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CDMAってなにをやってたんだろ?

昨日、デジタル放送で使われている変調方式OFDMの話を書いた。

なんでデジタル放送だと同一周波数でいいんだろ

こういう通信の技術ってやたらと複雑なものが多くて、一体なんでそんなことができるんだよって思うことが多くて、

デジタル放送の単一周波数ネットワークは今まで謎の技術だった。調べてみるとなるほどって感じだけど。

そこで思い出したけど、CDMAもよくわからんのだよなぁ。


CDMAというと、第3世代の携帯電話の通信方式、W-CDMAなどで使われている。

そもそも、携帯電話というのは、複数の端末が同時接続できる必要がある。

複数の端末が同時接続する方式にはいろいろあるのだが、

一番わかりやすいのが周波数分割、この方式をFDMAという。アナログ時代の携帯電話がこの方式だった。

帯域を細かく区切って利用者ごとに割りあてて、使用中は1つのキャリアを占有していたと。

次にわかりやすいのが時分割、この方式をFDMAと言い、第2世代の携帯電話(日本ではPDC)がこの方式だった。

利用者ごとに時間を決めて通信してもらうわけだ。この方式にしたことで利用者増にもある程度対応できた。


ここまでは直感的にもわかりやすいのだが、3つ目の方式、CDMAはそう簡単ではない。

CDMAはCode Division Multiple Access、日本語で言うと 符号分割多元接続となる。

どうも、全ての基地局、全ての端末が同じ周波数を同時に使う方式らしい。

いやいや、それじゃあ全部混ざって区別できなくなるでしょ。

コードの違いで区別するんだって言うけど、コードってなんだよ。


ドコモR&Dのテクノロジー / 主要技術(ネットワーク) / マルチプルアクセス方式/ DS-CDMA方式の原理 (NTTドコモ)

この絵をみればわかるかな? 送信する波形にPN系列という波形を重畳することで区別できるようにすると。

このPN系列の波形を端末ごとに変えることで、区別できるようになると。

どういうことかというと、端末Aが 1という情報に (-1,+1,-1,-1,+1,+1,-1,+1)を重畳して送るのと、

端末Bが-1という情報に(+1,-1,+1,+1,-1,+1,-1,-1)を重畳して送るのと、端末Cが+1という情報に(+1,-1,+1,+1,+1,-1,+1,+1)を重畳して送るのと、

これらを全て重ねると(-1,+1,+1,+1,+3,-1,+1,+3)となる。これにそれぞれ重畳した信号列をたたみ込む。

端末Aの信号列をたたみ込むと+4、端末Bの信号列をたたみ込むと-12、端末Cの信号列をたたみ込むと+8となる。

プラスマイナスは正しく判定できてるね。これがCDMAってこと。


CDMAはコードさえ違えば端末を識別できるから、多くの端末を同時に収容することが出来る。

ただし、何も考えずにCDMAをやると、基地局近くの端末からの電波で、遠くの端末からの電波がかき消されるという問題が発生する。

でもこの問題は端末の出力を調整してもらえば解決できるから、それがCDMA実用化のポイントだったらしい。

あと、CDMA方式は送信する信号に、端末ごとに異なる速い信号を重畳して送る方式なので、占有帯域幅が広くなる。

FDMAは帯域を細切れにして1端末ずつ細く使っていた。これに対してCDMAは広い帯域をみんなで共有するという方法だったわけ。

帯域が広いので、その一部がノイズや干渉でやられても、残りの帯域で通信が成立するというメリットもあるようだ。


CDMAのおかげで携帯電話の利用者増に対応できたのだ。

というのだが現在のモバイルデータ通信の主力であるLTEはどちらかというとFDMAなんだよね。

LTEは下り(基地局→端末)はOFDMA、上り(端末→基地局)はSC-FDMAという方式を使っている。両方式ともFDMAって入ってるね。

OFDMAは昨日書いたOFDMそのもの。OFDMを多元接続用途で使っているというだけの話。

周波数を細切れにして(15kHz間隔)、細い占有帯域幅のキャリアを周波数空間で直交するように並べる。

干渉・ノイズなどの影響を受けにくく、受信しやすいキャリアをユーザーごとに割りあてると。

昔のFDMAに比べると、キャリアを緻密に並べられるようになり、ユーザーごとの周波数割り当てを動的に選べるようになった。

この結果としてLTEは周波数利用効率がよい通信方式となったのだという。


ただし、OFDMAは複数のキャリアを重ね合わせる方式なので、送信機の電力効率があまりよろしくないらしい。携帯電話でそれは困る。

というわけで、上りはSC-FDMAという方式を使っている。

ユーザーごとに帯域を割りあてて、その中で1つのキャリアで転送してもらうと。

ポイントはこの帯域は通信量に応じて加減できること。

通信量が少ない場合は、狭い帯域で低いシンボルレートにしてもらう、多い場合は広い帯域で高いシンボルレートにしてもらう。

OFDMAは低いシンボルレートの狭帯域キャリアを必要数束ねて使うが、SC-FDMAでは連続した帯域の幅を変えて、それに応じてシンボルレートを変えてもらうと。

やっていることは違うけど、根本にある考えは一緒なんですね。

これに周波数ホッピングを組み合わせt、周波数を動的に変えながら送信するので、干渉・ノイズで通信しにくい周波数があっても、影響を受けるのは一部で済む。


概念的にはLTEの方がわかりやすいよね。

動的に使う帯域を変えながら、通信量に応じた帯域幅、干渉・ノイズの少ない周波数を選んで使うと。

下りのOFDMAと、上りのSC-FDMAで考えには違いがあるが、狭い帯域の遅い通信をたくさん と 広い帯域で速い通信をドカン という考え自体は納得しやすい。

でも、それを実現する技術は複雑だ。動的に使う帯域を変えるというのはそういうことだ。

それに比べればCDMAはなんて直感的じゃないんだとは思うのだが、理屈が分かってしまえば、そんなに難しいことやってなかったんだなとわかる。

確かにこれなら1つの周波数でたくさんの端末と通信できるよね。

とはいえ、データ通信量の増大に対応するには、賢い帯域割りあてが必要だということでLTEに移行していったわけだけどね。

今は帯域がものを言う時代って話ですね。その考えからすればFDMAがシンプルでいいって話ですね。


Author : hidemaro
Date : 2018/01/27(Sat) 23:57
電気・数学・物理 | Comment | trackback (0)

なんでデジタル放送だと同一周波数でいいんだろ

地上デジタル放送の特徴として単一周波数ネットワークというのがある。

これができるおかげで、UHF53~62chを携帯電話用に転用したり、

茨城県・栃木県・群馬県でのNHK総合テレビの県域放送ができるようになった。

というわけで、すごく画期的な技術なんだけど、なんでできるようになったんだろ?


同一周波数ネットワークというのは、同じ周波数の送信所を並べてネットワークを作る方式だ。

i-dioがよい例だが、関東甲信越については全ての送信所が105.428571MHzで送信する。

親局の東京タワーも、秦野中継局も、将来できるかも知れない群馬県の送信所も、全てこの周波数を使う。

テレビで全ての送信所を同一周波数にしている放送局はないはずだが、複数の送信所で同じ周波数が使うことは普通にやっていて、

例えば埼玉県のNHK教育テレビの中継局で使っている物理Chを見ると26chと17chの2種類しかない。(cf. 受信情報 (NHKさいたま放送局))


アナログ放送では基本的にこういうことをしない。

なぜならば、同じ周波数で複数の場所から送信すると、複数の送信所からの電波が干渉して受信しにくくなる地域が生じるからだ。

それでも周波数を有効利用するために、同期放送という方法で同一周波数の中継局を設けることがある。

一部のAMラジオ局と、コミュニティラジオ局で採用されている。

複数の送信所の周波数を精密に合わせると干渉の影響を緩和できるという理屈なのだが、

この方式でも干渉が生じて受信しにくくなるエリアは発生するのが実情だそうで。そういうエリアを山間部とかに押し込めてるだけだと。


なんでデジタル放送では単一周波数ネットワークができるようになったのか?

その理由はOFDMという変調方式を使っているからだそうだ。

OFDMってどんな変調方式なのかと調べると、

  • 与えられた帯域を細切れにして、多数のキャリアを並べる (ISDB-Tでは5.57MHz幅に432本×13セグメント=5617本)
  • 各々のキャリアは周波数空間で直交するように選んでいるのでお互いに干渉しない
  • 1つずつのキャリアの帯域は狭い分、シンボルレートは遅くする(ISDB-Tでは1008μsで1シンボル送る)

アナログテレビではキャリア(搬送波)は音声・輝度・色の3つだったはずだから、デジタルテレビは5617本だから3桁も多い。

アナログとデジタルで比べるものでもないとは思うが、キャリアの数が多いというのが大きなポイントだそうだ。


位相差のある複数の波を重ね合わせると、その時々で強め合ったり、弱めあったりする。これを干渉と言っている。

複数の送信所からの電波を重ね合わせたときにも発生するが、1つの送信所から受信する場合でも、長距離伝搬するときは発生する。

というのも、長距離伝搬するうちに反射などで、伝搬経路の違う複数の電波が重ね合わされるから。

遠くのAMラジオ局を受信すると、音量が大きくなったり小さくなったりするけど、これこそまさに干渉だ。

ただ、周波数ごとに弱め合うタイミングと強め合うタイミングが違うから、

キャリアが5617本もあれば、その時々で干渉して使えないキャリアもあるけど、使えるキャリアもたくさんあると。


ところが、これだけでは問題は解決しない。というのも、伝搬距離の差で遅延量にも差が発生するから。

電波が10km伝搬するには33μs、50km伝搬するには167μsかかる。

ということは、50km離れた送信所からの電波は、10km離れた送信所からの電波より134μs遅れて到達することになる。

アナログテレビではこの差がゴーストとして見えていた。ずれた画面が重ね合わされたように見える現象ですね。

音声ぐらいゆっくりした信号ならさほど問題はないんでしょうけど、映像だと大きな問題になる。


しかし、この問題もOFDMのキャリア数が多いという特徴により解決されることになる。

キャリア数が多い分、1つのキャリアで使う帯域幅を狭くする必要があり、そのためには伝送スピードは遅くせざるを得ない。

アナログ変調を例に取るとわかりやすいけど、AM変調でf[Hz]の信号を送るには、2f[Hz]の帯域を使う。

AMラジオは7.5kHz程度の音声しか送らないので、占有帯域幅は15kHzで済む。

これに対してアナログテレビの映像信号は4.2MHzもある。音声信号など含めて占有帯域幅は6MHzとなる。

狭い帯域幅では遅い情報しか送れないというのは、ここからも理解できると思う。

実際、ISDB-Tでは5617本もキャリアがあるが、1つのキャリアは1008μsで1シンボルしか送らない。

1シンボルには6bit(ワンセグ以外)、2bit(ワンセグ)を割りあてている。(1シンボルで表す情報量が少ないということは、その分ノイズに強い)

1秒に1000シンボル、1シンボルで6bitとしても6000bpsだが、これが5617本もあるので30Mbpsぐらいになる。

確かにハイビジョン映像送れそうな数字だね。(実際には情報を冗長化しているのでこれより低いが、実際のデータレートも16.8Mbps程度)

このシンボルレートが遅いという特徴により、複数の電波の重ね合わせで遅延が生じても無視できるようになる。

1008μsで1シンボルということは、1シンボル解読するのに1008μsかけてよいことになる。端は遅延の影響を受けても、真ん中が大丈夫ならOKだ。

さらにシンボル間に126μsのガードインターバルを空けてあるので、送信所同士の遅延量の差がこの範囲に収まれば、シンボル本体は何も影響が出ない。


周波数を細切れにして、多数の周波数に情報を散らし、それぞれの周波数ごとではゆっくり送る。

多数の周波数に情報を散らしているおかげで、干渉でダメな周波数があっても、問題ない周波数で救える。

情報をゆっくり送ることで、送信局同士の遅延量の差があっても、吸収できてしまう。

この結果、単一周波数ネットワークという仕組みが成り立つわけだ。

こういう変調方式が成り立つのはデジタルだからこそというのはあるんだけど、

いろいろあるデジタル変調方式の中でも、同一周波数ネットワークを構築できる条件を選んでいるのは言うまでもない。

遅延量の問題があるので、シンボルレートが速いとどうやってもできないですからね。遅いってのが大きなポイントではある。


他にデジタル放送では、チャンネルにすき間を空けずに敷き詰めてよいというのもある。

6MHz幅のうち、5.57MHz幅にキャリアを敷き詰めても(=片側あたり215MHzのすき間を空ければ)、隣接チャンネルには影響なしというほどだ。

アナログテレビは、隣接のチャンネルから干渉を受けることを防ぐため、すき間を空けて使っていた。

確かに、近畿広域圏ではVHFで2,4,6,8,10,12chと偶数チャンネルだけ使っていたよね。今はそういうことをしなくてよい。

むしろアナログのときはすき間が必要だったのかって話だけど、デジタルになって改善したことの1つではある。


Author : hidemaro
Date : 2018/01/26(Fri) 23:58
電気・数学・物理 | Comment | trackback (0)

実はよくわかっていないらしい

最近、設計のことで有識者といろいろ揉めているのだが、

果たして有識者はよく考えて反論しているのかと思うことがしばしば。


最近やっている仕事だが、あるモジュールで行われた設計変更を類似した別のモジュールに反映するというもの。

類似したモジュールAとXがあって、Aに対して設計変更を行ったBがすでにリリースされている。

これに次いで、Xに同様の設計変更をして新しいYを作っているのだが、これがなかなか難儀なのだ。

というのも、A,BとX,Yではアーキテクチャに差があって、A→Bの設計変更をそのまま反映するというわけにはいかないのよね。

X,Yの方が設計が複雑になりやすいので、Bをリリースしてから、Yを作るということをやってるわけだけど。


ここで問題なのが、Bの設計ポリシーと、元々のXの設計ポリシーのかみ合いが良くない場合があるということ。

単純に過去の設計ポリシーを組み合わせて作ればよいというものではないと思っている。

それで過去の設計にはこういうデメリットがあるので、新しく設計する部分はこういう設計にしましょうと提案してんだが、なかなか有識者が首を縦に振らない。

明確に問題点を指摘してくれればよいし、その場合はそれはごもっともだということで再考するのだが、

有識者といいながら過去のXの設計ポリシーに必ずしも熟知しているとも限らず、反論には決め手に欠けることばしばしば。

過去の設計ポリシーに従った場合の致命的なデメリットを示せると、これはさすがに首を縦に振らざるを得ないのだが、そこまで行かないとなかなか。

挙げ句の果てに「反論するのに手間を費やすぐらいなら、意味がわからなくても過去の設計ポリシーに従うべきなのでは」ということを言われることもあった。

すなわち言っている本人も意味がわからず反論していると告白しているのだ。


フルスクラッチで作るなら、あるべき姿を追求しやすいのだが、そういうものではないですからね。

特に今回の場合、過去のXのアーキテクチャを大きく変えることは難しい。

そういうわけで、多少の不都合であれば、それは仕方ないということで受け入れてやる必要がある。

ところが、A→Bの設計を反映していく中で、あからさまにおかしいところがいくつも見つかるんだよね。

アーキテクチャを大きく変えない範囲で、従来のXの設計ポリシーとは違った設計にするべきだとか提案してるんですけどね。

別のデメリットがあるということで不採用になったのもある一方で、これが問題提起になって大きな見直しが行われた部分もある。

なので、あるべき姿を考えることには意味があると手応えを感じているのだが、上のような問答になることもある。


実はこの仕事って他部署の応援でやってる仕事なんだよね。

ここの部署に応援に行くのは二度目で、実はA→Bの設計変更にも一部関わった経緯がある。

そのときの経験も踏まえて思うのは、どうもこの部署の人は過去の設計をなかなか変えたがらないということ。

過去の設計を元にした設計変更が多く、長年にわたってフルスクラッチで設計するという経験がなかったのもあるんだろうか。

過去の設計に長所があるだろうというのも確かな話ではあるが、短所だってないとは言えないんだよね。

あるべき姿を描いて、長所と短所を正しく理解できればよいのだが、なかなかそれができないと。


この点については、所属部署ではあるべき姿についてよく議論ができていたんだよね。

大きな新規開発があったこともあって、そこで新たなあるべき姿を描けたというのもあるんだろう。

その中で過去の設計に短所があるということも実感しており、過去の設計についても率直な議論ができている。

あと、今のところは過去の設計についてよく知っている人がちゃんといますからね。(現役ではない古い製品は別として)


あの部署の人が過去の設計をあまり変えたがらない割には過去の設計についてよくわかっていないというのは、、

所属部署のチームリーダーとも共通の認識ではあって、なかなか根深い問題ではあるのだろう。

ただ、無駄に手間をかけて、おかしな動きをするものを作るようなことは、設計・実装を行う人として不本意なので、

有識者とよく話し合って、あるべき姿を描けるように努力していこうとは思っている。


Author : hidemaro
Date : 2018/01/09(Tue) 23:59
電気・数学・物理 | Comment | trackback (0)

暗号化されたHDL

今日で年内の仕事は終わり、って今日まであるんかよって言う人もあるかもしれないが。

実際、今日は休暇を取ってる人多かったけどね。まぁガラガラってことは無かったが。

いつも仕事に出かける前は、NHKの「おはよう日本」を見ているが、今日はお休み。

なので、NHKラジオ第1の「マイあさラジオ」を聞いていた。この番組は本当に毎日やっているからちょうどいい。


さて、最近は論理回路のシミュレーションをいろいろやっている。

シミュレーションには自分の作った回路以外に、デバイスのモデルとか他の人の作ったHDLも合わせて使う。

これにより、結合テストをシミュレーション上でできるので、大変役立つと。

モデルが提供されていなければ、自分で作ることもあるけど、それはそれで大変ですから。


そんな中で、とあるIPコアのモデルが暗号化されたHDLで提供されていた。

このIPはFPGA内のプリミティブを使って、とある機能を提供するためのIPコアだ。

この機能を応用してとあることをやろうと思っているのだが、そのためにはこのIPと自作のロジックがうまく連携して動く必要がある。

なので、結合してテストをしたいのだが、そのモデルはなんと暗号化されていると。

そして、使いたいバージョンのモデルは、この職場で使っているシミュレーターに対応していないと。(違うバージョンなら対応しているようだが)

暗号化さえされていなければ、モデルを改造したりして対応できたんだろうが、暗号化されててはねぇ。


IPコアのIPって Intellectual Property、すなわち知的財産って意味なので、その中身というのは秘密にしたい物だ。

そこでIPコアの提供用に暗号化されたHDLが使われることがあると。

ただ、テスト用のモデルが表しているものって外部仕様なんだよね。

デバイスの外部仕様に従って、信号を受け、信号を出す、それがモデルの意義だ。

シミュレーション用モデルでの実現方法と、実際のIPコアでの実現方法が違うのは普通だけど、それでよい。

そう考えるとシミュレーション用のモデルが暗号化されてるのは、なんだかなぁと思う。


暗号化されたHDLを見るのは初めてだったのだけど、その仕組みを知ってなるほどと思った。

このHDLの暗号化には公開鍵暗号方式のRSAが使われている。

公開鍵暗号では、公開鍵を使って暗号化すると、秘密鍵がないと復号できない。

ここで秘密鍵の持ち主をシミュレーターのベンダーとすれば、

シミュレーターのベンダーが提供する公開鍵を使ってHDLを暗号化すれば、シミュレーターのベンダー以外にはHDLを秘密に出来る。

シミュレーターにはそのベンダーの秘密鍵が組み込まれ、シミュレーション実行時にその秘密鍵で復号しているということらしい。


こういう仕組みなので、シミュレーターベンダーごとに異なる鍵で暗号化されたHDLが用意されていて、適するものを選んで使うことになる。

主なシミュレーターには対応していると思ったのだが、バージョンによって対応状況が違ったようで、

使いたいバージョンではうちの職場で使っているシミュレーター向けに暗号化されたものがなかったと。

違うバージョンでは対応したのがあるらしいので、そっちを使うというのが代替案としてあるが、

多少の機能差分がありそうなので、そこをごまかしてシミュレーションするというところが狙い目かなぁって言ってるけど。

いずれにしても、よくわからないIPなので、年明けはこのIPの調査をいろいろやらんといかんね。


Author : hidemaro
Date : 2017/12/29(Fri) 22:19
電気・数学・物理 | Comment | trackback (0)

後で分かった設計ミス

チームリーダーから頼まれて、モジュールの故障解析手順の調査を依頼された。

サービスマンがこのモジュールは本当に壊れているのか、実はそうでもないのか切り分けをしたいと。

その調査をしていたのだが、設計がおかしくて、解析に難ありということがわかった。


うちの職場で開発している製品では、重故障・軽故障・正常動作 という3モードを持っている。

重故障は一度故障すると交換しない限りは復活しない故障、軽故障は外部要因で発生する異常状態を表している。

ところが、境界領域というのもあって、内部の故障で交換するしかないか、外部要因で発生しているか切り分けできない故障もある。

チームリーダーから依頼されたのは、モジュール交換をするべき故障なのか、まずは外部要因を疑うべき故障なのか切り分けをしたいという話。


モジュールが重故障・軽故障・正常動作であるかはインジケータを見れば容易に判別できる。

ここから具体的に何の故障であるか切り分け、内容によっては外部要因を疑ってもらう必要がある。

ところがアーキテクチャ的な問題でこのモジュールとのデータのやりとりは非常に制限されている。

それでも軽故障であれば、故障情報の確認は可能なのだが、

重故障の場合、通常の方法では故障情報の確認ができないのだ。

その上、外部要因で発生する重故障というのが存在しているという、もっと厄介な事情もある。


すなわち、この問題は以下の3点の問題があったわけだ。

  1. アーキテクチャ的にモジュールとのデータのやりとりがしにくい
  2. それでも軽故障なら故障情報の確認が出来るが、重故障は故障情報の確認が出来ない
  3. 仕様外の環境で使うと、外部要因で重故障を発生させられる

1はアーキテクチャ的な問題で、致し方ない面もある。ただ、それゆえの不都合というのは他にもいくつかある。

その弱点を一部補う機能があったのだが、2に書いたとおり、重故障ではうまく働かないという設計上の欠陥があった。

もともとデバッグ機能だったので、そこまで深く考えて作った機能ではなかった故の問題のようだ。

それでも外部要因で発生しうる故障は軽故障に分類してくれていればよかったのだが、

特定の故障は外部要因で起こせるけど、本当に内部回路が故障していたら怖いから重故障にしてしまったのだという。


僕はこの中では3が一番大きな問題だと思うんだけどね。

そのことでチームリーダーに当時の経緯を聞いてみたのだが、元になったモジュールの設計がそうだったから、それに従ったとのこと。

一方でこのモジュールは重故障と軽故障、どちらにしてもインジケータの表示が変わる以外の差はあまりない。

というのも、重故障の場合に取れる次善の策というのがこのモジュールにはないから。

他のアーキテクチャだと、重故障の場合は次善の策を取る仕組みがあるんだよね。軽故障は外部要因によるものと判断して次善の策には出ないんだけど。

故障の種類によっては次善の策があれば重故障、なければ軽故障という区別をすることがある。

その観点で言えば、このモジュールに重故障という概念は不要な気はするのだが、

一方で絶対に復活しない故障というのも存在していて、そういう場合は潔く交換しなさいという指示になるので、その点では重故障の意味はある。

ところが、なぜか外部要因でも起こしうる故障が重故障に分類されていたので、単純に「重故障の場合は交換しなさい」と言えなくなってしまったと。


それでも2の問題がなければ救いようはあった。

ところが重故障の場合は故障情報が取得できないというバグがあったのだ。

そもそもこの機能は純粋なデバッグ機能で、故障解析に使いたいという要求があって作った機能ではなかったと。

ところが1の問題があって、もジュールとのデータ交換には大きな制約があった。

その点ではデバッグ機能とはいえ、モジュールとやりとりできる貴重な機能の1つではあった。

ところが、しょせんはデバッグ機能、開発者以外が使うことは全く想定しておらず、出来の悪い機能だった。

その結果、重故障の場合は故障情報が取得できないというバグがあるまま、製品化されてしまったのだという。

当初、故障情報を取得して故障要因を切り分けしたいというニーズはほとんどなかったそうだ。

開発者はデバッグのために故障要因を知りたかったが、まさかその機能をサービスマンが使うとは想像もしてなかったのだ。


このモジュールの設計が、僕が今の職場に来る1年前ぐらいに行われたもので、僕は設計に関与していないのだが、

どうして「それ重故障にしちゃうんですか」という問題提起がなかったのかは本当に不思議な話だ。

確かに過去の同種のモジュールの設計に従ったという事情はあるのだが、そもそもそれの設計がおかしかったんだよね。

過去のモジュールの設計に従った結果、サービスマンが苦しむという展開は予想できなかったにしても、

そもそもの設計ポリシーとは矛盾しているので、原点に立ち返って考えるべきだったんじゃないかなぁと。

当時、僕が設計に関わってたら、この問題は回避出来てたんだろうか? どうにも悔しい思いがある。

(もっとも職場に来た直後だと、設計ポリシーを詳しく知らない状態だっただろうから、そういう意見は言えなかったかもしれないけど)


まぁもう世の中に出ているもので、なおかつ通常稼働では発生しない問題なので、どうしても修正しないといけないバグではないのだが、

そうはいっても悔しいというかなんというか。もうちょっとやりようがあったよねぇと。

なんか、バグ修正する機会があれば、上で書いた2の問題を修正したいところだけどね。

3は外部仕様にも絡む問題なので不用意に修正はできないが、2は元々デバッグ機能なので外部仕様とは無関係に修正できる。

修正後はデバッグ機能とはいえサービスマンにとっても役立つ機能になり、結果として新しい外部仕様として盛り込まれるのだろう。

チームリーダーには「他の設計変更するときにしれっと変更しましょ」と意見は述べておいたが、やるかは知らない。


Author : hidemaro
Date : 2017/12/07(Thu) 22:15
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色違いだけど色違いだけではない

以前、色違いの製品の話を取り上げた。

これとこれは本当に色違い

うちの職場で作っている製品には「色違い」呼ばわりされる製品がある。

その中には内部構成が大きく異なるものもあるが、中には論理的な区別はあるが中身は全く同じ色違いもある。

内部構成が大きく異なれば、職場内でも全く別物として理解されているのだが、ただの色違いとなればそれは同じものという認識になる。


最近、中身は全く同じで色違いの製品を使う試験の準備をしている。

あるシリーズに対して従来行っていなかった試験が必要となったのだ。

このシリーズはできるだけ他のシリーズの機器を流用しており、

  1. このシリーズ独自の機器
  2. 他のシリーズの単なる色違い
  3. 他のシリーズでも使っているが、異なる用途で使われている機器
  4. 本体は単なる色違いだが、周辺機器の使い方が違う機器

1は全く独自なので完全に新規に試験が必要となるのは明らか。

2は流用元シリーズと全く同じなので、試験を省略してもよい。(流用元では同様の試験を実施済み)

3は流用元のシリーズでは用途が違ったので試験対象外だったが、今回は新規に試験が必要になる場合がある。

4は周辺機器だけの問題ではあるのだが、周辺機器の試験をするには単なる色違いの機器も動かさざるを得ない。


僕はこのシリーズ独自の機器には関わってこなかった。

なので自分が関わる範囲では単なる色違いという認識でいた。

ところが実際には上で言うところの3,4に該当するものがちょこちょことあったのよね。

特に4に該当するものは、周辺機器が変わるとけっこう使い方のイメージが変わるなぁと思った。

周辺機器の差は本質的な差ではないので、これまでもさほど考慮してこなかったという経緯はあるのだが、

その一方で周辺機器まで含めて組み上がったものを見てみると、意外に差があるなぁと。


上で挙げた3,4のような単なる色違いとも言えない差分が生じた理由だが、

どうもこのシリーズは流用元のシリーズより省スペースになるように作ったからのようだ。

そのためにスペースを食う機器を省スペースのものに置き換えたり、省スペースになるように機器の選定を変えたのだろう。

流用元のシリーズはメンテナンス性重視のようで、極度の省スペース化は嫌われてきた経緯もあると聞いている。

当たり前なんだけど単なる色違いで別シリーズになるわけはないんだよね。

想定される用途に差があるからこそ別シリーズになるのであって、その中で共通化できる部分は流用したって話だね。


Author : hidemaro
Date : 2017/11/20(Mon) 22:28
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新しいSIの定義は直感的? 直感的ではない?

先日、ニュースでも出ていたけど、新しいSIの定義がほぼ固まってきたそうだ。

質量・温度・電流など4つの自然界の基本定数が更新される (PC Watch)

国際単位系(SI)は s(時間),m(長さ), kg(質量), A(電流), K(温度), cd(光度), mol(物質量) の7つの基本単位を定義している。

このうち4つの単位の定義が変わる予定という話だ。


そもそも、現状のこれらの単位の定義を簡単に言うと(簡単ではないのもあるけど)、

  • s : セシウム133 原子の基底状態の2つの超微細準位間の遷移に対応する放射の 9192631770周期の継続時間
  • m : 光が真空中を 1/299792458[s] で進む距離
  • kg : 国際キログラム原器の質量
  • A : 1m離して平行に置かれた導体間に2×10-7[N]の力を及ぼし合う電流
  • K : 水の三重点の熱力学温度の1/273.16倍
  • cd : 570×1012[Hz]の単色放射で放射強度が1/683[W/sr]である光源の光度
  • mol : 12[g]の炭素12の物質量

こうやって並べてみるとsとcdの定義はようわからんね。まぁcdはそもそもあまり使わない単位というのもあるけど。


これらの単位の定義のうち、sとmの定義はかなり完成度が高いと言われている。

sは当初、地球の自転で定義されていたが、1967年に現在の定義になって、実験室で求まるばかりか、1億年に1sしかズレない精度の良さも得られた。

mは当初はメートル原器だったが、後に光の波長を使った定義に変わった。とりあえずメートル原器に依存しなくはなった。

ただし、光源には依存するという難点があったので、1983年から光の速度という物質に依存しない定義に変わった。

一方で、定義に難がある単位もあって、その筆頭がkgだ。

kgはとにかく国際キログラム原器に依存するというところが難点。国際キログラム原器を洗うと60[μg]軽くなったなんて話もある。

あとmol と K の定義も炭素12とか、水というところに依存するという怪しさはあった。


今回、定義が変わる単位は kg, A, K, mol の4つの単位。さっき難があると書いた単位は全て刷新される。

新しい定義では、物理定数を特定の値に固定するという書き方になるよう。

現状もmの定義は光速度cを特定の値に固定して定義しているので、それと似たような話ではあるのだが……

  • kg : プランク定数を h=6.62607015×10-34[J・s]に固定する
  • A : 電気素量(電子1個の電気量)を e=1.602176634×10-19[C]に固定する
  • K : ボルツマン定数を k=1.38064×10-23[J/K]に固定する
  • mol : アボガドロ定数を NA=6.02214076×1023[/mol]に固定する

A, molの2つの単位はこういう書き方だと意味がわかりやすい。

  • A : 1秒間に電荷が 1/(1.602176634×10-19)個流れるときの電流
  • mol : 6.02214076×1023個の分子・原子

Aもmolも以前の定義より直感的になったような気はする。Aは電荷の流れ、molは分子・原子の個数とわかりやすい。


問題は新しいkgとKの定義だが、これだけでは測り方が全く分からない。

ボルツマン定数k は熱力学温度とエネルギーの関係を結びつける役割がある。

気体の運動エネルギーは E=(2/3)kT (T:熱力学温度)で求められる。

この関係を使うことで、熱力学温度の単位 K を定義できるわけだ。エネルギーから温度が決まるという意味で納得しやすい。

一方のkgの定義はどうしてプランク定数が重さの定義になるのかは一見わからない。

プランク定数は光量子のエネルギーを定義するのに使われる定数で E=hν (ν:振動数) という式で結びつけられる。

時間が定義できると振動数は決められるから、ここでプランク定数が与えられるとエネルギーが厳密に定義できることは理解できる。

でも、プランク定数で最終的に定義したいのはkgなんだよね。なぜ?

エネルギーの単位 J の定義は1Nの力で1m動かす仕事、力の単位 Nの定義は 1kgの物質に 1m/s2の加速度を与える力となっている。

mとsが既知ならば、Jからkgを求めることはできるのだが、えらく回りくどい。


新しいSIの定義からすれば、kgよりもJの方が基本的な単位に見える。

時間の単位が決まれば、光量子のエネルギーが決まるというのは、知っている人にとっては簡単に納得できる話だ。

「kgの定義が国際キログラム原器からプランク定数になります」というのは大きなニュースだし、

多くの人に知ってほしいことではあるけど、正直なところ、これをまともに説明できる人はそうそういないんじゃないかなぁ。

実際にプランク定数とkgを結びつける測定手法はあるんだけど、原理がすごく複雑なんだよね。

まずエネルギーの単位 Jが決まり、それからkgが導かれるという言い方が多くの人にとって理解しやすいのではないでしょうかね?


似たような話はAにも言える。

以前は電流に及ぼす力から電流が決まり、1A・1sで流れる電荷の電気量から1Cを定義していた。

でも新しい定義は 電子1個の電気量を先に定義するから、Aよりも先にCが決まるんだよね。

ただ、授業ではまず電荷を学び、電荷の単位であるCを学び、次に電荷の流れとして電流を学んだ覚えがあるんだよね。

そう考えると、電子1個の電気量は1.6×10-19[C]というところを入口にして電流を理解するというのはきわめて真っ当な話だ。


新しいSIの定義が実際に反映されるまでにはしばらくかかりそうだが、そう遠くはないだろう。

ここに行き着くまでにはいろいろな実験と議論があったのだが、やっと国際キログラム原器が用済みになるというのは感慨深いものがある。

kgを決めるのにプランク定数を使う案と、アボガドロ定数を使う案があったという話は聞いていたが、

プランク定数の方が精度よく決められるということでこちらに落ち着いたようだ。(一方でアボガドロ定数はmolの定義に単独で導入された)

直感的にはわかりにくいが、それが多くの単位を支えることになることだけは確かなことだ。


Author : hidemaro
Date : 2017/11/18(Sat) 23:29
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がらくた置き場に使いたいものはあった

試験のためにかなりの数の端子台が必要だった。

ありあわせの端子台でよいのだが、ありあわせでも数を集めるのは苦心した。

けど、結局は1日で集まったのだった。


今回の端子台の用途は主に2つ。

1つは抵抗と配線を接続するという用途。

過去には配線をぶった切って、その先に抵抗を直接はんだ付けしていることもあったのだが、

はんだ付けも楽ではないし、メンテナンス性が悪いので、端子台を使おうと考えた。

もう1つが電源を分配するという用途。

電源のプラスとマイナスの端子台を用意して、複数の端子が並列になるようにすればよい。


とにかく数が多いので、以前たくさん使ってた人に聞いてみたら「あれはそれ用に買ったやつで、まだ使ってる」とのこと。

やっぱり買わないといけないのか……と思ったが、「少しは余ってるかもしれない」ということで探してもらうことに。

買う必要があるとすれば、試験の計画を立てている人に言わないとと思い、

「この試験、すごい数の端子台が必要ですよ」って言うと、思ってたよりめんどくさいなという反応。

とりあえず、ありあわせのものを探そうとなった。


まず、計画を立てている人が「この端子台使えるかなぁ」と基板取り付け用の端子台を持ってきてくれた。

基板取り付け用の足が生えているのを全部短絡させれば、電源分配用の端子台に使えるねと。

なるほど、確かに基板取り付け用の端子台は過去の試作用部品の余りか、種類によってはたくさんある。

サイズが合うかとかいう問題はあるものの、ちょうど適合するものが余っていたようだ。

というわけで、はんだ付けをして、電源分配用の端子台に仕立て上げた。

見た目はアレだけど、使い方など考慮すると特に問題ないこともわかったので、これで完成と。


次に最初に聞いた、たくさん持ってそうな人が余ってる端子台を掘りだしてきてくれた。

これで抵抗と配線の接続用に使う分の3割ぐらいをまかなえた。

ありがたかったし、聞いてみるもんだなと思った。

ただ、残り7割はまだ足りないので、どっかから掘りだしてくるか、買わないといけない。

本当に必要なら買えばいいんだけど、なんかいますぐ入手できる方法はないかなぁと。


というわけで、向かったのは「がらくた置き場」だ。

僕はがらくた置き場と言っているけど、過去に行った各種試験の配線・治具などを投げ捨ててある段ボール箱だ。

ほとんど再利用されずに(というかすぐに再利用できるものは段ボールに入る前に回収される)放置されている。

というわけで、掘ってみると、リレーに紛れて、DINレールにとりついた端子台がいくつか発見された。

配線が付いたまま放置されているので、外して集めて見ると、残り7割分をまかなえる個数が見つかった。


たかが端子台という話でもあるが、メンテナンス性などを考慮すると、使いたい場面はそこそこある。

少しぐらいは掘れるば出てくるのだが、今回必要な個数はけっこう多くて苦心した。

一部はまともに使える端子台として残されていたものを使えたのだが、残りはがらくただよね。

がらくた置き場に投げ捨てられていたものは言うに及ばず、過去の試作部品を掘ってきて、はんだ付けしたのも同じく。

まぁせっかく掘ってきたので、今回の用事が終わったら、再利用可能な状態にできればとは思ってるけどね。

端子台は端子形状・用途が適合すれば簡単に再利用できますから。


もう1つ、苦心しているのが配線用のケーブルなんだよね。

長さ・太さ・終端加工の全てが適合するものが既存のものにあればよいのだが、なかなかない。

今回の作戦としては2割程度は既存のケーブルに適合するものがありそうなので掘る、残り8割は新しく作らざるを得ないと考えた。

終端加工が適合するか適合しないかがほぼ全てで、大半は終端加工が合わなかったんだよね。

逆に言えば終端加工が適合する可能性があった2割分は無理やりにでも再利用して、加工の手間を減らす努力をしたのだ。

むしろ2割も再利用できたとすれば画期的な部類なのでは? っていうぐらい今まではひどい。

ただ、あり合わせの物をかき集めてきたので、長さが合わない可能性があって、もしかするとこの作戦は頓挫するかも知れないのだけど。


「がらくた置き場」が再利用が進まない諸悪の根源だとは思っているのだが、

あれを体系的に整理する価値が見いだしにくいのもまた事実。

今回、端子台は掘って出てきたものが実際に使えそうでよかったのだが、使い物にならないものもけっこうありますからね。

まぁがらくた置き場だけあって、持っていって怒る人は誰もいないだろうと信じているので、

こういうの探せば出てくるんじゃないかなー、って困ったときにふらっと探しに行けるところではあるんだけどね。

そういう意味では役立ってるんだけど、役立てられる人は限られているのは悪いことか。


Author : hidemaro
Date : 2017/11/16(Thu) 22:13
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AMラジオは雑音に弱い

旅行のときにラジオを持っていくのはいつものことなのだが、

親元での滞在中にいた部屋ではAMラジオの受信が難しいことに気づいた。

今までも受信しにくいとは思ってたが、遠い放送局だからだとばかり思っていた。

ところが全国に中継局を配置しているはずのNHKラジオ第1すら、ろくに受信できないのだ。


最大の問題が室内の電気雑音がひどいこと。

この家はやたらと電子機器が多く、電子機器から発する電気雑音が多いことは明らかだ。

あらゆる機器にスイッチング電源が搭載されているのも大きな理由のようだ。

AMラジオは電気雑音の影響を受けやすい。変調方法の問題でしょうかね。

室内の電子機器の配置の都合、影響の少ない場所にラジオを置いてというのもちょっと難しそうだった。

今住んでいる家だって、電気雑音の影響が少なくて、受信しやすい場所を探して、そこにラジオを置く台を置いてとやっているわけだけど。


ただ、問題はもう1つあって、それは大都市から遠いので、大電力の送信所から遠いということ。

NHKラジオ第1の送信所は広域を担当する東京が300kW、大阪・札幌・福岡が100kW、名古屋が50kWと大出力だが、

その他の放送局の本局(もしくはそれに本局に準じる中継局)は概ね5kWとなっている。(一部20kW,10kWもあるが)

主要な中継局では出力1kWあるが、このレベルの中継局もさほど多くない。

山間部を埋めるように設置されている小規模な中継局は出力100Wとなっている。

大都市や県庁所在地であれば、大電力の送信所が比較的近くにあるので、受信しやすいのだろうが、

小電力の中継局から受信することを想定している地域では、電気雑音に対して非常に弱いかもしれない。


一方でFMラジオの受信状況は概ねよい。

市内に主要な中継局があるので、ここから送信される電波を受信する分には良好に受信できる。

そもそも変調方式がノイズに強いというのもあるけど、中継局の設置が効果的というのもある。

AMラジオで使用されている中波に比べれば、FMラジオで使われるVHFは、他の国に飛ぶほど遠くまでは飛ばない。

なので中継局の設置も融通が利きやすいのだ。

ただし、山の向こうの送信所の電波を受信するのはちょっと難しいかなぁ。

高いところにアンテナを立てれば受信できそうですけどね。VHF・UHFはアンテナの位置が肝心だ。


ろくにNHKラジオ第1が受信できないとは驚いたが、現在は らじる★らじる という回避手段がある。

タブレットで らじる★らじる を開いて、R1を選べば、インターネット経由で聞けてしまう。

そもそも、らじる★らじる は難聴対策のためのサービスだから、この使い方は理にかなっている。

民放のradikoも同じことだ。地域制限はあるが、本来の放送区域では難聴対策になっている。


そんな極端なへき地でもないのに、NHKラジオ第1の受信に困るとは思わなかったけど。

ただ、都市型難聴という言葉もある通り、電気雑音や地形的要因で局所的に受信が困難な地域もあることは知られている。

この対策として、AMラジオ局の中継局をFM方式で設置することが行われている。

AMラジオ局もFMがいい

確かにこれは必要だと思った。既存のAMラジオの中継局の出力が小さいというのも要因ではあったけどさ。


民放では親局クラスのFM方式の中継局を整備して、人口が多い都市部での対策を優先しているようだ。

一方でNHK(ラジオ第1・第2)は混信がひどく中継局の設置が困難だった離島などでの中継局整備に活用してきた。

最近では山間部への設置にも使われているようだが、基本的には従来の送信所がカバーしていないところを対象としている。

一部、低地にあり災害に弱いAM送信所の補完用の中継局もあり、そこだけはAMもFMも選択できるようになる。

いずれにせよ、都市型難聴の対策を積極的に行う民放とは考えが違うようだ。

小電力のAMラジオ中継局をFM方式で補完するというのもありそうだけど、NHKではやってなさそう。(民放ではやってるところもある)

これやってくれると救われる地域だったんだけどね。さすがにそれは都合のよい発想か。


Author : hidemaro
Date : 2017/11/07(Tue) 21:49
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本科でもやってみたら

今日は高専祭にでかけていた。
毎年この時期に関西に来るとタイミングが合うので行くんだけど、
まぁこのために遠出するかっていうとそこまでのものではないよね。
文化の日近くにやってくれる分には足を運ぼうとは思うけど。
そんなに盛大なものでもなく、こぢんまりとしている。
人手にも限りがあるということか、従来屋外にあったステージが屋内に移設されていた。
雨天時に屋外ステージを屋内に移設する手間がかかっていたので、それなら最初から屋内にしておこうということだろうか。
それはそれでアリだと思うけどね。けっこう雨に見舞われることも多かったし。
それに伴って導線も去年までと違ったり、不思議な感じ。
かつてのクラスメイトと出会うことはさほどないんだけど、
かつてお世話になった教員とはよく会う。なにしろ専攻科まで7年もいましたからね。
歩いてて会うとこっちも気づくけど、向こうも気づくという。
国語の教員まで顔を覚えられてるとはまぁなんとも。確かに専攻科までいたら目に付くか。
そんな中で、学科の展示を見に行くと、実験の成果物などが展示されていた。
去年ぐらいから実験のカリキュラムが変わって、PBL(Problem Based Learning)が本科でも取り入れられたんだよね。
もともと専攻科ではPBLが実験などで取り入れられていた。
これまで本科・専攻科を通じて学んできた技術を実践して、何らかの課題を解決するシステムを作るということをやるのだ。
卒業研究・特別研究でもそういう側面はあるが、別の切り口で課題解決・システム設計に取り組むわけだ。
なかなか苦戦するのだが、成果はさておき、そこから学んだことは技術者として働き始めるときに役立つにちがいない。
時間にも余裕があり、もともと応用的なことをやることを目的としている専攻科にはうってつけだったのだが、
本科でも4年生の実験に取り入れることにしたという話は、前々から聞いていた。
それで成果物を見て回ってたんだけど、なかなか当初の思惑通りにいかないものも多かったようだ。
パワー不足で所望の性能が得られなかったり、重すぎて実用にたえなかったり、予算不足だったり。
逆に補助装置のつもりで作った装置が性能がよすぎて、補助装置としての立ち位置が怪しくなったり。
構想はあっても、学生実験の中で実際に形にできるかっていうと、なかなか難しいよね。
重かろうが、パワー不足だろうが形にできたチームはかなり優秀なのかもしれない。
実際に技術者の仕事をやると思うのは、アーキテクチャって重要だよねということ。
マイコンとロジックとアナログ回路がそれぞれどこまで分担するかとか。
どういうトポロジーでシステムを接続するかとか。
それによって作りやすさとかだいぶ変わってくるんだよね。
実験で作るシステムも同じこと。所望のシステムを作るには、メカ・エレキ・マイコンとどう機能を分担するとよいか考えると。
その構想に基づいてプロトタイプを作ってみようというのが実験だよね。
こういう経験ができるのがとてもよいことだ。
プロトタイプが完成品として求められるものをすべて満たしていればよいが、必須ではないかなと。
重すぎるし、マイコンの性能不足で所望の機能が乗っかってないと言っていたシステムは、
おそらくちゃんとものをそろえれば、そこそこの重量で所望の機能が乗ったものは作れそうで、
プロトタイプとしてはそんなに悪くなかった気がする。
一方で、実際に動かしたところ、とてつもないパワー不足が明らかになったシステムは、
プロトタイプを作ったことで、このアーキテクチャではダメなことを明らかにできたと。(その前に見抜けた気もするけど)
ちゃんと考察できれば、どちらも学生実験としては立派な成果なんじゃないですかね。
製品化するんだという話になると、前者はGOになる可能性はあるが、後者はNGなので残念でしたねって話だけど。
本科4年でもそれなりにできることは多いんだよね。
専攻科生は本科で一通りの技術を学んで、卒業研究という実践を踏んだ上でやるわけだけど、
それでもけっこう苦戦してる印象はあったし、形にならないチームもあったので。(チーム分けが悪すぎたのだが)
本科4年というのは、電気電子工学の基礎的なことを学び終わり、内容が応用的になっている段階ではある。
チームの中でよく手が動く学生とそうでもない学生がいるとか、その差は専攻科以上に問題な気はするが。
それでも先導できる学生と、教員の助言があれば、なんとかなるって話なんですかね。
というわけで、数年前に言っていた構想が実現していて、わりとうまくいってるって話ですね。
今後、技術者として働き始めたときにきっと役立つでしょうよ。
という具合に学校もゆっくりだが変わって行ってるってことが確認できたのが、今日の成果ですかね。
Author : hidemaro
Date : 2017/11/04(Sat) 21:59
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