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Modbusってなんだよ

最近、Modbus通信でデータを取得するシステムを組んでいた。

FAの通信方式としては最も一般的なのがModbusだが「RS-485(Modbus)」のような記載もあって、

Modbusのことを知らない時は「RS-485ってModbusなの? 」など戸惑いもあった。


Modbusは、もともとModicon社のPLCの通信方式として生まれたそう。

標準規格ではないのだが、今やFA分野のデファクトスタンダードとして多目的に使われている。

Modbusはもともとシリアル通信を使ってPLCのデータの読み書きを行うプロトコルを定義したもの。

当初のModbusはASCIIベースだったが、バイナリで通信する Modbus/RTU の方が今は一般的なんだろうか。

ここで使えるシリアル通信としては RS-485, RS-422, RS-232C などいろいろあるんだけど、

もっともよく使われているのがRS-485との組み合わせだそう。

RS-485は2線式・半二重のシリアル通信方式として使われることが多く(4線式・全二重も可)、

長距離伝送に対応し、多数の機器をぶら下げることができるということで、工場で使うには適している。


さらに、Ethernetを伝送手段に使ったModbus/TCP というプロトコルもある。

Ethernetを使って情報を伝達する手段はいろいろありそうだけど、

FA分野で実績のあるModbusをそのままEthernet対応にした Modbus/TCP はよく使われているわけだ。

対応する通信方式として「RS-485(Modbus)」「Ethernet(Modbus/TCP)」というのはこの分野ではあまりに鉄板。


多目的に使われてるとは言ったものの、元はPLCの方式ということで、1bitの通信変数の名前が「コイル」「リレー」だったりする。

PLCではリレーシーケンスの名残で、出力変数をコイル、入力変数をリレーって言うことがある。

Modbus通信までコイルとリレーという言葉を使う必要はないと思うのだが、

もともとコンピュータからPLCを操作監視する方式として生まれたので、PLCの用語をそのまま使ったのだろう。

Modbus通信では、1bitの変数だけでなく、16bitあるいはその整数倍の変数を取り扱うこともできるので、数値情報の取得・設定に使える。

もはやそういうシステムではコイルとかリレーという言葉はそぐわない気もするけど。


イマイチなところは、アドレス・変数型はすべて手で設定しないといけないということ。

変数1つずつ、機器のマニュアルを見て、設定するってこと。

測定温度のアドレスは42003で、16bit整数型で温度(℃)×10が格納されているという具合に。

使う変数が多くなると大変そうだなと思ったが、テンプレートとかあるんだろうかね。


古典的な通信方式ではあるのだが、対応している機器が多いのはいいことだよね。

今回の目的は、RS-485やEthernetで何らかの通信をするというということで、必ずしもModbusである必要はなかった。

ただ、やっぱりModbusは簡単に導入できたし、システムも組みやすかった。

実際に触ったことで、いろいろな謎も解けたしよかったか。


Author : hidemaro
Date : 2019/04/17(Wed) 23:00
電気・数学・物理 | Comment | trackback (0)

それはきっと製品愛だ

僕が今の職場に配属になった時は、開発組織は技術分野別で構成されている――ということになっていた。

製品ごとに必要な技術分野の人を集めて、そして開発活動を行うという体裁だった。

これがこの4月に名実ともに解体され、製品別の開発組織に移行した。

以前はこの形式だったそうなので、元に戻っただけだが。


もっとも、うちの部については、すでに数年前に実質的に製品別の開発組織になっていた。

そもそも、当初から部のメンバーとある製品群の開発担当はほとんど一致していた。

もともと、この製品群の開発者は1つの部に集まっていて、その大半はエレキ技術者だった。

社内全体としてもエレキ技術者は人数が多く、技術分野別といっても2つの部に分けてマネージメントを行うことになった。

エレキ技術者を集めた2つの部には、それぞれ重点分野が設けられていたのだが、

実質的には一方の部にはこの製品群の開発者の大半が流れ込んだ。例外はメカ技術者とあと少し。


その後、本部レベルの組織変更の巻き添えで小変更が行われたのだが、

このときメカ技術者が転入、逆にこの製品群に関わらない技術者は転出した。

この結果として、元の製品別の開発組織とほとんど同じ形になった。

ただ、この時点では全社的には「修正された技術分野別の開発組織」という位置づけだったのだが、

この4月で全ての開発組織が製品別になり、名実共に技術分野別の開発組織は解体された。


技術分野別の開発組織が解体するにあたって、社内のポータルサイトにセンター長が感想を書いていた。

だいたいこんな内容だった。

  • 技術分野別の開発組織で技術力強化につながることを期待していて、メカ分野(主に筐体設計)などうまくいった試みもある
  • 製品群を越えた技術者のアサインがうまくいった部分もあるが、限定的だった
  • 一方で、開発現場の技術者の「製品愛」に支えられた面も多かった

技術分野別の開発組織では、製品の責任を持つ部署の役割が重要なはずだが、不甲斐ないという声もあった。

そこを支えていたのは開発現場の技術者の「製品愛」だったことを認めざるを得ないということらしい。


製品別の開発組織にするのは、製品のライフサイクル全般に、開発現場が積極関与して欲しいという意図と受けとった。

うちの職場は実質的に製品別の開発組織になっていたので、あまり大きな組織変更はなかった。

ただ、部長のメッセージで「言われたものを作るだけでは下請けに過ぎない」「ビジネスがわかる技術者になって欲しい」と言っていた。

技術分野別の組織のときは、製品責任部署からの下請けという側面もあった。

それを否定して、この製品群の関わるビジネスをよく理解して、現場から提案して欲しいというのは変化だよね。

従来から現場の技術者はやってたことなんですけどね。それこそ「製品愛」だ。


ここまで書いてきたことから読み取れるとおり、僕の配属されたとき、今の職場はエレキ技術者の部署だった。

確かに僕はエレキ技術者なのだが、一方で組み込み分野のソフト技術者としての活躍が期待されての配属だった。

実は技術分野別といいながら、この部署に限っては、エレキ技術者の中にソフト技術者を混ぜていたのだ。

なぜそうなっていたのかというと、従来の製品別組織のときからそうだったからというしかない。

以後、マイコンのソフトウェア開発を主にして、論理回路設計、エレキ評価も担当していた。

得意分野が生かせる範囲で、その時々に必要とされている業務を割りあてられた結果なのだが、

こういうことができたのは、本来の意味で技術分野別の開発組織ではなかった証拠である。


これは僕にとってよい面もあったが、この4月はこの体制の欠点が現れた時でもあった。

というのも、配属時から一緒に仕事をしていたチームリーダーが、部内の他の課に異動になったからだ。

この結果、課内でソフト技術者は自分1人になってしまった。

プロジェクトによって、課を越えてのアサインは普通に行われているので、他の課のソフト技術者と一緒に仕事をするときは問題ない。

ただ、自分1人でマイコンのソフトを担当するケースもすでに発生していて、

その場合は、チームリーダーにレビューに参加してもらうなどしてアドバイスを得ていたが、今後は課内に適任者がいないことになる。

元チームリーダーも引き続き部内にいるので、必要時は引きずり戻して頼ろうと思っているが、

ソフト技術者の層の薄さが顕在化してしまった瞬間でもある。


製品別の開発組織になってサイロ化が加速しないかなとかいう懸念はあるんだけど、

製品内に横たわる組織の壁の方がはるかに問題という判断があったんだと思う。

とはいえ、技術分野別の組織でも、製品群を越えて技術力強化できていたのは限定的だった。

そんな中で比較的うまくいっていたメカ分野の連携は、今後も続くようだ。

うちの部はエレキ技術者を主とした組織だから、部内でソフト技術者は取り残されがちだが、

一方でソフトウェア開発部署の取り組みに相乗りさせてもらうことは、以前からやっているし、今も続いている。

方法はいろいろってことだね。それぞれ難点はありますが。


Author : hidemaro
Date : 2019/04/11(Thu) 22:44
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ソケット2つは地獄

フルICEでのデバッグのためにソケットを付けた基板の話を先日書いた。

フルICEとはなんだったのか

そこからいろいろ進展してきて、2つのマイコンが搭載された基板を取り出してきて格闘していた。


2つマイコンがあれば、その両方がソケットになっているのだが、これが大変である。

実はソケットにICやICEを取り付けるのに、別の基板を介するのだが、これがソケットのサイズよりずいぶん大きい。

そのため、両方のソケットの上にICを取り付けるとぶつかってしまうのだ。

そこで、フラットケーブルを使って、一方のソケットを別のところに引き出す必要があると。

さらにフルICEを使う場合は、その引き出した先からフラットケーブルで接続することになる。

今回はフルICEの出番はないんだが、それでもソケットを引き出すフラットケーブルは必要だ。

そんな風に組み上がった基板を見てみると地獄のようだった。


大変なところはいろいろあるけど、やっぱり問題はソケットのピン数の多さだよね。

このマイコン、200ピンほどあるもので、ソケットのピン数も当然それだけある。

ピンを折らないように注意深く均等に差し込むのはかなり大変だし、

そのピン全てを引き出すフラットケーブルは太くて取り回しが悪い。

注意深くやっていてもピンを折ってしまうことがあって、そのときは職場の人に修理してもらっている。

ピンの交換ができるのは救いではあるけど、それでも大変だ。


あと、過去のデバッグの要領が書かれた資料を見ると、こことこことをショートしろとかいろいろ書かれている。

どうも、ケーブルを延長したりいろいろすると電気的特性が変わってしまうところがあるらしく、そこを補完するために対策が必要らしい。

この対策がめんどくさくて、丸一日かけてでも再現ができなかった。

さっぱり動かないわけではないから、だいたい正しいんだろうが、まだいろいろ調整がいるらしい。


ちょっと難易度が高いのを持ってきてしまったなと後悔した。

マイコン2つでも、もう少し簡単なのを先にやった方がよかっね。

ただ、ゆくゆくはこれも調査しないといけないのは確かなので、先延ばしにしかならないんだけどね。

まぁ大急ぎでやらないといけないわけではないのが救いですが。


Author : hidemaro
Date : 2019/03/04(Mon) 23:08
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けっこうLR44は無理してる

僕はコンサートのときに使うペンライトとして KING BLADE iLite を主に使っている。

単色のペンライトで、ボタン電池 LR44 3個で動作する。

多色切替式のが主流なのかなとは思うが、軽くて安い(700円程度で買える)ので、複数色同時に使いたいときには便利だ。

色によっては発色がきれいなので好んで使っている面もある。水色とか紫色とか。

カスタム品も多く作られているようだ。僕が使ってるのは標準品だが。


軽いのはいいんだけど、電池が問題という話もある。

たくさんのLR44が灯す

LR44はボタン電池の中では入手性がよい方だが、一般の電器店で大量に買うのは不都合だ。

僕は秋葉原に出かけた時に秋月電子で10個100円で買ってるけど。

電池交換のタイミングもちょっと難しくて、マルチメーターで電圧を測って交換の目安にしているが、定量的な目安を持っているわけではない。


それで電池交換をしながら、マルチメーターで測っていて気づいたんだけど、

電源OFF時とON時で電池の電圧がかなり変動するんだよね。

電池はだいたい一定電圧だが、負荷電流が大きくなると電圧が下がる。

それを等価回路では、定電圧源と内部抵抗を直列にしたもので表す。


LR44の内部抵抗っていくらぐらいなんだろ? と思って測定してみた。

水色のペンライトで、電池交換前後にOFF時とON時の電池の電圧、そしてON時に流れる負荷電流を測定した。

電池交換前後ともに負荷電流は30mA、ということは、なんらかの定電流回路が入っているのだろう。

電池交換前はOFF時の電圧が1.25V、ON時の電圧が1.00Vだった。ということは内部抵抗は約8Ωとなる。

電池交換後はOFF時の電圧が1.52V、ON時の電圧が1.31Vだった。ということは内部抵抗は約7Ωとなる。

ボタン電池の内部抵抗ってそんなに高いのか。

LR44はアルカリ乾電池だが、円筒形の単3形であれば内部抵抗は100mΩ前後、単4型であれば150mΩ前後のようだ。(cf. 電池活用技術研究会)

LR44はこれより50倍ぐらい高い。小さい分だけ大きなハンデを背負っているわけである。


負荷電流が小さければ、負荷抵抗が大きいということはあまり問題にはならない。

ただ、LEDを点灯させるための30mAという電流はLR44にとってはずいぶん大きな電流だ。

LR44の内部抵抗を8Ωとおくと1mAでの電圧降下は0.008V、30mAでの電圧降下は0.24Vとなる。

1mAならほぼ電圧降下は無視できるが、30mAも流すと公称電圧1.5Vに対して16%も電圧をロスするわけだ。

電池の開放電圧と電池の充電率は概ね対応しているが、同じ充電率でも流す電流が違えば得られる電圧は異なる。

ペンライトの場合、少なくともLEDの順方向電圧降下よりも高い電圧が得られなければ動作し得ない。


LR44の充電率と電圧の関係として参考になりそうな資料があった。

ボタン電池LR44の放電特性の比較 (へんてこ.co.jp)

LR44に1kΩの抵抗をつけて放電したときの電圧と放電量の時間経過を調べたそうだ。

負荷抵抗1kΩということは電流は1mA程度だから、電圧降下は無視して良いだろう。

ちなみに僕が買っている電池はGolden Powerだから、ここで書かれているGPのラインそのものの特性なのだろう。

最後まで放電すると120mAh強の容量があるが、ここまで使える機器ばかりとは限らない。

1.1Vまで使えれば120mAh、1.2Vまで使えれば110mAh、1.3Vまで使えれば70mAhといった具合。

LR44という電池は、開放電圧で1.1Vまで使えればほぼ全容量使い切れ、1.2Vまで使えば9割、1.3Vまでだと6割も使えないということらしい。


ただし、この電圧はほぼ開放電圧の数字だから、30mAも流すのならば内部抵抗での電圧降下を考慮しなければならない。

ペンライトの動作に必要な最低限電圧は色によって違うだろうが、仮に3.0V必要とすると、

電池3本で3.0Vで、電圧降下が電池1個あたり0.24Vとすると、開放電圧で1.25Vまで使えるということになる。

さっきのグラフで1.25Vまでの放電容量は90mAh程度かな。30mA×3時間の容量があるということ。

電池の容量を75%程度使い切ったところでおしまいとなる。

実際にはこれ以上に電圧が下がってくると、LEDに流れる電流が減って、暗くなりながら動き続けるんですけどね。


電池の残量を有効活用するためには、電池に流す電流を減らすか、動作に必要な電圧を下げるかどちらかすればよい。

電池を流す電流を減らすという点では、一番わかりやすいのは電池を並列つなぎにするということ。

3個×2で並列つなぎして電池1個の負荷電流を15mAにすると、電圧降下が0.12V、これだと開放電圧で1.12Vまで使える。

これだと120mAh程度まで使えて、120mAh/15mA=8時間持つという計算になり、電池3個と比較すると2.7倍の時間使える。

でも、電池を並列つなぎにするのって難しいんだよね。電池の個体差でループ電流が流れて、電池が無駄に消費されたりするようだし。


動作に必要な電圧を下げるには、電池3個から電池4個の直列つなぎに変えるという方法がある。他社ではそういうのもあるようだ。

こうすると、電池1個あたりの必要電圧が減るので、電池1個あたり0.75Vあればよく、開放電圧で1.0Vまで使える計算になる。

さっき開放電圧で1.1Vまで使えれば電池はほぼ使い切れ、120mAhの容量があるというから、4時間持つ。

電池3個で3時間と、電池4個で4時間、意外と互角なんだよね。

電池の残量が多いときは明らかにエネルギーの無駄遣いしてるのに。(定電流回路での電圧降下が大きくなるから)

赤色のように順方向電圧降下が小さい色では電池の数を増やすメリットは小さそうだが、

青色のペンライトのようにLEDの順方向電圧降下が大きい場合は高い効果がある。

仮に3.3V必要とすると、電池3個だと開放電圧で1.35Vなので40mAhまでで1.3時間、電池4個だと開放電圧で1.07Vまでなので120mAh使い切って4時間。

なんと電池1個増やすだけで3倍も長持ちするという計算になる。(実際は暗くなりながら動き続けていることに気づかず3~4時間は使っているが)


こうやって見てみると、色にもよるが、LR44 3個でペンライトを灯すのはけっこうきついね。

内部抵抗を考慮すると30mAという負荷電流は大きすぎる。

30mAという電流は、長時間発光のケミカルライトの置き換えを考慮したものだと思うが、

長時間発光のケミカルライトってスペック上は4~10時間持つとなっているが、実際は折ってから2時間もするとずいぶん暗くなっている。

それを考慮すると、電源をON/OFFできて、3時間程度は性能を維持できるのは上出来とは思いますけどね。

なお、単4電池3本で動くタイプだと数百mAの負荷電流になるものが主流のようだが、内部抵抗が小さいから余裕なんだよね。

ものによるが短時間発光の明るいケミカルライトの置き換えを想定していたりもするらしい。(それでもケミカルライトの瞬間的な明るさにはかなわないらしいが)


以上のことを見て思ったのは、電池の開放電圧で1.3Vというのが1つの交換の目安なのかなと。

色にもよるが、ここから約1時間で本来の明るさが保てなくなるだろうと。

2時間ぐらいほぼずっと点灯させる色とかだと、これでは間に合わないかも知れないけど、そういう場合はさらに早く交換するという判断がいる。

でも、このペンライトは電池が減っても、暗くなってなんとなく光るので、そこまで厳密に考えなくてもいいかもしれない。

そういうところも単色をメインにした理由でもある。多色切替式はシビアなものもあるので。


Author : hidemaro
Date : 2019/02/18(Mon) 23:45
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どこに左旋の信号入れるのよ

今日から仕事が再開。小中学校の冬休み明けだってこんなもんだよね。

曜日の並びの都合だけど、ここまで休めるのは珍しい。

普段は年始1日目は半分ぐらい不在になるものだけど、今年は8割ぐらいはいた。

年始から職場ではちょっとしたトラブルが起きてたけど、それはまた明日にでも。


昨日、4K・8K放送の話を書いたが、そういえばフレッツテレビのBS・CS左旋対応はどうなってるんだろう。

帯域を使えば画質がいいってもんでもないが

そもそも、他のCATV局と違い、フレッツテレビは映像信号をFM変調して光伝送している。(cf. どうやって光に載せてるの?)

その都合、単純にBS・CS左旋の信号を光に重畳して送るということはやりにくいと聞いている。

他の光伝送方式を使っているCATV局ではAM変調なので、すぐに対応可能なところもあったようである。

そうはいっても、他の設備の準備もあるし、なかなかすぐにとはいかないんだろうけど。


光回線で楽しむ!新4K8K衛星放送|フレッツ・テレビ (NTT東日本)

どうも現状の周波数帯の中にBS・CS左旋の信号を入れこんで、専用アダプターで周波数を変えるという方法で、今年夏以降対応となるよう。

苦し紛れの策か? と思ったが、周波数帯を広げるとなると宅内配線に見直しが必要な場合が考えられる。

ところが専用アダプターを使う方法であれば、現状の設備には全く手を入れる必要はない。

ただし、専用アダプターのレンタル費がかかるので、果たしてこれがいくらかというところに懸念がある。


でも、そんなことできるの?

というのも、現状のフレッツテレビは最大で2071MHzまでの信号を送っているが、

BS・CS左旋の信号は同軸ケーブルでは2224MHz~3224MHzの周波数帯になる。1GHzの帯域を使う。

周波数に多少の空きはあるだろうが、全部で2GHz幅の中に1GHz幅の信号を入れこむことができるのか。

というか、そもそもフレッツテレビの信号にはスカパー!プレミアムサービスの HD映像165ch+音声100chの信号が重畳されている。

にもかかわらず、そんな余裕があるのだろうか?


まず、現状のスカパー!プレミアムサービスの信号がどこに載っているかというと、

108~170MHz、222~470MHzの範囲にあたるらしい。ここはもともとケーブルテレビ用のチャンネルとして確保されている。

108~170MHzはV-Low帯とV-High帯のすき間、222~470MHzはテレビのVHF帯とUHF帯のすき間にあたる。

現在はVHF帯のテレビは廃止になったから、テレビは470~710MHzだけを使っている。108MHz以下はラジオの再送信に現在も使っている。

108~170MHzには6MHz×10ch、222~470MHzには6MHz×41chということで、地上波51ch分の帯域がある。

CATVでは電波に比べると高効率な伝送方式が使える。なので6MHz幅で38Mbpsぐらいの伝送ができるらしい。(地上デジタル放送では同16.8Mbps)

ゆえに51ch×38Mbps=1.94Gbpsとなる。そんなにあるんだね。

スカパー!プレミアムサービスの1chあたりのビットレートだが、概ね10Mbps以下とのこと。(2Kのエンコード方式はH.264)

ということは、この範囲で200ch以上取れるということで、スカパー!プレミアムサービスは十分収まってしまうらしい。


一方、BS・CS左旋は衛星からの電波と同じ変調方式で伝送する必要がある。

専用アダプターで周波数変換を行うだけで、パラボラからの信号と同じように受信機に入力できる必要があるから。

BS・CS左旋の情報を入れ込めるのは、地上デジタルのUHF帯とBS右旋の帯域の間となる。

ということは710MHz~1032MHzの322MHz幅に限られるのかと思ったが、もうちょっと広いらしい。

というのも、UHF帯の上の方はCATVでは未使用だからだ。

フレッツテレビでは高くて35chまで、すなわち608MHzより上は未使用だそう。

ということは608MHz~1032MHzの424MHz幅を使うことができそう。


で、これはBS・CSの何チャンネル分に相当するんだって話だよな。

単純にBS・CS左旋の全帯域を入れようとすると冒頭に書いたとおり1GHz幅もいるが、その半分もないですから。

一方で全チャンネルを敷き詰める計画があるのかというとそうでもない。

当面では左旋で使うのはBSで3チャンネル、CSで5チャンネルとなっている。

そこで424MHz幅に何チャンネル入るかというのは重要な観点だと思うが、BS・CSの1チャンネルは34.5MHz幅だそう。

すると12チャンネル収まるようだ。当初8チャンネルを収めるだけなら足りそうだが、そんなに余裕があるわけでもない。

将来的に使用チャンネル数が増えたときにどうなることやら。


それにしてもCATVって電波に比べればはるかに狭帯域でたくさん伝送できるのね。

同軸で引き込むタイプだと、インターネット用の帯域を残す必要があるが、

光伝送ならインターネットは別に確保されているからね。(インターネットと別の波長の光を使っている)

実際のところ、UHF帯の空き部分(600~770MHz)というのは、同軸のCATVならば、インターネット下りが入り込むところなので、

608MHz~1032MHzをBS・CS左旋用に使えるというのは、フレッツテレビならではの発想かもしれない。

素直に考えれば光伝送ならパラボラと同じ2224MHz~3224MHzの範囲に持ってくればいいんだけど、

そこはNTTの事情ということで。(宅内配線に手を入れずに済むメリットもあるわけだし)


以前から、なんでCATVはBS・CS放送を含めても770MHz以下に収めて伝送できるのか不思議に思っていた。

でもよく考えれば、電波で送るのに必要な帯域よりケーブルで送るのに必要な帯域の方が狭いのは当たり前だよね。

BSの1チャンネル(34.5MHz幅で典型的に52Mbps)を、ケーブルでは6MHz幅の1.4チャンネル程度で伝送できるっていうんだから。

その代わり、専用のSTBがないと満足に見れませんけどね。

フレッツテレビは光なら専用のSTBなんて考えなくてよくしたんだとも言えるし、

その代わり、スカパー!プレミアムサービスの信号を高密度に送る手段としても使っているわけで、見方によるという話かね。


Author : hidemaro
Date : 2019/01/07(Mon) 23:23
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帯域を使えば画質がいいってもんでもないが

TOKYO MXがマルチチャンネル編成を行っている影響で画質が悪いという話をちらっと書いた。

24時間ジャックってできるものなの?

何気なく見ててもなんとなく気になっちゃうのは確か。

それでインターネットを調べてみると、同じ番組を放送することが比較的多いBS11との比較が見つかるが、確かにMXの画質は明らかに悪い。


最近、BSデジタル放送ではチャンネル再編が行われた。

目的は4K放送のためのチャンネルを確保するため。その結果、昨年12月に4K実用放送がスタートした。

BSの4K放送は従来からのアンテナ(右旋)で受信できるのは、チャンネル再編のおかげである。

チャンネル再編ではスロット数の多いチャンネルのスロット数を削減した上で、物理チャンネルの変更が行われた。

スロットとは1物理チャンネルを48分割したものである。

といっても、論理チャンネルは変わらないし、視聴者にとっての見た目はあまり変わっていない。一部のテレビで再スキャンが必要だった程度。

ただ、スロット数が削減されたということは、多少なりとも画質への影響があったということである。


現在のBSデジタル放送(2K)で、1チャンネルあたりのスロット数が最も多いのがWOWOWの24スロット(3チャンネルとも)である。

再編前は民放の無料放送でも24スロットもっていた放送局が多かったが、ここは軒並み16スロットに減らされた。

次に多いのがNHK BS1で20スロット、再編前は23スロットだった。

マルチチャンネル編成を行うことが比較的多いことや降雨対応放送(降雨時も低画質の放送が受信できる仕組み)をやっているのも考慮してか他局より多め。

そして、その次に来るのがNHK BSプレミアムとBS11の18スロットとなっている。

BSプレミアムは再編で21.5スロットから減らされた結果とのこと。BS11は開局時から18スロットだった。

この2局は1920×1080のフルハイビジョン放送を行っている。今はWOWOWとこの2チャンネルだけらしい。

かつては他にも多くあったようだが、再編を機に地上デジタル放送と同じ1440×1080にしている。

その他、大半の放送局は16スロット。ただし、これより少ない放送局もあってHD放送で一番狭いところは13スロットでしょうかね。


以上のことから、地上波で唯一終日マルチチャンネル編成を行うTOKYO MXは最低画質のハイビジョン放送で、

BSで18スロット占有して、フルハイビジョン放送を行うBS11は無料放送では最高画質のハイビジョン放送である可能性が高い。

地上波の1チャンネルのビットレートは16.8Mbps、BSの1チャンネル(48スロット)のビットレートが52Mbpsだそう。(いずれも典型的な変調条件で)

BSの16スロットと地上波1チャンネルはほぼ同程度ってことだね。再編で多くの放送局16スロットになったのはこういう背景もありそう。

MXが両チャンネルにどのように帯域を割り振っているかは不明だが、2:1で分けているとすると、BS11はMXの1.74倍ほどの帯域を使える計算になる。

そりゃまぁこの2つの放送局で比べると、差は大きいよね。


もっとも、MXの終日マルチチャンネル化も、BS再編も背景にはエンコーダの改良というのがある。

エンコーダの改良により低いビットレートでもあまり画質を落とさずに流せるようになってきた。

特にBSデジタル初期からある放送局は、帯域を使う割には画質があまりよくないところもあったらしい。

さすがにMXぐらいまで削ると批判は多いけど、先のBS再編程度であれば気にするひとはそんなにいないのが実情だろう。

どれもHD放送として成立しているというのは面白いところだけど、どこで折り合いを付けるかは放送局次第ってことですね。


ところで、地上デジタル放送・BSデジタル放送(2K)の映像のエンコード方式はMPEG-2 Videoが使われている。

これはDVDのエンコーディング方式として実績がある方法である。

その昔、Blu-rayとHD DVDの争いがあって、あっさりBlu-rayが勝っちゃったわけだけど、その背景の1つにMPEG-2があったはず。

HD DVDはBlu-rayより容量が少ないが、製造コストが安く出来るという話だった。(まもなくBlu-rayの製造コストが並んでしまったのだが)

容量が少ない分、高圧縮なエンコード方式を使えばよくMPEG-4 AVCを使えば、映画の収録には不便しないと言っていた。

ところが2005年頃のハリウッドではどうしてもMPEG-2じゃないとダメだということで、MPEG-2でも満足に記録できるBlu-rayが選ばれたのだ。

というのも当時のMPEG-4 AVCというのはモバイル向けの高圧縮エンコードで、HD映像に使うものではないと考えていたかららしい。

ところが今となってみればBlu-rayもほとんどはMPEG-4 AVCを使っている。これはHD映像に適したプロファイルができたからだという。

AVCは圧縮率を高くしても画質を保ちやすいので、それを生かして長時間1枚に収録するような作品も出てきているようだ。


それで、日本の地上デジタル放送の方式 ISDB-T はブラジルをはじめとする各国のデジタル放送の方式に選ばれたわけだけど、

日本のISDB-Tと全く同じではなく、映像のエンコード方式がMPEG-4 AVCに変更されている。他にも差はあると思うが。

導入時期の多少の差とも言えるが、その間にこう変わっちゃったんだよね。

もし日本のデジタル放送でもMPEG-4 AVCが採用されていたら、今よりもよい画質でHD放送が楽しめていたかも知れない。

特にマルチチャンネル編成時の改善効果は大きいんじゃないだろうか。


この点においては4K・8K放送で使われているISDB-S3は改良されている。

まず、変調方式を変更し、周波数使用効率を向上させた結果、同じBS 1チャンネルの帯域幅が100Mbpsにできるよう。

その上で映像のエンコード方式はH.265/HEVCを採用している。これはMPEG-4 AVCよりも高圧縮な方式だそう。

この結果、BS 1チャンネルに4Kであれば3チャンネル、8Kであれば1チャンネル入ることになっている。

2K放送の多くが16スロット、すなわちBS 1チャンネルに3チャンネル入ると考えると、2K放送と4K放送で同じなんですね。

将来的にはISDB-S3への移行が進むのかも知れない。

4K・8K放送への移行がさらに進むかもしれないし、2K放送のまま帯域を減らせれBSのチャンネル数を増やせるかもしれない。

ただ、H.265/HEVCのエンコード・デコードの負荷は相当重いようで、家庭のテレビに広く普及するまでにはまだ時間がかかりそう。

BSならまだしも、地上波はどうだろう? そこは懐疑的だけど、電波の効率を言えば現方式は古いなとは思う。


Author : hidemaro
Date : 2019/01/06(Sun) 14:07
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まだ工場との間に少しギャップはあった

以前、工場に基板実装後のROM書き換えを依頼された話を書いた。

遅くてもROM書き換えできるだけマシ

ツールを改良した上で、指示書を発行し、専用の補助器具を作って送った。

そしたら、昨日に職場の生産技術の人に「工場から実施したけど、エラーが出たっていう連絡が来た」と知らせを受けた。

果たして何がダメだったのだろうか。


工場の人が送ってきてくれた写真から、エラー要因を検討してみたが、

送った補助器具の設定を変更してしまったか、Windowsのバージョンが違うか、どちらかが原因だろうと。

同じバージョンのWindowsで試してみたら、発生したエラーと違うエラーで失敗した。

どうも潜在的にあったバグが顕在化してしまったらしい。要修正だな。

とはいえ、おそらく、直接の原因は補助器具の設定を変更してしまったせいだろうから、

バグ修正のついでに、補助器具を再設定する処理を追加したツールを作り直して、工場の人にE-mailで送った。


その数時間後、工場からE-mailが来て、やっぱりエラーが出たと写真が送られてきた。

ちょっと奇妙な失敗の仕方だが、他の人に聞くと、他のツールと干渉しているのかもと。

それで「他のツールと干渉しているかもしれないから、ツールをシャットダウンしてやり直してね」とE-mailを送ろうとした。

そしたら、また工場からE-mailが来て「送ってくれた補助器具の代わりに製品を使ったら、1枚だけ書き換えできた」という連絡が来た。

なんで送った補助器具の代わりに製品を使おうという発想が出てきたのだろうかと思ったが、原理上それは正しい。

「それが成功したと言うことは、送った補助器具でうまくいくはずだからやり直してね」と返事を送ると、

しばらくして「ちゃんとできたよ」とのことで、よかったよかった。


その昔、同様のROM書き換えに失敗した反省を生かして、ツールの改良や指示書の記載にも注意したところだが、それでも想定外はあるもので、

  • 送った補助器具の設定情報を書き換えてしまう (工場で使っているツールを使って?)
  • 他のツールと干渉して、処理に失敗する
  • 補助器具の代わりに製品を使ってROM書き換えをしようと試みてしまう

当初から設定情報を変更されてしまう可能性はあるかもと思っていたが、大丈夫でしょと高をくくっていたら、この有様である。

容易に書き換えできないように対策しとけばよかったのだけど、それも後の祭りである。

職場の生産技術の人が「あれは”Special”な器具だと、あれほど言っていたのに」とあきれていたが。

他のツールとの干渉も想定外だったが、これは指示書に「最初に他のツールを切ってね」と書いておけば救えたな。

補助器具の代わりに製品を使って書き換えを試みるのは、予想外っていうかなんというか。

再起不能にならなかったのは幸いだが、指示書に書いてもいないことを試みるのはちょっとなぁと。


でも、この程度でなんとかなったのは過去の大失敗があったからだよね。

ROM書き換えに失敗した後、原因究明を行った結果、2つの要因があることがわかった。

1つ目がツールの操作手順が複雑で、操作ミスが発生しやすかった。誤操作すると再帰不能になることがある。

そこで操作ミスが発生しないように全自動のツールを作成した。書換時間の短縮、ベリファイの信頼性向上という改善もできた。

もう1つの問題が、何も書かれていないROMに書き込めるという工場の誤解があったこと。

うちの部署の人はなんでそんな勘違いしたんだと思ってしまうけど、実は他の製品ではこういう製造方法もあるらしい。

指示書に明確に記載することで、このような誤解が生まれないようにしたつもり。

それでもなお、工場との間にはギャップがあったわけだけど。


なかなか遠隔でやってもらうのは難しいもんだよね。

おそらくこの人もそれなりに製造している製品の知識はあるんだと思うけど、

工場で生産する人の認識と、製品を開発している人の認識にはどうしても差がある。

工場で使っているツールで設定を書き換えてしまうというのは、そんな一例だろう。


今回の一件で、はじめて工場の人と直接やりとりしたけど、

お互いが共通で使えるのは英語にならざるを得ないので、それなりに書いて送っていた。

相手もきっと英語が母語ではないのが救いですかね。お互い難しいことは書かない。

無事に問題も解決してよかったと思ってたら、唐突に工場から内線電話がかかってきた。でも日本語だった。

どうも日本から行っている生産技術の人らしい。「あれでROM書き換え大丈夫なの?」「成功してるってことは大丈夫ですよ」という程度の会話だったが。

そういうこともあるんですね。


Author : hidemaro
Date : 2018/12/20(Thu) 22:07
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古いマイコンでは工夫していた

僕がこれまで仕事で使ってきたマイコンは全て同じシリーズなのだが、

古いシリーズでは全く違うマイコンを使っている。メーカーも違う。

古いシリーズでも一部は最新シリーズと同じタイプのマイコンに乗り換えている。

事情はいろいろあるけど、僕が一番問題だと思っているのは開発環境が腐っていること。もはやプログラムに手が付けられる環境ではない。

あと、使っているマイコンのチップが供給停止になるという話もあって、今のまま生産継続することすら難しい。

一部製品で最新シリーズと同じタイプのマイコンの乗り換えた背景にはそういう事情もある。


そんなこんなで、既存のマイコンでペリフェラルのどんな機能を使っているか調査をしていた。

今まで見てる限りで一番難解だったのが、外付けADコンバータとの通信だ。

精度良くAD変換する必要があって、外付けのADコンバータを使っている。

AD変換結果はクロック同期のシリアル通信(SPI)で読み出す。

パッと見て、なんでこんなに複雑な操作をしているのかよくわからなかったのだが、

このマイコンのシリアル通信ペリフェラルの機能上の制約で、複雑な操作が強いられているようだ。


まず、おかしいのがSPIのクロック端子がGPIO設定になっていること。

SPI通信を開始する前にGPIOで動かしてから、クロック出力に切り替えているらしい。

そして、受信データをメモリに転送するのにDMA(Direct Memory Access)を使っているのだが、

このDMAってたった2バイトを転送するためだけに使っているようだ。

しかも、なぜか送信先アドレスをデクリメントするという設定になっている。


回路図とにらめっこしたり、実機を触ってみたりした結果、わかったのはいろいろな制約上こうならざるを得なかったということだ。

このADコンバータのSPI通信の仕様が、ことごとくこのマイコンに合っていない。

マイコンとADコンバータでSPIクロックの仕様が合わないようで、それを埋めるためになんか工夫をしていたようだ。

16bitなので2バイト分のデータが得られるのだが、このペリフェラルには受信FIFOが付いていない。

そのため、たった2バイトのデータを転送するだけでもDMAを使うのが合理的だったらしい。

送信先アドレスをデクリメントするのは、このマイコンがビックエンディアンだから。

LSBから順番に受信するので、LSBを含むバイトが一番最後で、そこから順番に前に格納していくのだ。


なるほどと思ったのだが、受信したデータを見てみると、なんかおかしい。

ADコンバータのデータシートを見て気付いたのだが、ADコンバータはMSBから順番に送信する仕様になっていた。

シリアル通信はLSBから順番に送るのが一般的で、このマイコンは受信したデータをLSBから順番に格納する。

さらに詳しくソースコードを見てみると、受信したデータのMSBとLSBの順番を入れ替える処理が入っていた。

すなわち、次のような手順でAD変換値を取得している。

  1. ADコンバータは bit15,14,…,8,7,…,1,0 の順にデータを送る
  2. ペリフェラルは受信したデータを{bit8,9…,15},{bit0,1,…,7}の順にバッファに格納する
  3. DMAによりメモリ上に {bit0,1,…,7},{bit8,9…,15} の順に格納される
  4. プロセッサーはメモリ上に格納されたデータを {bit0,1…,15} として解釈する
  5. MSBとLSBの順番を入れ替えて {bit15,14,…,0} が得られる


これ、最新シリーズで使っているマイコンだと、ほとんど何も考えなくても使えるはず。

クロックだが、LoアクティブとHiアクティブ、立ち上がり・立ち下がり同期を自由に選べる。

MSBファーストとLSBファーストも自由に選べるし、FIFOもあるから2バイト程度ならばDMAもいらない。

リトルエンディアンのプロセッサーなので、バイト順だけは考慮が必要だが。


これに加えてADコンバータ周りの回路構成が難解で、

設計資料もすぐに見あたらず、回路図をよく解読する必要があった。

最終的には得られたAD値が設計値と一致することが確認出来たのでよかったのだが、なかなか苦労した。

こうして、このマイコンでの正しい通信手順が確認出来たので、今後の移植に役立てばいいな。

いろいろと暗雲が立ちこめるプロジェクトではあるんだけど、どうやって生産継続するかというのは悩み所ではある。

旧シリーズだからといって投げ捨てるのはいろいろと難しい事情があるんですよね。

どこら辺が落としどころか。いくつかの選択肢の中から検討するってことでしょうね。


Author : hidemaro
Date : 2018/12/18(Tue) 23:06
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電気エネルギーが先に決まるということ

プランク定数でキログラムを定義すると言うことはどういうことかをたびたび書いている。

新しいSIの定義は直感的? 直感的ではない? , プランク定数ってそうだったの?

そもそもプランク定数は光の振動数と光量子のエネルギーを結びつける定数で、直接、質量を定義するものではない。

NHKは「簡単に言うと、1キログラムを原子何個分の重さで表すということです」というけど、

これは、精度良く測定されている他の物理定数を使うと、プランク定数と原子1つの質量を結べることを意味している。

日本の産業技術総合研究所は、アボガドロ定数を精度良く測定することで、プランク定数を求め、

これがプランク定数によるキログラム定義に大きな役目を果たしたのだ。と書いた。


プランク定数を求めるもう1つのアプローチとして、ワットバランス法がある。

こちらもプランク定数によるキログラム定義に大きな役目を果たしたアプローチである。

ワットバランス法というのは、電磁力と分銅をつり合わせる天秤だそう。

この手の装置は従来の定義で電流を定めるために使われていた装置に似ている。

というのも、従来のアンペアの定義は電流の流れる導線の間に働く電磁力の大きさを使って定義されていた。

ワットバランス法のポイントは、ここに流す電流をプランク定数を使って決められることらしい。


ここで使われるのが、ジョセフソン効果を使用した標準電圧と、量子ホール効果を使った標準電気抵抗だそう。

あれ? なんか聞いたことあるなと思って調べると、この2つは現在の電気標準を決める上で重要な役目を果たしているものらしい。

ジョセフソン効果を決めるジョセフソン定数は 2e/hで、量子ホール効果を決めるフォン・クリッツィング定数は h/e2 とのこと。(e:電気素量. h:プランク定数)

ここで気づいたが、新しいSIの定義ではプランク定数と電気素量がそれぞれ定義値になる。

ということは、電気標準に使われる2つの重要な定数が定義値になるということである。

でも、実はすでにこの2つの定数は実務上は定義値らしい。

そこで、1988年に国際度量衡委員会(CIPM)は電圧標準供給における実用上の協定値として、KJ-90=483597.9GHz/V という値を、1990年1月1日より世界中で統一して用いることを勧告しました。この値不確かさをもたない定義値として、量子ホール抵抗標準におけるフォンクチッツィング定数の協定値RK-90 とともに、電気標準体系において今日まで用いられています。

(Calibration (産業技術総合研究所 物理計測標準研究部 量子電気標準グループ))

すなわち、今はアンペアの定義を天秤で決めるということはやらないんですね。この定数を使って標準電圧・標準抵抗を作ればOKと。

今後は名実ともに定義値になる。厳密に KJ=483597.8484[GHz/V]ですね。


すなわち、ワットバランス法でキログラムを決める場合は、まず最初に電圧の単位Vと抵抗の単位Ωが先に決める。

これにより電流と電圧を精密に測定できるようになる。

ワットバランス法で質量を決める方法は次の通りである。

  1. ある磁場Bの中で、長さLの導線に電流Iを流したときの電磁力が質量mの分銅とつりあうと BLI=mg (g:重力加速度) の式が成り立つ
  2. 同じ磁場Bの中で、長さLの導線を速度vで動かしたときの起電力Uを測定すると、 U=BLv の式が成り立つ
  3. 1, 2の式から UI=mgv の関係が成り立つ

重力加速度g、導線を動かす速度vは精密に測定できる。

あとは 導線に流した電流 I と導線を動かしたときに発生した起電力 U を精密に測定すればよいわけだ。


僕が最初にプランク定数でキログラムを決めると聞いたとき「まずエネルギーの単位 Jが決まり、それからkgが導かれる」と書いたけど、

ワットバランス法で質量を決める場合は、まさにそうなってるよね。

電流Iと起電力Uのかけ算って電力(時間あたりの電気エネルギー)ですからね。エネルギーを決めて質量を決めるということだから。

どちらかというと、こちらの方が質量標準のメインになりそうではある。


それにしても電気関係の単位はすでに電磁力の測定ではなく、物理定数と量子デバイスで標準器を作ってやってたとはね。

アンペアの定義が変わることについて、影響はほとんどないと言っていたけど、そりゃそうだ。

実質的には28年前の1990年から先取りしてやっていたわけだから。

取り残されていたのはキログラムばかりという感じもするが、分銅を上回るのは意外と難しかったということなんだろう。


Author : hidemaro
Date : 2018/11/23(Fri) 00:11
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解体しきれないプリント板

最近、職場の大掃除をして、古い製品や試作品などの不要品が大量に発生した。

社内のリサイクルセンター(ようはゴミ置き場)に持って行くためには、これを分別しなければならない。

解体して、プラスチック、金属、プリント板を分別している。

実はリサイクルセンターに有償で依頼すると解体をやってくれるらしいんだけど、

一方で大半が自分たちがよく知っている製品なわけで、分解もそう難しくない。


そんなわけで解体をしていたのだが、中には首をかしげるようなものもある。

端子台のついたユニットが捨てられていて、これを解体しようと思った。

まず、プラスチック製のフタを外した。するとプリント板が見えたのだが、

このプリント板、端子台の付いたプラスチック筐体と分離することができない。

変だなぁと思って詳しい人に聞いてみると、どうも端子台のついた筐体にプリント板を手ではんだ付けしてあるらしい。

というわけで、筐体部分まで含めてプリント板として処分することになった。分解できないんだから仕方ない。


リサイクルという点ではあんまり問題はないのかなと。

そもそもプリント板はプラスチックと金属の複合材ですからね。それを前提としてリサイクルが行われる。

当然、先に分離出来ればそれに越したことはないけど、どうせリサイクルプロセスの中で分離されるでしょうしね。

この前処理をどの段階でやっているかはよくわからないけどね。

リサイクルセンターの中でやっているのか、一切合切を引き受けた業者でやっているのか。

プリント板だと言い張れる状態にさえしてしまえば、リサイクルセンターには引き受けてもらえるので。


最近の製品だとプリント板に端子台を取り付けて、これを筐体に取り付けるというやり方をしている。

この方法であれば、プリント板に端子台を差し込む部分は手作業だが、そこからはんだ槽に入れればはんだ付けが完了する。

それを筐体に取り付けるのも、最近はネジを使わずに取り付ける方式が多くなっている。

コツはいるけど、解体もマイナスドライバー1本でガンガン解体していける。

すき間からプリント板が垣間見れるが、それはそういうものということで。


端子台を埋め込んだ筐体を作って、そこにプリント板を手ではんだ付けというのはいかにもめんどくさそうである。

外からの見た目はきれいなんだけど、それが目的だったかはよくわからない。

今の感覚からすればいかにも作りにくそうなんだよね。

もしかすると、当時は端子台関係のはんだ付けはどれもこれも手作業でやっていたのかもしれない。

だから、こんな構造でもあまり問題視はされなかったのかなぁと。


1世代前の製品はネジと放熱用のアルミ板が多くて、それはそれで手を焼くところ。

いかにも大きなアルミ板が見えているところとか、ネジを外さないとプリント板にならないところは頑張って外すけど、

あんまり細かいところはもういいかと妥協している。


Author : hidemaro
Date : 2018/11/21(Wed) 22:53
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