 2019/07/24(Wed) 23:05
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男女同数は実現できるか?

候補者男女均等法 こと 政治分野における男女共同参画推進法 ができて、

政党・団体が擁立する候補者はできる限り均等になることを求められるようになった。

定数が多いからこそ?

地方議会の選挙でも適用されるが、やはり政党の組織化の強い国政選挙でこそ、実効性が高いのではないだろうか。


といっても、政党によって取り組みに差があったのも実情である。

主要な6政党で、立候補者の男女比が離れている順に、

公明党(女性候補者8%)、自民党(同15%)、日本維新の会(同32%)、国民民主党(同36%)、共産党(同55%)、立憲民主党(同45%)

立憲民主党・共産党はほぼ同数と言える範囲、国民民主党と日本維新の会は男性が多いが同数に近づけたように見える。

選挙区で 立憲民主党・国民民主党・共産党・社民党が合同で立てた無所属候補だが、男性8人、女性11人で女性候補が58%となっている。

これらの無所属候補と立憲民主党・国民民主党・共産党・社民党各々の候補者を合計すると、女性候補の割合は49%とほぼ同数だね。


総合すると 立憲民主党、共産党 は候補者男女均等法の義務を十分果たしたと言えそう。

国民民主党は男が多い気がするが、選挙区でやや女性が多い無所属候補の擁立に貢献したと考えれば、十分という主張はできるか。

一方で、自民党・公明党は従来の参議院での両党の男女比と同程度なので、これといった取り組みをしていないように見える。

現職議員が多く、男女比を変えていくのが難しいのも背景としてあるらしいのだが……


政党に求められたのは立候補者の男女比をできる限り均等にすることで、それをどう選ぶかは有権者次第である。

  • 自民党 : 男47人, 女10人 (女性比率18%)
  • 公明党 : 男12人, 女2人 (女性比率14%)
  • 立憲民主党 : 男11人, 女6人 (女性比率35%)
  • 国民民主党 : 男5人, 女1人 (女性比率17%)
  • 共産党 : 男4人, 女3人 (女性比率43%)
  • 立憲民主党・国民民主党・共産党・社民党が擁立した無所属候補 : 男5人, 女4人 (女性比率44%)
  • 日本維新の会 : 男9人, 女1人 (女性比率10%)

主要6党で当選者数も男女同数に近いのは 共産党 が唯一ですかね。


立憲民主党は立候補者で45%だった女性比率が当選者では35%まで下がってしまった。

選挙区での当選者は男5人, 女4人なのでほぼ同数なのだが、比例代表での当選者が男6人. 女2人と大きく開いてしまった。

比例代表は個人名での得票を集めた順に当選するという点ではシビアなもので、そこで勝ち上がれる女性候補は少なかったようだ。

立憲民主党・国民民主党・共産党・社民党の各党と、これらが擁立した無所属候補の当選者を合計すると、男26人, 女14人で女性比率は35%である。

総じて見れば、男性の割合が増えてしまったが、まだ踏ん張った方とみるべきだろう。

日本維新の会 は立候補者では女性比率32%だったのが、当選者では女性比率10%ととてつもない差がついている。

比例代表で全く女性候補が当選しなかったんだよね。選挙区も大阪府(日本維新の会は2議席獲得)の1人だけだからね。


逆に男女同数に少し近づいたのが、自民党と公明党である。

といっても、男が多すぎるのが、少し間引きされた程度であんまり印象は変わらないが。

自民党・公明党で獲得した議席は71議席で、124議席の半数以上なのだが、女性では12人である。

一方、立憲民主党・国民民主党・共産党・社民党の各党とこれらが擁立した無所属候補は合計40議席である一方、女性は14人になる。

実は、女性議員の数ではこれら4党の合計の方が多いのだ。男性議員なら自民党・公明党の方が倍以上いるんですけどね。


東京都選挙区は改選数6と多いが、今回の当選者は女性3人・男性3人で男女同数だった。

6議席のうち、早々と当選確実が出た4人は、自民党・共産党・立憲民主党の女性候補と公明党の男性候補だった。

残る2議席を日本維新の会・自民党・立憲民主党の男性候補が争うというのが開票速報での報じられ方だった。

早々と当選確実が出た4人を見てみると、やはりそれだけの実績を積んできた人なんだよね。

東京都選挙区全体で見れば、男性候補が14人、女性候補が6人だったが、

有力候補という観点では、むしろ男1人、女3人だったのが実情で、実力のある候補者が早々と当選確実になったというだけのことだ。


議会を男女同数に近づけるためには、政党が擁立する立候補者の男女比というのも重要かもしれないけど、

やっぱり男女ともに実力のある候補者がいないと、実際に当選するのは難しいということ。

もっとも衆議院議員選挙では、比例代表の名簿順位を男女交互にして、意図的に当選者を男女同数にする方法もあるけどね。

最近の衆議院議員選挙の実績だと、公明党 と 共産党 は名簿順位を厳密に決める傾向があるので、

今回の取り組みも考慮すると、共産党は名簿に男女交互に書く方法を使ってきそうだなと思った。

あと、小選挙区制だと有権者の選択の幅は狭まるので、政党の取り組みで当選者の男女比も変わりうるかね。

今回の立憲民主党の結果を見てもわかるが、選択肢が多い参議院の比例代表では立候補者の男女比と当選者の男女比は変化しやすいが、

選択肢が狭い選挙区では立候補者の男女比は比較的保たれる傾向がある。


選択肢が狭められるのは有権者にとっては不本意かも知れないが、衆議院の方が候補者男女均等法の効果が見えやすいかもしれない。

衆議院全体では女性議員は10%ほどと、現状は参議院よりもはるかに男性議員の割合が高い。

比較的男女同数に近い共産党で25%、立憲民主党で22%という状況だから、衆議院ではどの政党もまだまだ。

一方でこの両党は今回の選挙でほぼ男女同数の擁立を実現していて、

実際の当選者も共産党ではほぼ同数、立憲民主党は男:女=2:1ぐらいで比較的よい。

小選挙区の争いに勝てる実力のある候補を、男女同数揃えられるかは課題かもしれないが、他党に比べれば期待はできる。


Author : hidemaro
Date : 2019/07/23(Tue) 23:58
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本部があるところではめっぽう強い

参議院議員選挙の結果が出て、全体としてはこんなもんかなぁという感じだけど、

選挙区別に見てみると、異様なのが大阪府選挙区。

4議席中、日本維新の会が2議席、公明党と自民党が1議席ということで、

日本維新の会が2議席取ってること自体が驚きだが、それぞれ1位・2位なんだよね。

確かに同じ政党が2議席取っている選挙区は、千葉県と東京都(いずれも自民党)があるけど、いずれも1位と最下位で2議席なんだよね。

1位でも最下位でも1議席には違いないので、こういう作戦が一般的だと思うのだが。


ところで、日本維新の会というのは、現存する国政政党で唯一、東京都に本部を置いていない政党である。

ここでいう国政政党というのは、政党助成金などの対象になる政党のことだ。

(国政に議員を送り出していた政治団体ならば沖縄社会大衆党などもあるが)

日本維新の会の本部は大阪市に置かれている。

日本維新の会とその前身となった政党以外にそのような政党があったかは確かではないが、

国会が東京都に置かれていることを考えると、明らかに異質である。


日本維新の会 のルーツは大阪府の地域政党「大阪維新の会」である。

現在は 日本維新の会の大阪府総支部の別名が大阪維新の会となっている。

このような別名を持つ支部がいくつかあるようだ。(京都府総支部が 京都維新の会 であるなど)

ここに至るまでにはいろいろな紆余曲折があって、前身となった (旧)日本維新の会→維新の党 は既存の国政政党から合流する議員も多かった。

ただ、それゆえに地域政党である大阪維新の会との意見の食い違いも伝わってくるような状況で、

2016年に維新の党は民主党に合流し、民進党に改名した。(後に同党は国民民主党に改名しているが、立憲民主党に加わった議員も多い)

このときに「おおさか維新の会」として独立した国政政党が、現在の日本維新の会である。

実態は「大阪維新の会 国会支部」みたいなものでは? と思ったけど、改名前はまさにそんな名前だった。

その後に全国政党としての体裁を整えていったというのが実情かなと。


都道府県別の比例代表の得票数をいちいち各都道府県の選挙管理委員会のWebサイトから集めたのだが、

これを見ると日本維新の会の得票の歪さがよくわかる。

日本維新の会の得票率は全国平均で9.8%で、比例代表での獲得議席は5議席となっている。

ここで、平均以上の得票率だったのは 大阪府・兵庫県・奈良県・滋賀県・京都府・富山県・和歌山県 の7府県である。

特に大阪府は34%もの得票率で、これは全政党筆頭の得票率である。(自民党が筆頭ではないのは全国で唯一)

近畿地方の6府県と富山県ということで、あからさまに近畿地方に偏っている。

富山県は県内出身の候補者が立候補していて、その個人票で稼いだのが要因のようで、これも地域特有の事情である。

これら7府県で日本維新の会全体の43%の得票を獲得している。

7府県の投票総数は全国の17%に相当するので、それに比べると明らかに多すぎる。


日本維新の会 が強いと言うことは、他の政党に取っては不利ということだろう。

共産党と公明党は全国平均並ということで、そこはあまり食い合うところではないらしい。

国民民主党は全国平均7%ほどの得票率なのに、大阪府では3%台ということで、えらく低い。

国民民主党は地域ごとの得票率のムラが大きいのは確かだが、それにしても低い。

立憲民主党も全国平均15%ほどの得票率に対して、大阪府では8%ほどと低い。


なにより影響が大きかったのは自民党だろう。全国平均で35%ほどもあるのに、大阪府では20%ほど。

大阪府選挙区は改選数4と多いからか、共産党・立憲民主党・国民民主党がそれぞれ候補者を立てていて、

それで分散したのか、自民党の候補は4位当選とはいえ、5位に大差を付けての当選だった。

ヒヤヒヤしただろうというのが兵庫県選挙区(改選数3)で、3位当選した自民党の候補者と、4位で落選した立憲民主党の候補者の差は小さく、

大阪府ほど極端ではないとはいえ、日本維新の会の影響で厳しい戦いになってしまったのかもしれない。

大阪府・兵庫県はそれぞれ公明党の候補者が立候補しているので、自民党は自力で稼ぐしかない。

それでも同様の条件の 埼玉県・東京都・神奈川県・愛知県・福岡県 では自民党候補がトップ当選ですからね。


日本維新の会の支持が近畿地方に偏っているとは言うけど、ある程度は全国的な支持が広がっているのも確か。

近畿地方と富山県で43%の得票を集めているということを裏返せば、他の地域で残り半分以上を稼いでいるということ。

他の地域の選挙区でも東京都・神奈川県で各1人当選者を出している。

大選挙区制の選挙区もある参議院選挙らしいことではあって、

これが小選挙区制の衆議院選挙にも当てはまるかというと、それは難しいんだけどね。


Author : hidemaro
Date : 2019/07/22(Mon) 23:50
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投票方法いろいろ

今日は参議院議員選挙の投票日なので、入場券と選挙公報を片手に昼前に投票所に行ってきた。

この時間帯は投票所が混み合う時間ではあるのだが、それにしても列が長い。

しかも列が進まないからおかしいな、と思ったらしばらくして動き出した。

名簿照合のところまで来ると、なんか大きな車いすに乗った人が職員とやりとりしている。

何か知らないけど、特別な対応が必要で、そのために職員が動員されて、名簿照合が止まってしまったのだろう。


投票所に行き、渡された投票用紙に自筆で書くのが日本の選挙の基本である。

投票所に行くというのは、当日の投票でもそうだけど、期日前投票でも不在者投票でも基本的にはそう。

他の市町村で不在者投票をする場合、投票用紙のセットは本人に届くのだが、不在者投票所に持参して、そこで記載して投票することになっている。

不在者投票所は病院などにも設置されることがあって、わりと柔軟な対応が可能である。

その後、届いた投票用紙は、当日に投票資格を確認して投票箱に投じられる。

これが基本だが、それでは投票しがたい有権者もいるので、いくつか特別な投票制度が用意されている。


投票所での特別な投票方法としては、代理投票と点字投票もある。

代理投票は自分で投票用紙に書けない人が使う制度である。

代理投票を申し出ると、補助者2人が出てきて、一方が指示に応じて記載、もう一方が記載内容が指示通りか確認する

この補助者というのは投票所の職員があてがわれるので、代理投票の申出があると名簿照合が止まることはありそう。

当たり前だけど、補助者は投票の秘密を守る義務がある。


点字投票は点字を記載することで投票する方法で、この制度があるということは全ての投票所に点字器と専用用紙があるということ。

視覚障害者にとって、自分が書いた字が読めないということは、鉛筆で字を書いて投票するのは困難である。

点字ならば、自分で書いた字を自分で読むことができる。だから視覚障害者が書く字として点字が使われるんだね。

普通の投票用紙に自分で書けないという点では、視覚障害者も代理投票の対象になるし、そうしている人も多そうだが、

点字投票ならば自らの手で、誰にも投票内容を明かすことなく投票できるというメリットはある。


投票所に来ることができない人への投票方法としては、郵便投票の制度がある。

対象は一定の条件を満たす身体障害者だが、最近は要介護5の認定を受けている人が対象になるなど拡大されている。

郵便投票は不在者投票の一種だから、投票用紙が手元に届くところまでは一緒で、

そこから自宅で投票用紙を書いて返送することで投票できるところだけが違う。

かつては郵便投票の場合は、必ず本人が投票用紙を書く必要があったが、現在は一定の条件を満たす人は代理記載が可能になっている。


日本国内では次の通りだが、日本国外での投票を想定した制度がある。

船上からファックスで投票する洋上投票、これはあらかじめ投票用紙を積み込んでおく必要があるのだが、

選挙期間中ずっと外国で航海している船でも投票することが出来る。

選挙期間中に日本国内の港に入るのなら、一般の不在者投票制度も使える。

在外投票ということで、外国に住んでいる日本国民が対象で、在外公館での投票と郵便投票がある。

郵便投票は国内の郵便投票とほぼ同じ仕組みだが、在外選挙の対象者なら誰でも対象である。

在外公館投票はその場で投票用紙を受け取って投票すると市町村に郵送される。近くに在外公館があれば手軽である。


多くの人にとってはあまり縁がない制度かもしれないが、できるだけ多くの人が投票できるように工夫がされている。

ところで、今の投票所は段差がないので、手押し車を押して投票に来るような人にとっても、容易に投票できている。

当たり前だと言いたいところだけど、投票所によっては石段が登れないと投票所にたどり着けないなんていうこともある。

そういう投票区ではあらかじめ期日前投票所に行くとか、郵便投票が使えるならそれも選択肢なんだろうが、負担が重いこともある。

それとはまた違う問題だけど、当日の投票所で対応する代理投票と点字投票は仕組みとしては簡単で使いやすいよね。

職員配置の都合、他の投票者に影響が出てしまうのが実情かと思うが、そのときだけはご勘弁をということでしょうかね。


Author : hidemaro
Date : 2019/07/21(Sun) 20:23
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穴あきダムは何がいい

Blogのカテゴリーが実態に合っていないなというところで集約・新設を行った。

コンピュータ関係のカテゴリがやたらと細分化されていたが、「コンピュータ・インターネット」1つに統合した。

もともとプログラミングに関する内容を多く書こうとしていたし、一時期までは多かったのだが、今ではさっぱり。

技術別に細かく細分化するよりは、コンピュータ関係の技術はすべてここという区分にした方がすっきりするなと。

一方で、最近は文化財・エンターテインメント・スポーツの記事が多いということで「文化」というカテゴリを新設した。

過去にさかのぼってカテゴリを振り直したが、2015年頃から多くて、これまで200件以上が該当していると判断した。

少しずつ興味を持っている内容が変わってきたということですかね。


一時期、「穴あきダム」という言葉を聞くことが多かったが、

通常時に水を貯めないダムが少しずつ増えてきているらしい。

もともと小規模なダムではそういうのもあったらしいのだが、

大規模な多目的ダムの計画が穴あきダムに変更され、わりと大きなものが建設されている。


益田川ダム(流水型ダム) (島根県)

益田川ダムは2005年に完成し、現在完成している穴あきダムでは最大の貯水量を誇る。

穴あきダムであっても、完成後に試験湛水ということで、1回は満水にする。

そのときだけ仮のゲートを付けて、下流へ流れる水を絞るんだそうだ。

それで貯水池に問題がないことが確認されたら、徐々に放流して、仮のゲートを取り払う。

完成後は常用洪水吐きの穴の大きさで流量を絞るだけで、下流が耐えられないほどの洪水が起きない限りは水が溜まることはない。


穴あきダムのメリットとして、水も貯めなければ、砂も貯めないということで、下流への土砂の流れが保たれること。

さらに、魚などの行き来も阻害しないということで、生態系への影響も小さいのがメリットとされている。

ただ、メリットはそれだけでなく、ダムの貯水池のほぼ全てを洪水調整に使えるということである。

多目的ダムの場合、利水容量・発電容量・洪水調整容量と振り分けられるだけの貯水量が必要である。

さらに、砂が溜まってしまうので、堆砂容量というのも取っておく必要がある。

穴あきダムは、その構造から必然的に洪水調整専用だし、さらに普段は水も砂も貯めないので、堆砂容量もごく少なく済む。


この結果、何がよいかというと、同じ洪水調整能力を得るために必要なダム湖が小さく出来る。

実は益田川ダムの計画は1973年からあったのだが、計画が動き出した後、1983年に大洪水が発生した。

その後、洪水の想定を見直したようだが、当初想定よりも高いダムを作らないと下流を洪水から救えないことが判明した。

ただでさえ水没地域の反対で計画が進まないのに、さらに水没範囲が広がってはそれどころではない。

そこで、ダムの目的から不特定利水を外して、洪水調整専用の穴あきダムとすることで、水没地域を減らした。

こうして1989年に補償基準の調印にこぎつけ、道路の付け替えなどを行ってから、2001年からダム本体工事に入り、2005年に完成を迎えたのだった。


ただし、この過程で益田川ダムから不特定利水の機能が抜け落ちた。

不特定利水というのは、河川法ができる以前から存在していた慣行利水権分の水を供給するもので、

実態としては、下流の農地への水の供給が主な目的である。

あと、不特定利水分の水を流すということは、下流の河川環境の保全にも役立つ。渇水期も枯れ川にしないということだから。

ところが穴あきダムにはどうやってもその役目は果たせない。だって洪水時以外に水を貯めないんだから。

この問題に対して、益田川ダムでは上流にすでにあった笹倉ダムを改造して対応することにした。

笹倉ダムは農地防災ダムという名目で作られた小規模な治水専用のダムで、これも穴あきダムだった。

治水機能は益田川ダムに集約して、不特定利水専用のダムに仕立て直すという工事をしたのだ。


治水・利水の両方の機能を果たせる多目的ダムは重宝されたのだが、どっちもとなると規模は大きくなる。

一方で、最近は地域によっては水余りということもあって、利水目的は外してもという話も出てくる。

そこで治水専用の穴あきダムにして、規模を縮小すれば、影響範囲も減らせてよいということである。

それぞれの地域の実情によるけど、そういう選択肢もあるんだということですね。


ちなみに現在建設中の穴あきダムで最大のものは、福井県の九頭竜川水系に建設中の足羽川ダムである。

下流は天井川ということでたびたび洪水被害に悩まされてきた地域である。

穴あきダムにしたことで、貯水量は4割減でも十分な効果が得られ、建設地点をより上流に動かすことができた。

上流に動かすとダムの集水域が減ってしまい、ダムが受け止められない洪水が増えてしまうが、そこは導水路で補うことにしているそう。

なかなか大胆な選択だと思うが、地域への影響を減らして高い効果が得られるなら、それが一番いいよね。


Author : hidemaro
Date : 2019/07/15(Mon) 23:47
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どうすれば個人名で投票できる

参議院選挙の公示があってそろそろ1週間、

近くのポスター掲示板は少しずつ埋まってきたけど、まだ抜けがちらほら。

ポスター貼りが大変なのはわかるんだけど、ちょっとなぁ。


そろそろ投票先も考えないとな、ということで調べていた。

だいたい当たりはついていたのだが、東京都選挙区は改選数6と多いので同じ政党でも複数人立候補していて、

情勢調査も参考にしながら、票の取り過ぎにならないように投票先を考えないとなぁというのもあった。

Webで公開されている選挙公報を見て、選挙区・比例代表ともにこれで行こうというのがだいたい決まった。

投票は11日先だけど、だいたい決めておけば直前で慌てなくてよいから。


比例代表については、政党名で投票しても、個人名で投票してもよい。

政党名で投票しても、同じ政党の誰の個人名で投票しても、政党ごとの当選者への影響は変わらない。

確かに政党名で投票するのは楽だけど、なんとなくでも当選して欲しい人がいれば名前を書けばよいのである。

政党ごとの当選者数は先に決まっているから、単記非移譲式の大選挙区制と違って票割りなど考える必要はない。

そういう観点で決めていた政党の選挙公報の名簿登載者リストを気楽に見ていたら、なんかよさそうな候補者がいた。

ちょっと深掘りしてみたが、政治家としての実績はあまりないが、考え方としてはよさそうである。

その人が当選ラインに入るかは微妙だが、もしこの人が落選しても、政党ごとの当選者数には貢献できるので問題ない。

というわけで、有権者になってから3回目の参議院選挙にして、初めて比例代表で個人名での投票を決意した。


投票用紙にその候補者の個人名を書けば終わりなのだが……

そういえば記載台に比例代表の名簿登載者のリストって置いてあったかな。なんか脇に壁掛けしてあったような。

調べてみたのだが、基本的には記載台ごとに政党名・名簿登載者のリストを配置することになっているようだ。

脇に壁掛けしてあったのは、衆議院の比例代表の名簿登載者リストのことだろう。(衆議院では政党名しか書かないので参考資料の扱い)

というわけで、投票所でフルネームや漢字を忘れても、おそらく無理なく確認出来そうだ。

名前しか書いてないから、それで思い出せるかという問題はあるが。


投票用紙に記載するにあたって、正しい名前をフルネームで書くのが好ましいのは言うまでもないけど、

特に紛らわしいことがなければ、名字だけとか、名前だけとか、ひらがなで書くとか、政党名だと一部だけ書くとか、そういう場合でも正しく集計されるはず。

例え、多少の誤字があっても、明らかにこの人を指していると判断が付けば、それは意図通りに集計されると思われる。

ただ、同じ名字の人が複数人立候補しているとか、紛らわしいことがある場合は、厳密に書かないと集計されないことがある。

投票用紙に書かれる可能性のある政党・名簿登載者の名前が多い参議院選挙の比例代表はなかなか大変である。

同じ名字の人もザラだし、過去には政党の略称と他政党の名簿登載者の名前が紛らわしいなんて事例もあったらしい。

届出のあった政党名の略称は安心して使えると思い込んでいたら、まさかの按分票である。

政党名の略称の届出があまりよくなかったと言えばそこまでだが、一般的に正しい書き方でも、正しく集計されるとは限らないのは怖い話だ。


時々、同姓同名の人が選挙に立候補したらどうやって対応するかという話が話題になることがある。

基本的に投票用紙にいらないことを書いたら、投票自体が無効になってしまうところだが、

例外として 職業・身分・住所・敬称の類 であれば、書いたとしても無効票にはならない。

市町村議会選挙などでは、町名などを付記して区別するのが一般的な対応方法だそう。

参議院の比例代表では、個人名の票に政党名を付記したり、政党名では政党の本部所在地、代表者の名前を付記することはできそうだ。

あんまりそういう例はきかないが、もしも名前だけで正しく集計されないかもしれないと考えるなら、政党名を付記しても問題ないようだ。

他の政党含めて同じ紛らわしい名前の人がいないかぐらいはちらっと見といた方が安心かもね。


投票用紙に書かれたリストにマークを付けて投票する記号式投票ならこういうことで悩むことはないんだけどね。

明確にこの政党 あるいは この政党のこの候補者 というのが示せるはずだから。

参議院選挙の比例代表でそれをやると投票用紙は大きくなるが、世界的には決して珍しいことではない。

投票用紙の手配などに問題はあるし、日本では自書式投票が定着しているけど、考えとしてはよいと思う。

市町村レベルの選挙では、一部活用されてるところもあるとか。不在者投票・期日前投票は投票用紙の準備が間に合わないので自書式らしいけど。

国レベルでは最高裁判官国民審査は記号式だが、これは審査対象の人があらかじめ決まっていて、人数も高々知れているのが要因かなと。


比例代表の個人名での投票が正しく認識されるためにはいろいろハードルはあるけど、

同姓同名というレアケースを除けば、厳密に正しくフルネームで書けば大丈夫なはず。

そのうち紙でも選挙公報も配布されるはずだから、競馬場に行く人のごとく、赤鉛筆で印を付けて、投票所に持って行きますかね。


Author : hidemaro
Date : 2019/07/10(Wed) 23:10
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